犬猫の譲渡会を大規模施設で イケア、京王百貨店、Jリーグ…
保護犬や保護猫の譲渡会が、商業施設など大きな会場で開催されることが首都圏で増えている。従来は小さな会場で細々と開かれていたが、もともと人が集まる場所に保護団体が犬や猫を連れて行って開催する。保護犬・猫への認知を広げて譲渡をすすめたい保護団体側と、社会貢献や集客につなげたい会場側。双方にメリットがある取り組みとして急拡大している。
埼玉県三郷市にある家具販売チェーン「IKEA(イケア)新三郷店」で11月3日、2回目となる保護犬・保護猫の譲渡会が開かれた。
同店が店舗入り口前のスペースを無償提供し、地元の「みさと動物愛護クラブ」が主催した。保護犬・猫80匹が参加し、来場者は家族連れなど4000人に上った。
同店ローカルマーケティングマネージャーの曽我卓史さんは「動物の力はすごい」と驚く。1回目は9月に開催し、5000人が来場、45匹の譲渡希望があった。当日、イケアはペット用品を10%割引し、売り上げは大幅に伸びたという。
同じ場所で定期的に開かれる青空市場などのイベントでは1000人集まれば良い方だといい、2回の譲渡会は集客力の大きさを印象付けた。
イケアは2017年秋にペット用品の取り扱いを始めたが、認知度が低いのが課題だった。同店では地域貢献ができて、商品のアピールにもなることから、譲渡会の開催を模索していたところ、保護団体側から開催の提案があったという。開催後、ツイッターなどSNSには「イケアやるじゃん」など称賛する書き込みもあった。企業のイメージアップにもつながったようだ。
保護団体から譲渡希望者の近くに
譲渡会の事務局を担当した保護猫カフェ「ねこかつ」(埼玉県川越市)の梅田達也代表は「保護犬・保護猫の存在を、幅広く知ってもらえる」と商業施設での意義を話す。
公園や河川敷などで開いていた従来の譲渡会では、関心のある人は集まるが、一般の人にはなかなか敷居が高い。譲渡を希望する人を待つだけでなく、保護団体側から希望者に近づいていく良い機会になる。
商業施設で開催すれば、店舗やチラシ、ブログなどで告知してもらえる。予算が限られる保護団体には、このPRも大きなメリットになる。
「ねこかつ」では、4年ほど前に川越市の産業観光館で譲渡会をスタート。その後、家具・ホームセンターの「島忠」、「丸広百貨店」など商業施設での譲渡会を広げてきた。
今年8月には、東京都新宿区の京王百貨店新宿店で、都内のNPO「ねこけん」と共催し、2日間で計300匹の保護猫を紹介する国内最大規模の譲渡会を開いた。会場は京王百貨店が店舗内の催事場を無償で提供した。昨年8月に続き2回目で、都内のデパートでは初の試みだ。
sippoが企画したペットイベント「みんなイヌ、みんなネコ」の一環で、京王百貨店のチラシやサイト、SNSなどで告知。猫のストレスに配慮して、譲渡希望者は入れ替え制で、2日間で計1000人が入場し、102匹の譲渡希望があった。
Jリーグのスタジアムでも
譲渡会は商業施設以外にも広がりを見せる。11月4日には、サッカーJ2「横浜FC」のホームスタジアム「ニッパツ三ツ沢球技場」(横浜市)で保護犬・猫の譲渡会が開かれた。試合に合わせスタジアムで譲渡会が開催されるのは、Jリーグでは初という。
インターネットによる保護犬・保護猫のマッチングサービス「OMUSUBI」を運営する「シロップ」と横浜FCが共催した。サポーターが大勢並ぶ入場口の近くに、特設のブースを設置し、保護犬・猫を紹介した。
スタジアムには週末、多くて1万人近い来場者がある。横浜FCとしては、地域社会への貢献になり、「動物を飼っている人に横浜FCを知ってもらう機会になればうれしい」と言う。
今後は譲渡会と合わせ、臨時のドッグランなどイベントも開催したいという。
一般の人がふだん出かける場所で譲渡会が開かれることにより、保護犬・猫と気軽に出会える機会が増えつつある。
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