犬や猫も地震でストレス 一緒に過ごし安心できる場所の確保を

犬や猫に安心できる場所を
犬や猫に安心できる場所を

Q:6月の大阪北部地震以降、飼い犬が給水器から水を飲まなくなりました。給水器はケージに取り付けてあり、そこで余震にあいました。犬にも地震の影響が出るのでしょうか?(大阪府・女性)

A:動物もストレス、一緒にいて安心感を

 人では、地震による強いストレスの影響が出ることが分かっていますが、犬や猫などの動物も似たような状況になることが明らかになってきています。2016年10月に起きた鳥取県中部地震の後に倉吉動物医療センターに来院した犬猫について、地震の影響を調べたことがあります。その結果、犬では37.5%、猫でも33.0%になんらかの地震の影響が見られました。

 犬に表れる症状として多いのは、飼い主への依存度が増したり、よく吠(ほ)えるようになったり、驚きやすくなったり、落ち着きがなくなったりするというものです。比較的若い、昼間は1匹で生活している、大きな音などに敏感――などの犬に、地震の影響が強く出ているようでした。飼い主がそばにいない状況で地震に遭遇すると、より強い影響を受ける傾向もあります。

 また、地震から3カ月後の再調査で、まだ2割強の犬に影響が続いていたことも特徴的です。

 こうしたことから、大きな地震の後には犬、そして猫のメンタルに配慮してあげることが大切だと言えます。特に地震直後にはなるべく長い時間を一緒に過ごし、犬猫にとって安心できる場所を確保してあげることなどを検討しましょう。

 今回の給水器の件については、設置場所をより安心できそうな場所に変えたり、違う容器に変更したり、場合によっては犬が好んで飲む犬用牛乳などを入れてみたりすると、改善されるかもしれません。

山根義久
1943年生まれ。動物臨床医学研究所理事長、倉吉動物医療センター・米子動物医療センター 会長、東京農工大学名誉教授。医学博士、 獣医学博士。2013年まで日本獣医師会会長を務めた。

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この連載について
診察室から
動物臨床医学研究所の理事長を務める山根義久獣医師が、ペットの病気に関する質問にわかりやすく答え、解説するコラムです。
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