障子は破って、登るためにある? 超やんちゃな猫たち

障子の破れ目から顔を覗かせるトラ身(右)と、半身を乗り出すサバ身(左)。トップクライマーのサバ身は桟に足場を取り、さすがのバランスで長逗留する
障子の破れ目から顔を覗かせるトラ身(右)と、半身を乗り出すサバ身(左)。トップクライマーのサバ身は桟に足場を取り、さすがのバランスで長逗留する

 ネコの仕業が人間に都合のよいことばかりと思うなかれ。時に人知の及ばぬ所業もある。それを天命と、研鑚を積むネコもいる。ココニャ家のサバ身(2歳・雌)とトラ身(2歳・雌)の話だ。彼女たちは、ネコ界にその名を轟かす障子クライマー。ココニャ家の「障子破り猫軍団」の双璧だ。

 障子の桟に巧みに脚をかけ、障子を蹴破り、一気に頂まで駆けあがる。破れた障子の間から顔を覗かせるその雄姿に、人間たちは震撼し、大いに沸いた。「まさに悪魔の所業だ!」と。

 彼女たち、もとは寄る辺ない野良だった。生後間もなく、他の2匹の姉妹とともに保健所に連れていかれそうになるところを、ココニャさんの父親にかくまわれた。「飼えないか」と持ちかけられ、すでに先住4匹と暮らしていたココニャさんは快諾。一番体の小さかったサバ身とトラ身2匹を引き受けた。

障子の上でくつろぐサバ身のしっぽ。体を二つに折り曲げ、前脚を伸ばし、下のトラ身を見つめている。そこに障子があれば破り、桟があれば体を預ける。ポーズも自由自在だ
障子の上でくつろぐサバ身のしっぽ。体を二つに折り曲げ、前脚を伸ばし、下のトラ身を見つめている。そこに障子があれば破り、桟があれば体を預ける。ポーズも自由自在だ

 障子クライマーとしてのデビューは、1歳の頃だ。ある日、ココニャさんが帰宅すると、サバ身が障子の上に佇んでいた。 「障子は派手に破れていました。破れたところを足掛かりにして登ったようです」(ココニャさん)

 初期は失敗もあった。ハラハラするような体勢での滑落もよく見かけた。だが、そこは天才。

「見る間に上達していきました。障子が破れるにつれて、盛り上がってくる感はありますね」(同)

 登頂後、サバ身はどこか得意げに長時間逗留する。一方、トラ身はすぐ下りる。クライミングスタイルもネコそれぞれだ。

 ココニャさん、半年に1度は障子を張り替える。最近、障子紙もプラスチック製に替えた。だが、サバ身もトラ身もめげなかった。強化紙に爪を立て、頭をこすり付けて嬲り、弱らせたところを突破口に登っていく。

「足腰の鍛錬と健康のためにも、初老までは現役のクライマーでいてほしい」(同)

 サバ身もトラ身もまだ2歳、ネコ盛りだ。「なぜ登るのか」と尋ねたら、「そこに障子があるから」と答えてくれるかもしれない。登ることも生きることも、彼女たちにとっては、極上のエンターテインメントだからだ。

(写真・岸本絢)

まるごと1冊「猫」を特集したAERA(朝日新聞出版)の増刊「NyAERA(ニャエラ)」から選りすぐった記事です。

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