犬との幸せな生活に、しつけは大切 「人間のルール」を教えよう
子犬を飼い始めることは、楽しさとともに、責任を負うことにもなります。「しつけ」についても考えないといけません。かわいい子犬をしつけるのはかわいそうだし、愛情を持って接すれば問題ないと思う方もいるかもしれません。しかし、子犬はこれから人間の社会の中で、飼い主の「家族」として生きていく存在です。人間社会のルールを学び、信頼関係を築くことで、幸せに暮らしていくことができるようになります。言葉をもたない子犬のしつけのポイントを整理してみましょう。
犬の暮らしと人間の暮らしは本来異なるもの
家族同然とはいっても、当たり前ですが、犬は人間ではありません。ですから、犬にとっての「当たり前の暮らし」と、人間にとっての「当たり前の暮らし」は同じではありません。
なんのしつけもされていない犬にとって、おしっこをしてはいけない場所なんてありませんし、嫌なことがあれば吠え、敵だと認識した相手には咬みつきもします。おもしろい物を見つければ車道にも飛び出しますし、家の中の物をかじって壊してしまうことだってあるでしょう。
また、犬は群れを作って暮らす動物なので、特別なしつけをしなくても人間と友好的な関係を結べることも珍しくありません。しかしそのような犬は、飼い主には友好的で家の中など特定の場所では問題がなくても、人間社会の中で暮らすためのルールは身に付いていない可能性が高いのです。
人間のルールを教えよう
犬と快適に暮らしていくためには、「人間のルール」を教えなければいけません。人間の社会の中で、犬が戸惑うことなく安全に暮らしていけるように、早い段階で必要なルールを教えるようにしてください。
・人間の言うことを聞くということ
これは、人間に対して絶対服従させるということではありません。犬が人を怖がっているようでは、適切な関係を築くことはできませんから、威圧するのは逆効果です。あくまでも、飼い主を「お母さんやお父さんのように、大好きで信頼できる相手」と認識させることが大切です。その上で、必要に応じて「お座り」「伏せ」「待て」などの合図にも従えるようにマスターしましょう。
・トイレは決まった場所でする
犬はきれい好きですから、自然とトイレを覚えることも珍しくありません。ペットシーツにトイレのにおいをつけておけば、成功率は高まるでしょう。しかし、なかなかトイレの場所を覚えられない子犬もいます。犬によって性格も特徴も違うため、「うちの子はどうしてできないのか」と思わず、その子犬のペースに合わせて、少しずつ教えていきましょう。
排泄の失敗を叱ると多くの子犬は「トイレ以外の場所で排泄したから叱られた」とは理解せず、「排泄すると飼い主が怒る」と学習します。そうなると飼い主の目の前で排泄することを避けるようになり、基本のしつけができなくなります。トイレのしつけの基本は、寝起きや食後など排泄しそうなタイミングにトイレに連れて行き、成功したらほめて好物を与えることです。
・人間の物を噛んではいけない
犬にとって物をかじる、かみ砕く「噛む」というのはごく自然な行為です。しかし家の中にはクッションや毛布、スリッパ、靴など、噛まれると困る物があふれています。壊されると困るというだけでなく、子犬がプラスチックや布製品など消化できないものを飲み込んでしまうことで、消化管に詰まってしまうような事故が起こる可能性もあるのです。
子犬に噛んで良いものといけないものを区別させるのは困難ですから、噛まれて困るものは子犬の届く場所に置かないことが基本です。
・人間を咬んではいけない
犬同士は、歯を使って甘咬みをし合うことで遊びます。犬にとって犬や人をガブッと「咬む」というのはごく自然な行為ですが、人間に対しても同じように咬むのでは問題があります。
子犬のうちは、たいして痛くない甘咬みであっても、大人になって顎の力が強くなると、大きなケガにつながるおそれがあります。また、甘咬みだとしても、家族以外の人に歯を向けると、相手に強い恐怖を抱かせてしまいます。人と犬とが仲良く暮らし続けるためには、人に歯をあててはいけないと教えなければいけません。
・人や犬にむやみに吠えない
あなたは、ある日突然、理由もわからないまま「しゃべるな」と命じられたら、どう思うでしょうか。多くの方が、強いストレスを感じ、理不尽だと憤りを覚えることでしょう。
子犬が吠えることは、人間がしゃべることと同じように、意思疎通の手段のひとつです。そのため、一切吠えない犬にしつけようとするのは、現実的ではありません。しかし、人間社会で暮らす上では、過剰に吠えないようにしておく必要があるのです。
チャイムの音や来客者に対して吠えたり、散歩中にほかの犬に吠え続けたりするのは問題です。また飼い主はもちろん近隣の方への影響も考えて、夜間や早朝の吠えに対しても対策をたてる必要があります。
正しいしつけで、家族以外とも良い関係を
社会化ができていない犬は、人が来たときに吠えかかってしまうことがあります。さらに、なでようとして差し出された手を咬んでしまったり、荷物の上にオシッコをかけてしまったりすることもあるかもしれません。このようなことがあっては、せっかく訪れてくれたお客様との関係が悪くなってしまうでしょう。
もともと犬は侵入者を追い払う目的で人間が飼い始めたとも考えられている動物です。成長した犬にとって見知らぬ人が家に入ってきた時、吠えたり威嚇したりするのはごく正常な行動です。普通は何もしなければ来客を歓迎するようには成長しません。したがって子犬期に自宅に来た人から好物をもらったり、一緒に遊んでもらったりして、家に人が来ることは良いことだと教えておくことが大切です。正しいしつけをしておくことで、人にかわいらしく甘え、愛される子犬に育てられるのです。
このように、しつけは犬にとってかわいそうなことではなく、犬が人間社会で愛されながら安全に暮らすために必要なことなのです。しつけが入りやすい子犬のうちに、人間のルールを教えておきましょう。
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