猫みたいに生きてみたい!? 猫を見ながら人生を考えた
「あの人は、猫みたいな人」というと、媚びないとか、孤独が好きとか、小悪魔的とか、自由奔放というイメージがあります。人に好かれるか嫌われるか、完全に分かれそうな“猫みたいな人”ですが、そんな風に生きたい、という人が増えているのだとか。
フランスで出版され、世界22か国で翻訳された「猫はためらわずにノンと言う」(ダイヤモンド社)という書籍が人気なのだそうです。内容は、フランス人の著者が猫と暮らす中で気づいた、幸福に生きる方法が紹介された“猫に教わる人生指南書”。
読んでみようと思ったのですが、ネットでは軒並み品切れ中で、書店に行っても“取り寄せ”とのこと。電子書籍ならすぐ手に入るのでしょうが、私は導入していないため、タイトルだけで妄想したり、我が家の猫に見る人生観について考えることにしました。
ネットのなかった時代は、なかなか手に入らないものについて、想像を巡らせたものです。つまりこの記事の内容は、その本とは一切関係ないので、お暇な人だけ読み進めていただければ幸いです。
確かに、「猫はためらわずノンと言う」というタイトルにはうなずけます。人間は嫌なことでも断れず、やむなく受け入れたり、断りの文句をあれこれ考えることも多く、ストレスをためがちです。一方、猫は損得など考えず、嫌なものは嫌、とハッキリ言う、ということなのでしょう。
我が家では、サビ猫のあんずの場合「ノンと言う」というより、「主張する」のほうが合っているかもしれません。やりたいことがあるときは、飼い主の目を見て鳴いて主張して、要求が通るまであきらめません。
特に、遊びたい時の主張が激しいのです。
「夜遅いから、明日にしよう」と言っても、あきらめないので、“高い高い”をしてあげます。
あんずを抱きかかえて“高い高い”をすると、一旦大人しくなります。「ホラ、あんずちゃん、高いでしょ! 楽しいねえ!」と盛り上げても、目はうつろで首はぐんにゃりしています。
あんずから「これじゃないんだよ!」感がひしひしと伝わってきて、高い高いが終わるとまた鳴き始め、結局遊ぶ羽目になるのです。
そんなあんずは、ストレスなどなさそうで、いつもご機嫌ですが、人間に置き換えて考えてみるのは難しい気もします。自分の主張が通るまで頑張るって、少なくとも日本では暮らしにくそうだなぁ……。
一方、キジトラ猫のモモは、主張もなければ、ほとんど「ノン」も言いません。
エサは何でも食べるし、量が足りなくても文句を言わないし、薬も我慢して飲むし、爪は切らせてくれるし、遊びたいそぶりは見せないし、甘えたい時も控え目です。「ノン」と言うのは、お風呂のときくらい。
あとは、モモの命の恩人(雨に濡れた子猫のモモを保護してくれた人)が、大きくなったモモに会いに来たとき、「シャー!」と抵抗していたことくらいでしょうか……。
モモは、飼い主にはあまりわがままを言いませんが、よその人との関わりを避けようとはします。
これは、人間に置き換えると、ちょっと嫌だと思った人とは、無理に付き合う必要はない、ということに置き換えられそうです。まぁ、命の恩人を嫌がるっていうのもどうかとは思いますが……そこは猫だから仕方ありません。
そんな猫たちですが、私が2匹を見習いたいと思うことといえば、猫らは毎日寝て、食べて、寝て、遊んで、寝て……という暮らしに、おそらく満足しているということでしょうか。聞いたわけではありませんが、満足していなかったら、とっくに家を飛び出していると思います。
限りある命なのだから、すべきことに挑戦しよう! とか、目標のない人生なんて、ありえない! なんて少しも思っていないのでしょう。
私たちは、病気になったら健康さえあれば良いと思うのに、健康だと、あれこれないものねだりをしてしまいがちです。
寝るところがある、食べるものがあることだけでも、素晴らしいことなのに、なかなかそうはいきません。
とはいえ、主張の激しいあんずは、家族の中で誰よりも生き生きしているので、勇気をもってあんずみたいに生きてみたいとは思います。わがままでも、元気を振りまいてくれるあんずのように生きてみたい。それも、ないものねだりなのかもしれませんが。
猫の個性によっても、教えてもらえることは様々でしょう。猫を飼っている人はみんな、色々なことを飼い猫に教わっているのかもしれません。
(ヤスダユキ)
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