高齢猫(老猫)最期のサインは しっかりとみとってあげるために

目次
  1. 高齢猫(老猫)の最期 サインを知って腕の中で
  2. 猫の最期 みとりの形はさまざま
  3. 猫との別れ、後悔しないために 健康管理と愛情を

 猫といっしょに暮らしている方にとって、その最期をみとるというのは、とてもつらいことでしょう。しかし、飼い主さんが愛猫のためにしてあげられる最後のことといえば、なるべく安心して逝かせてあげるということではないでしょうか。そのときは、いつ訪れるかわかりません。しかし、いつか必ずやってくることは確かです。

 猫の最期のサインを見逃さず、しっかりみとってあげるためにも、そのときがどのように訪れるのかについて知っておきましょう。

 愛する猫の最期が近づいていることを悟るのは、とてもつらいことです。しかし、そこから目をそらして、たった一人でそのときを迎えさせてしまうよりは、最期のサインを知って腕の中でみとってあげたほうが良いのではないでしょうか。

意識がなくなる

 最期のサインは、猫によっても異なりますが、多くの場合、意識がなくなることが、命の終わりが近いことを意味しています。ただし、意識がなくなってすぐに亡くなる場合と、再び意識を取り戻す場合があります。

 最期のときは、調子の良いときと、悪いときを繰り返しながら近づいてくることもあります。いよいよ体調が良くないと感じたら、猫の様子に常に気を配るようにして、最期のサインを見逃さないようにしましょう。

鼓動の変化や嘔吐

 意識の有無とともに、鼓動の変化や嘔吐(おうと)も、体調が急変する兆しであることがあります。嘔吐してしまった場合は、すぐに周りを片付けて、きれいにしてあげましょう。ただし、急に体を動かすと、それが刺激になって、さらに吐いてしまうこともありますので、猫を刺激しないようにしてあげることが大切です。また、中には嘔吐と同時に亡くなってしまう猫もいます。

最期のサインを見逃さないように
最期のサインを見逃さないように

 自宅で介護中に最期のときが訪れることもあれば、病院に入院しているあいだに臨終のときを迎えることもあるでしょう。これは、人間でも猫でも同じことです。

 猫をどのようにみとるかということに、正解や不正解はありません。自宅で飼い主さんの腕に抱かれて亡くなる猫も、病院で精いっぱいの治療を受けながら亡くなってしまう猫も、どちらが不幸でどちらが幸せということはないのです。

 どのような形であったとしても、飼い主さんが猫のためを思って選択したのであれば、それが一番の最期の形であったといえるでしょう。

「もっとこうしてあげれば良かった…」と後悔しないためには、どのような治療方針を取るのかをしっかり吟味することと、猫にいっぱいの愛情を与えることが大切です。日々、たっぷり愛情を注がれていたのであれば、猫の最期が不幸であるはずはないのです。

猫にいっぱいの愛情を
猫にいっぱいの愛情を

「長年連れ添った高齢猫が、穏やかに旅立つのを腕の中で見送る」というのは、多くの飼い主さんにとって理想の別れの形でしょう。しかし、必ずしも猫の最期がこのような形になるとは限りません。昨日まで元気いっぱいだった猫や、まだ若い猫が突然亡くなってしまうということもあるのです。

 愛する猫とこのような突然の別れをすることになったとき、飼い主さんは大きなショックを受けるでしょう。また、強い後悔に襲われる方もいるかもしれません。

 残念ながら、突然死は避けることはできません。しかし、できるだけこうしたリスクを低減させることはできます。「若いうちから健康診断をする」「定期的にワクチンを打つ」「外に出さない」といった対策をとるだけでも、愛猫を突然失う可能性を下げることができます。

 かけがえのない命を失ってしまってから後悔しても、取り返しはつきません。いつそのときが来ても後悔することがないよう、健康管理に気を配りましょう。そして何より、毎日猫に対してたっぷりの愛情を注いであげることが大切です。

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東京猫医療センター(東京都江東区)院長。JSFM(ねこ医学会)CFC理事。 北里大獣医学部卒。2005年から猫専門病院長を務める。2012年に東京猫医療センターを開院。2013年、国際猫医学会からアジアで2件目となる「キャット・フレンドリー・クリニック」のゴールドレベルに認定される。

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この連載について
高齢猫との暮らし方
室内飼いが増え、猫も長寿に。高齢猫と長く幸せに暮らす方法や、万一の時の対応について、猫専門の服部幸獣医師が解説します。
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