物を噛む、留守番ができない… 子犬の問題行動への対処法

「物を噛む」「ケージに入りたがらない」「留守番ができない」など、犬の問題行動に悩みを持つ方も少なくないようです。しかし、子犬は決して「飼い主を困らせよう」などとは思っていません。ただ単に、子犬には普通のことが、人間にとっては迷惑な行為というだけなのです。ですから、人間にとって困ったことをしたといって、子犬をやみくもに叱らないようにしてください。人間のためにも、子犬のためにも、正しい対処法を知っておきましょう。

子犬は嚙んでほしくない物を嚙むことも
子犬は嚙んでほしくない物を嚙むことも

犬が物を噛んでしまうのは…

 スリッパやコンセント、スマートフォンなどは、「犬に噛まれると困る物」です。しかし、子犬には、これらの物と自分のおもちゃとの見分けがつきません。すべて「おもしろそうな物」「目新しい物」になります。

 目の前に気になる物があれば、どんな物かを知るために、犬はにおいを嗅いだり、舐めてみたりします。これは、好奇心を満たすためにしている自然な行動で、「壊してやろう!」などとは思っていないのです。

 とはいえ、犬が噛んではいけない物を噛んだとき、「悪気がないから放置していい」というわけにはいかないでしょう。そこで、多くの人は「ダメ!」と言って噛んでいる物を取り上げようとします。

 ところが、犬が噛んでいる物は、犬の世界では口にした時点でその犬の物なので、それを取り上げるのは、ルール違反になります。飼い主が犬の見つけたものを次々に取り上げると、犬は飼い主に不信感を持つようになります。やがて何かを口にしている時に飼い主が近づくと逃げたり、うなったり、場合によっては飲み込んでしまうようになることもあります。

 逆に物を噛むことで「飼い主が構ってくれた!」というプラスの働きをしてしまうこともあります。こうなると、子犬はまた飼い主と遊んでもらおうとして、再び「噛んではいけない物」を噛もうとしてしまうのです。

噛まないようにさせる方法

 噛むことに関するトラブルを解決するために、次のことを意識してみましょう。

・噛んではいけない物を犬の届く場所に置かない
 噛んではいけない物を、犬の届く場所に置かないことが一番大切です。犬に「いけないことをする隙」を与えなければ、人間も犬も幸せな生活を送ることができるのです。

・犬の欲求を満たす
 犬が退屈だったり、「噛みたい」という思いを発散できずにいたりすると、問題行動が起こりやすくなります。散歩やおもちゃ遊び、噛んで楽しむおやつなどを使って、犬の欲求を満たしてあげましょう。

・いけない物を噛んだら、おやつで気を引く

 犬がおやつに気を取られている隙に、噛まれていた物を素早く片付けましょう。ただし、これを繰り返すと、「これを噛んだらおやつがもらえた」と思うようになります。したがって日頃から噛まれて困るものは犬が届く場所に置かないというのが基本です。

 また日頃から「おいで」の合図を教えておいて、犬が物を噛んでいるのを見つけたらおやつを見せずに、さりげなく別の場所に呼び寄せてからおやつを与えて、それに夢中になっている間に気づかれないように片付けましょう。

 さらに「ちょうだい」という合図を教えて、口にしている物を喜んで飼い主に渡すようにトレーニングすることもできます。

子犬がケージに入るようにするには
子犬がケージに入るようにするには

犬がケージに入りたがらない

 ケージに入りたがらなかったり、入れると鳴いてしまったりする犬は、ケージを「嫌な物」だと感じている可能性があります。ケージやクレートに入るトレーニングをすることは、犬の移動時やペットホテルなどに預ける際のほか、災害時などにも役立ちますから、小さいうちから練習しておきましょう。

ケージに入らせる方法

 それでは、犬がケージに入るようにする方法をご紹介します。

・入りたいケージにする
 犬は食べたり寝たりする場所と、トイレの場所を区別します。犬が寝たり食べたりするスペースとトイレは、分けるようにしましょう。

・ケージで過ごす時間の調整
 ケージに入れられている時間が長過ぎる犬の場合、ケージは、飼い主に構ってもらえない場所、または自由が奪われる場所と感じている可能性があります。ケージに入れる時間が長すぎないか見直してみましょう。

 ケージに入れる時は、お気に入りのベッドなどを用意しておやつで誘導しましょう。中に入ったらほめて、おやつをあげることで、「この中に入るといいことがある」と教えることができます。

子犬が留守番できるようにするには
子犬が留守番できるようにするには

留守番ができない

 家族に迎えたばかりの子犬は、母犬や兄弟犬、友達などと別れて知らない家に連れてこられた状態ですから、いろいろと不安に感じることでしょう。そんな中で、いきなり5時間や10時間も放置されてしまったら、おとなしく待っていられないのも当然ではないでしょうか。留守番をさせるときは、犬がストレスや不安を感じずに済むようにしてあげてください。

留守番ができるようにする方法

 それでは、どうしたら留守番ができるようになるのか、ご紹介します。

・眠らせる
 具体的には、留守番前に散歩に連れて行ったり、おもちゃで遊ばせて疲れさせたりするのが効果的です。そうすれば、子犬はぐっすり眠ることができて留守番しやすくなるでしょう。

・気をそらす
 食べるのに時間がかかるガムや、おやつが取りにくいおもちゃなどを利用して、ケージの中で退屈させないようにするのもおすすめです。

・少しずつ慣れさせる
 ごく短時間から始めて、少しずつ長い時間の留守番に慣らしていけば、留守番に対するストレスを軽減することができます。

・環境を整える
 ケージで留守番をさせることが難しい犬の場合は、部屋の中を片付けて、フリーで留守番ができるように環境を整えることも検討してみてください。ただし、その場合は、コードや人間の食べ物などの危険な物がないか十分確認してください。

 ここまで留守番させる方法についてご紹介しましたが、そもそも犬にとって、毎日長時間の留守番をしなければいけない生活は大きな負担になります。さらに、子犬の場合は、社会化などにも影響を及ぼしてしまうでしょう。飼い主のためにも子犬のためにも、犬の幼稚園やペットシッターなどの利用を検討してみてください。

まずは、犬への負担を減らすことから

 人間が問題行動だと思っていることの多くは、犬にとってのストレスが原因で起こっています。なるべく犬が負担を感じないような生活環境を作ってあげることで、犬の問題行動を軽減させることができるはずです。子犬も含め、家族みんなが快適な日々を過ごせるよう、生活を見直してみてください。

「こころのワクチン ――子犬に教える人としあわせに暮らす方法」

著者:村田香織
出版社:パレードブックス
定価:1,543円 (税込)
体裁:四六判・294頁(ソフトカバー)

監修:村田香織
獣医師、もみの木動物病院(神戸市)副院長。イン・クローバー代表取締役。日本動物病院協会(JAHA)の「パピーケアスタッフ養成講座」メイン講師でもある。「パピークラス」や「こねこ塾」などを主催、獣医学と動物行動学に基づいて人とペットが幸せに暮らすための知識を広めている。
この特集について
子犬の飼い方・しつけ方
犬のしつけで大切なのは、子犬の時期。飼い方やしつけのポイントを、動物行動学に詳しい獣医師に解説してもらいます。
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