セラピードッグに魅了 フリーアナウンサー原田真裕美さん語る

(写真は本文と関係ありません)
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■癒やしのパワー、心軽やか

 今年は戌(いぬ)年ということもあって何かとクローズアップされることの多いワンちゃんたち。


 特に秋田犬を誇る秋田県では、イベントやPR活動で大活躍である。湯沢市の「犬っこまつり」は、まさに犬が主役。会場はおしゃれに着飾った小型犬からたくましい大型犬まで集まり、犬同士の、そして愛犬家同士のほほえましい交流の場となった。


 今回のまつりに初お目見えしたのは、日本アニマルセラピー協会で認定された3頭のセラピードッグたち。認定条件は(1)決して声を出さない(2)誰にどこを触られても嫌がらずニコニコしている(3)他犬と仲良くできる(4)服従訓練ができている――となかなかハードルが高い。


 この四つの条件をクリアした品格のあるセラピードッグの飼い主は3人ともアニマルセラピスト。昨年11月に設立した日本アニマルセラピー協会秋田支部の発足メンバーだ。支部長の仁村仁子さんは「動物の持つ癒やしの力を借りて人間の心身の健康を導くアニマルセラピー。秋田で一緒に活動できる犬や仲間を増やしたい」と語る。


 犬といえば私が生まれる前、我が家でも「かめ」という名の秋田犬を飼っていた。主人である父に忠実に仕え、いくら空腹でも父の許可が下りるまで目の前のえさに決して口をつけなかった。妊娠、出産で気が荒くなった時も父にだけは牙を向けなかったという。


 晩年、父は「また犬を飼いたい」と嘆願したが、病弱な母の賛同を得られず断念。その時の寂しげな顔が今も記憶に残っている。亡き父の願いをかなえられなかったこと。そしてなぜ、愛犬に「かめ」という名をつけたのか聞きそびれてしまったこと。今更ながら悔やまれる。


 セラピードッグとのふれあいが過ぎ去りし日の思い出をよみがえらせてくれた。番犬にほえまくられたこともあった。野良犬に追いかけられ全力疾走で逃げ回ったこともあった。それでも犬嫌いにならなかったのは「忠犬かめ物語」を幼い頃から昔話代わりに聞かされていたお陰かもしれない。


 セラピードッグには和犬よりも洋犬が適しているとのこと。まつりにやってきたセラピードッグも全て洋犬だ。深く澄んだ優しい瞳のゴールデンレトリバー。美しい毛並みに触れているとそれだけで心が落ち着く。ふわふわ真っ白い毛が魅力的なスタンダード・プードル。人懐こく、寄り添われるといとしさがこみ上げる。快活で愛嬌(あいきょう)たっぷりのオーストラリアン・ラブラドゥードル。見ているだけで思わず笑顔になる。


 ラジオ番組のインタビューをしながら、セラピードッグたちにすっかり魅了されていた。癒やしのドッグパワーをもらった私は、心軽やかに次の仕事場へと向かった。

 

フリーアナウンサー・原田真裕美さん
秋田県羽後町生まれ。コミュニティーFM放送局のパーソナリティーを務め、羽後町立図書館長として地域ぐるみの読書推進活動に取り組んでいる。
朝日新聞
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