子犬へのトイレのしつけ方 すぐ覚えなくても叱らず、焦らず
犬のしつけと聞いて、多くの方がまず第一に思い浮かべるものに「トイレ」があると思います。吸収力のある子犬のうちに、きちんと覚えさせたいものです。ところが、トイレの場所を教えようにも、犬には言葉が通じません。迎えたばかりの子犬へのトイレのしつけ方や、食糞などトラブルへの対応についてご説明します。
子犬のうちにトイレを覚えさせる重要性
犬と生活を送る上で、トイレのしつけは非常に大切です。トイレのしつけができていない犬は、部屋のあちこちで、おしっこやうんちをしてしまいますから、飼い主は毎日片付けに振り回されることになります。
犬の中には、トイレは屋内ではなく、散歩中に済ませるという子もいるでしょう。確かに犬はもともと他の犬の排泄物の匂いのある場所に排泄する習性があるため、散歩中に排泄するようになると、室内では排泄しなくなる子も少なくありません。散歩中だけに排泄するようになれば、家の中で粗相をされる心配はありませんし、特別なしつけも必要ないかもしれません。
しかし、外でしか排泄ができないというのも問題です。なぜなら、散歩に行けないときには排泄ができなくなってしまう可能性が高いからです。
雨風などの悪天候、飼い主の外出や体調不良、犬がケガした場合など、犬との長い生活の間には、散歩に行けないこともたくさんあります。いろいろな状況に対応できる犬に育てるためには、どこにいても排泄ができるようにトレーニングしておく必要があるのです。
トイレでの排泄を失敗するたびに、飼い主が不機嫌になったり、困ったりする様子を見せることは、犬にとってもストレスになります。犬のためにも、人間のためにも、犬の学習能力が高い子犬のうちに、しっかりトイレのしつけをしておきましょう。
トイレのしつけの進め方
ここでは、トイレのしつけについて、順を追って説明していきます。
1. トイレの場所を決める
トイレの場所を教えるためには、まず、適切な場所にトイレを設置する必要があります。
一般的に、ベッドや食事場所などのスペースから遠い、部屋の隅などがトイレの場所として好まれます。しかし、それぞれの犬によって最適な場所は違いますから、実際にどこに置くかは、犬が日ごろどこで排泄したがるかなどを考慮して決めましょう。
また、トイレに行きたくなったときに、すぐに行ける場所にあることも大切です。犬には、「トイレで排泄しなければいけない」という意識はありません。そのため、トイレが普段活動している場所から遠いと、わざわざそこまで移動しようとは思わない可能性があるからです。
2. トイレの場所を認識させる
トイレの場所を決めたら、おしっこを少し付けたペットシーツを敷いておきます。おしっこのにおいをつけることで、子犬に「ここがトイレなんだよ」と教えることができるのです。
このときに、「トイレの周りにペットシーツと似た素材の敷物を敷かない」ことが大事です。子犬がしっかりトイレの場所を覚えるまでは、犬が誤解をしやすい素材を周囲から取り除いておきましょう。犬にトイレをしつけるためには、まず、犬が失敗しないように環境を整えてあげることが大切です。
3. トイレで排泄したくさせる
排泄をしているときは、「ちー、ちー」などと声をかけ、うまくできたら思いっきり褒めましょう。あらかじめご褒美のおやつやフードを用意しておいて、排泄した直後に食べさせてあげてください。飼い主に飛びついてきた後や、部屋を歩き始めてからでは、何についてのご褒美なのかが理解できません。「成功したら、すぐにご褒美」を合言葉に、家族全員で徹底するようにしてください。
失敗、食糞などトラブルへの対応は
ここでは、トイレのしつけについての注意点をご紹介します。
・失敗を叱るのではなく、成功を褒める
トイレのしつけで一番大切なのは、「トイレを覚えない犬を叱らない 」ということです。トイレを失敗したときに叱ってしまうと、子犬が、「排泄(おしっこやうんち)したら大好きな飼い主に叱られた」と誤解しかねません。こうなると、「排泄したらいけないのかな?」と思ってしまう恐れもあります。
失敗したときに叱っても、犬はなぜ叱られているのかわかりません。失敗したときに叱るのではなく、成功したときに褒めて覚えさせましょう。
・覚えなくても焦らない
しつけを覚えるスピードは、犬によって異なります。すぐに覚えられる犬もいれば、同じように教えていてもなかなか覚えられない犬もいます。それも犬の個性ですから、なかなかしつけられないからといって、焦らないようにしてください。
ただし、あまりにうまくいかない場合は、教え方に問題があるかもしれません。しつけのプロや獣医師に相談するなどしながら、トイレのしつけを進めましょう。
・うんちを食べてしまったら
子犬がうんちを食べてしまうこともあり ます。視覚的には非常にショッキングな光景ですが、犬にとって食糞は、それほど不自然なことではありません。食べてしまったからといって、大きな問題が起こるわけではありませんから、慌てて悲鳴をあげたり、叱ったりしないようにしてください。
食糞がある場合は、排泄後に犬をうんちから遠ざけるようにしましょう。おやつなどを利用して、犬がおやつに気をとられているあいだに、うんちをそっと片付けます。
このとき、犬と競い合うように急いでうんちを片付けようとすると、「飼い主もうんちを取ろうとしている。もっと急いで食べなくちゃ」と思わせてしまう可能性があります。気付かれないように、さりげなく行うことが大切です。
マーキングにも注意を
子犬の排泄回数は成犬に比べて多めです。それだけ教育の機会も多いということですから、生活タイミングを見計らって、おしっこやうんちをしそうなタイミングでトイレに連れていきましょう。まずは、起きた後に連れていってみるのがおすすめです。
なおトイレのしつけが完了しても、ドッグカフェや動物病院など不特定多数の犬が行く場所では、マーキングとして排泄する子は少なくありません。他の犬がいない自宅でのマーキングは去勢手術によって改善する場合が多いですが、不特定多数の犬がいる公共の場所でのマーキングは去勢手術で完全になくすことは困難です。いろいろな犬が行く場所に行く際や、愛犬同伴で旅行をするとき、友達の家へ連れて行く際などは念のためにマナーウエア(犬用オムツ)をつけていくことをお勧めします。
著者:村田香織
出版社:パレードブックス
定価:1,543円 (税込)
体裁:四六判・294頁(ソフトカバー)
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