子犬には正しい遊び方がある! 遊び、散歩は勉強と同じ

目次
  1. 遊び不足が問題行動を引き起こす
  2. 散歩はどうして必要?
  3. おもちゃ遊びで覚えられること
  4. 間違った遊び方に注意
勉強の意味もある子犬の遊び
勉強の意味もある子犬の遊び

 子犬はよく寝て、よく食べて、よく遊びます。子犬をどのように遊ばせるか、遊びが十分足りているかは、その後の犬の性格にも関わってくることです。正しい遊び方を知り、子犬にとって有意義な遊びの時間を与えられるようにしましょう。

 

 

 犬は遊ぶのが大好きです 。ですから、飼い主が正しい遊び方を教えてあげなかったり、遊ばせずに長時間ケージに閉じ込めたままにしたりすると、ストレスが溜まってしまいます。すると、犬はイライラして怒りっぽくなり、物を壊したり、吠え癖がついたり 、自分の手足を延々舐めたりといった 問題行動を起こすことがあります。


 犬の心の健康を保つためには、十分に遊んで、犬の「遊びたい」という欲求を叶えてあげることが大切です。さらに、飼い主が犬といっしょに遊んであげたり、楽しいことを教えてあげたりすることで、飼い主と犬のあいだに強い信頼関係を築くこともできるでしょう。


 このように、犬にとっての遊びは、「楽しみ」というだけではなく、健康な心身を作るために必要不可欠なものなのです。

 

 

 犬の散歩は、単なる運動のためだけに行うものではありません。もし、散歩が犬にとって体の健康のためだけに行われるのであれば、家の中で必要な距離を歩けば良いということになってしまいます。犬にとっての散歩は、「体を動かす」ということ以上の大きな意味を持っているのです。


 犬は学校や会社に行くことがありません。家族以外の人と遊びに出掛けたり、電話をしたりすることもできませんから、散歩に行かない犬は、家族以外とほとんどふれ合わないまま毎日を過ごすことになります。もし、それが子犬であれば、そういう子犬は社会化ができなくなり、いざ外の世界に出たときに「怖い」という感情を抱いて攻撃的になったり、萎縮してしまったりします。


 散歩というのは、子犬にとって「家の中ではない場所」で「家の中では出会うことのない人」や「自分以外の犬」に出会い、「聞いたことのない物音」や「普段とは違う肉球の感触」などを感じられる、とても刺激的な時間です。こうした多くの刺激にふれることは、子犬にとって非常に勉強になることですし、社会性を養うために役立つことでもあります。


 子犬のうちは、特に意識してたくさんの刺激にふれさせ、いろいろな経験を積むことが大切です。こうした経験によって、子犬はたくさんの楽しみを知り、社交的に育つのです。


 さらに、家の中でいたずらをしたり、ささいな物音に吠えたてたりといった問題行動も、散歩に行くことで抑えることができるでしょう。散歩をして心身にたくさんの刺激を受けたあとの犬は、疲れて眠ってしまうことが多いからです。

 

散歩にも、社会性を養う意味合いも
散歩にも、社会性を養う意味合いも

 十分に散歩をしていれば、家の中でのおもちゃ遊びはしなくてもいいのかというと、そうではありません。散歩が外の刺激にふれるという観点から重要であるのと同様に、家の中でのおもちゃ遊びは、飼い主との関係を深めたり、人間社会で暮らすためのルールを教えたりするのに役立つからです。


 また、犬との生活の中で、悪天候などの理由で散歩に行けないこともあります。そういうときに、家の中できちんとおもちゃ遊びができれば、犬のストレスが溜まることも防げます。


 遊びも飼い主も大好きな犬にとって、飼い主といっしょにおもちゃで遊ぶことは大きな喜びです。中には、興奮のあまり吠えてしまったり、おもちゃを奪おうとして飛び掛かったりする犬もいるかもしれません。しかし、犬と人間が仲良く暮らすためには、このような行為はやめさせる必要があります。


 そこで大切なのは、遊びの中にきちんとルールを設けることと、そのルールに犬を従わせることです。遊びを始めるまえに「お座り」や「待て」をさせて、「言うことを聞いたから遊んでもらえた」という状況を作るようにしましょう。「お座り」や「待て」などのしつけは、おやつをご褒美にして教えることが多いですが、犬が大好きな「遊び」をご褒美にすることもできるのです。

 

純真でかわいい子犬
純真でかわいい子犬

 犬との遊び方を間違えると、のちの問題行動につながる可能性があります。タオルを手に巻き付けて咬ませたり、ヒラヒラと顔の前で手を動かしたりする行為は、犬に「手を咬みたい」と思わせてしまう行動です。


 また、手を咬まれたときに悲鳴をあげたり、別のおもちゃで気を引いたりすると、「手を咬むといいことがある」と思わせてしまう可能性があります。犬にとって、甲高い悲鳴は獲物を連想させてより興奮しやすくなったり、飼い主が「喜んでいる」と勘違いさせたりします。さらに「手を咬んだらおもちゃが出てきた」という経験をさせるのも良くありません。


 また、幼い子供が犬を遊ばせる場合、正しいルールを守れないことがあります。犬がルールを覚えるまでは、混乱したりケガをしたりする要因になるため、幼い子供だけで犬と遊んだり、散歩に連れていったりする状況は避けましょう。

 

【前の回】子犬の問題行動! しつけがうまくいかなくても叱らないのがコツ
【次の回】子犬にも反抗期がある! 咬まれるときはどうしたらいい?

 

「こころのワクチン ――子犬に教える人としあわせに暮らす方法」

著者:村田香織
出版社:パレードブックス
定価:1,543円 (税込)
体裁:四六判・294頁(ソフトカバー)

監修:村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「パピーケアスタッフ養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。

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この連載について
子犬の飼い方・しつけ方
犬のしつけで大切なのは、子犬の時期。飼い方やしつけのポイントを、動物行動学に詳しい獣医師に解説してもらいます。
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