なつかない黒猫と奇跡の一枚 煮干し作戦、超微速で接近中
うちのチャッピーやグーグーは寂しがり屋で、スキンシップ大好き猫。でも、猫にはいろんな奴(やつ)がいて、飼い主との関係もそれぞれ違います。
ある日の夜の、映画プロデューサーEさんとのラインのやり取り。
「あのさ、家の、なつかない黒猫最近どうなの?」
「変わんないですよ」
「そうか……どう思ってるのその黒猫について?」
「え……」
「真っ黒だからアンコなんだよね。アンコちゃん、なつかないんでしょ」
「……めちゃくちゃ好きですよ」
「ふーん、今後どうしていきたいの、その関係?」
「今のままでも大丈夫です」
「なんか、大丈夫って、ずいぶん消極的だよね」
「煮干しをあげながら超微速で、接近中です」
「どのくらい接近してるの」
「顔を合わせても3秒くらいは逃げません」
「前はどうだった」
「一瞬で逃げました」
「煮干し作戦、始めてどのくらい経つの?」
「1年半くらいですね」
「で、3秒かあ……虚(むな)しくならないの?」
「全くないです」
「……愛だね」
「ですね」
「保護猫だったよね」
「ですね」
「どこにいたの?」
「麻布の動物病院です。保護猫が3匹いて、その1匹です」
「運命だね」
「ですかね」
「一緒に撮った写真とかないの?」
「……1枚だけ」
「へえ」
「不妊手術前に、1枚だけ撮れたことがあって」
「送ってよ」
写真が送信されて来る。
「おっ、Eさん嬉(うれ)しそうだねえ。たった1回の感触どうだった?」
「ツヤツヤ」
「あのさ、これ、このまま朝日新聞のエッセーにしていい?」
「え?」
「タイトル、奇跡の1枚」
「えーっ」
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