大阪に子猫の譲渡めざし、触れ合いルーム 獣医師会と企業が協力

 譲渡を待つ子猫と触れ合える「猫のロンパールーム」が大阪市東成区に完成し、10月一般公開された。大阪市獣医師会とペット用品販売会社「PEPPY(ペピイ)」が提携し、住宅型有料老人ホームの一階につくられた。動物病院とシニア世代が協力して子猫を育て、若い世代に託す大阪市の「子猫リレー事業」の一環で、子猫と、猫を飼いたい人との出会いの場として期待される。

猫が快適に過ごせる空間
猫が快適に過ごせる空間

子猫を育て譲渡するリレー事業

 環境省の統計によると、大阪市内では2017年度、661匹の猫が殺処分され、うち540匹が子猫だった。

 大阪市と大阪市獣医師会はこうした猫の殺処分を減らそうと、野良猫の不妊去勢手術に加え、2015年から「子猫リレー事業」を始めた。

 子猫リレー事業の流れはこうだ。

 大阪市動物管理センターで保護された子猫の中で健康状態が良好な子を大阪市獣医師会が譲り受ける。猫たちは事業に参加している獣医師会会員病院に預けられ、猫エイズと白血病の検査、ワクチン接種を受け、生後3カ月まで動物病院で育てられる。その後、「キトンシッター」になった60歳以上のシニア・ボランティアが6カ月まで育て、不妊手術を受けた後、原則40代以下の若い世代の人に譲渡される。

 飼い主になると、月に一度、動物病院で健康状態をチェックし、年に一度はワクチンを接種する必要がある。

室内を歩き回る
室内を歩き回る

譲渡を待つ子猫と直接触れ合い

 ロンパールームは、ペピイが運営する住宅型有料老人ホーム「ペピイ・ハッピープレイス TAMATSUKURI」の1階につくられた。動物病院の手を離れた子猫を飼養しながら、譲渡先を探す。施設内部は北欧の絵本に出てくる森をイメージしたという空間と、レトロな洋館の書斎を模した空間が広がり、猫たちが思い思いに遊んでいる。

 子猫たちの世話は、隣接する大阪ペピイ動物看護専門学校の学生たちがする。上階にある老人ホームはペットと一緒に暮らすことができ、希望すれば、子猫リレー事業のキトンシッターになることもできる。

 これまではキトンシッターの手元を離れると、動物病院に行かなければ子猫に会うことができなかったが、ロンパールームで譲渡対象の子猫といつでも直接触れ合うことができる。最大9匹の子猫がいるため、性格や相性なども確かめられる。

一緒に遊ぶ子猫たち
一緒に遊ぶ子猫たち

 譲渡希望者でなくても入場可能で、多くの人に子猫リレー事業を知ってもらい、譲渡を増やすことが目的だという。

 入場料は30分600円で、収益の一部は子猫リレー事業に寄付される。

 在籍している猫はもちろん、動物病院で譲渡を待つ猫の情報もペピイのホームページで公開しており、譲渡可能な猫は約100匹いるという。

「猫のロンパールーム」
住所:大阪市東成区中道3-8-21 ペピイ・ハッピープレイスTAMATSUKURI 1Fペピイカフェ内
電話:0120-113-022
営業日:月曜、木曜(土日は譲渡希望者のみ事前予約の上入場可)
営業時間:10:00~17:00
入場料:600円/30分
※素足での入場不可(感染防止のため)
※譲渡希望の方は事前にご連絡ください



渡辺陽
大阪芸術大学文芸学科卒業。「難しいことを分かりやすく」伝える医療ライター。医学ジャーナリスト協会会員。朝日新聞社sippo、telling、文春オンライン、サライ.jp、神戸新聞デイリースポーツなどで執筆。FB:https://www.facebook.com/writer.youwatanabe

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