ねこの影もいくぶん伸びて日永かな 猫写真に触発され、句集刊行

   四季のある屋外で暮らす猫の姿は、俳人も触発する。猫写真家と俳人が異色のコラボをした句集『俳句ねこ』(ホーム社)が発行された。写真も、俳句も、猫への愛情にあふれている。

(末尾に写真特集があります)

   本書は、猫写真家・沖昌之さんのブログを見て、俳人の倉阪鬼一郎さんが心に浮かんだ俳句をのせることから制作が始まった。

   日だまりで寝そべったり、白い雲の下で毛繕いしたり……。自然の中で気ままなしぐさや表情を見せる野良猫たち。その写真に、倉阪さんの俳句や、小林一茶、寺山修司、長谷川かな女らの俳句(40句)が添えられ、季節ごとに並べられている。

   たとえば春。アスファルトに佇む一匹のふっくらした猫にかわいい影が映る。

〈ねこの影もいくぶん伸びて日永かな〉

   この句の季語は「日永(ひなが)」。猫の背に心地よく日が当たる時間もいくぶん長くなる、と説明が添えられている。解説付きのため、入門書としても役立ちそうだ。

『俳句ねこ』より
『俳句ねこ』より

   ホーム社の担当編集者によると、倉阪さん自身、以前に編んだ撰集『猫俳句パラダイス』に「これらに付けられるような猫の写真があればいいのに」と思っていたそうだ。

「倉阪さんが沖さんのブログ『野良ねこちゃんねる』を見ながら、その写真に俳句を付けて、歳時記風に季節に沿って並べていくことにしました。お話をしているうちに本書が練り上がった感じです」

   倉阪さんは撮影日も記録されたブログから、まず45枚以上の四季の写真を選び、28の句を自身で詠み、さらに12の句を選んだ。

〈はつなつの光はねこの目のなかに〉『俳句ねこ』より
〈はつなつの光はねこの目のなかに〉『俳句ねこ』より

   倉阪さんの一番のおすすめは、〈はつなつの光はねこの目のなかに〉と、〈冬空や猫塀づたひどこへもゆける 波多野爽波〉だという。

「読者それぞれに楽しんでいただければと存じます。そのうえでご自身も猫俳句を詠むようになっていただければうれしいです。ポケット歳時記とデジカメがあれば、読者の皆さんも手軽に本書の姉妹編を編むことができますよ」

   倉阪さん自身は家で猫を飼っているという。

「現在、4匹飼っています。袋小路で、二軒隣にTNR活動をされているお宅があるため、家の中も、外も猫だらけ! 私の猫への思いは、もし『俳句ねこ2』がでれば、ぜひ採りたい次の句に集約されています」

〈どの猫も世界一なり冬篭(ふゆごも)り 松本恵子〉

『俳句ねこ』
発行:ホーム社、発売:集英社
写真:沖昌之
文:倉阪鬼一郎
定価:1400円+税
体裁:B6判変型・96ページ
藤村かおり
小説など創作活動を経て90年代からペットの取材を手がける。2011年~2017年「週刊朝日」記者。2017年から「sippo」ライター。猫歴約30年。今は17歳の黒猫イヌオと、3歳のキジ猫はっぴー(ふまたん)と暮らす。@megmilk8686

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