白猫が登場する名作が米国で話題 変わらない「大林スマイル」

「HOUSE/ハウス」のジャケットにも猫が
「HOUSE/ハウス」のジャケットにも猫が

 最近、アメリカの映画ファンの間でも有名になりつつあるのが1977年製作、大林宣彦監督の「HOUSE/ハウス」に登場する白猫だ。

 アメリカの映画情報サイト「インディーワイヤー」が昨年、クライテリオン社が発売している世界の名作の中からファン投票によるベスト10を発表した。日本映画では、黒澤明監督の「七人の侍」が入った。もう1本、小津や溝口ではなく、大林監督の傑作怪奇映画「HOUSE/ハウス」が入ったのだ。

 大林監督は現在、故郷の尾道で新作の撮影中。一昨年は余命3カ月と宣告されながら、病をおして「花筐/HANAGATAMI」の撮影を決行。昨年は各映画賞を受賞された。そして、ついに7月、「海辺の映画館―キネマの玉手箱」の撮影に入られた。始まって早々の猛暑と、集中豪雨に見舞われた広島での撮影。気を揉(も)んでいると、やはり同じ思いの山田洋次監督も、尾道に大林さんを励ましに行きたいという。

 大林さんは、元気だった。山田さんより先に着いた私を、いつもの大林スマイルで迎えてくれた。順調なペースで、もちろん以前のように歩き回って指示が出せないことのストレスはありながらも、次々に重要な場面を撮り上げていく。チャールズ・ブロンソンの「マンダム」のCM撮影時にハリウッドで作ったディレクターズチェアに「O.B.OBAYASHI」の文字。その後ろ姿を見つめながら、初めてお会いした20歳の頃からずっとこの背中を追いかけて来たのだなあと思う。

 山田さんが到着。手を握り合う2人。撮影所に入ることが映画に近づく唯一の方法だった山田さんと、撮りたい欲望に従って8ミリカメラを握りしめ、映画に近づいていった大林さんがこの尾道で心を通い合わせている。86歳、多忙の山田さんが笑顔で励ます姿に、そして、返す大林さんの笑顔に、人とちゃんと会うことの大事さを思う。来年は大林さんの新作が見られますよ、皆さん。その前にこの夏、ぜひ、こわ~い「HOUSE/ハウス」も。

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犬童一心
1960年東京生まれ。映画監督。主な監督作品に「金魚の一生」「二人が喋ってる。」「金髪の草原」「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」「のぼうの城」など

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遠い目をした猫
「グーグーだって猫である」などを撮った映画監督で、愛猫家の犬童一心さんがつづる猫にまつわるコラムです。
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