新作映画「猫は抱くもの」 1人と1匹、境界線の物語
私の新作映画「猫は抱くもの」が23日に公開されました。元アイドル、今はスーパーで働く女の子を沢尻エリカさんが、彼女と共に過ごし恋に落ちてしまう、自分を人間だと思い込むロシアンブルーを吉沢亮さんが、それぞれ演じます。
最近は京都で時代劇を撮影していたのですが、その撮影が終わってすぐ、1日だけ上海に行ってきました。なんと、「猫は抱くもの」が、上海国際映画祭のコンペティション部門に出品されたのです。
監督としては、大山淳子さんの原作小説を映画化するにあたり、日本特有の少女漫画文化、そして「綿の国星」「グーグーだって猫である」の作者である大島弓子さんの存在を前提とした「猫と人間の関係」を導入して描いた作品。ある意味ドメスティックなものなので、それが、どう中国の皆さんに受け入れられるのか非常に興味深いです。
大島弓子さんの持つ猫への視点とは、猫を、人間世界の住人と決めつけず、といって、野生の生き物だと切り離さず、境界線の生き物、故に、人にとって、常に外の世界を知るための気づきの生き物として描いていくということ。その視点から見た1人と1匹の物語。それが、「猫は抱くもの」です。
みんな一緒になって分け隔てなくあろうぜ、などと叫ぶことなく、境界線がなくなることを望むのでもなく、はっきりそれがあることを認め見つめた上で、どう共にあることが出来るのか? 20世紀を経て、21世紀以降の人類においてもっとも大きな課題が実はそこにあるのです。なんて大げさに言えばそうですが、楽しくグッとくる、目の保養にも耳の保養にもなる映画を目指して、みんなで作りました。
写真は京都生活に付き合ってくれている我が家のチャッピーとグーグー。こんなに長く一緒に旅先にいたのは、映画「眉山」の徳島以来です。撮影が終わって会えると、とてもホッとするよ。いつもありがとう。
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