AIで感情も表すワン! ロボット犬の新型aibo
ソニーは1日夜、12年ぶりに復活させるイヌ型のロボットペット「aibo(アイボ)」の予約の受け付けを始めた。半導体事業などが好調で業績は過去最高水準まで回復したが、爆発的なヒット商品は不在のまま。独自技術を組み合わせてつくった新型アイボに、SONYブランドの再構築も託す。
「ワン、ワン、ワン」。1日に開いた発表会で、新型アイボは平井一夫社長に鳴き声を上げて近寄った。鼻にあるカメラで持ち主の表情を認識し、有機EL製の瞳の色や動きで感情を表す。税抜き19万8千円。来年1月に発売する初回分は30分ほどで完売した。次回の予約受け付けの時期は未定という。
1999年に発売した旧型は感情表現のパターンが決まっていた。新型は人工知能(AI)を搭載し、自ら感情表現を生み出す。平井社長は「自ら好奇心を持って成長していくパートナー」とアピールした。
旧型は25万円ながら、初回発売分の3千台は20分で売り切れた。ロボットをペットにする発想は画期的で、携帯音楽プレーヤーのウォークマンと並び、前例がない「ソニーらしい製品」と評された。
ところが、ソニーはその後、テレビなどの家電事業の不振が深刻化し、業績が急落。米アップルが出す個性的な商品に競り負け、サムスン電子などの韓国勢も台頭。苦境が続く中で、2006年にアイボの生産終了に追い込まれた。
アイボの復活に踏み切ったのは、業績がV字回復して実験的な製品を出せる余裕が出てきたからだ。17年9月中間決算は、営業利益が20年ぶりに過去最高を更新した。ただ、その立役者は他社製のスマートフォン向けの画像センサーの半導体と、保険や銀行などの金融、プレイステーションを中心とするゲーム機だ。革新的商品のヒットはなく、「SONY復活」の印象にはほど遠い。
新型アイボも、見た目だけでは革新性を打ち出しづらい。AIの活用では米グーグルや米アマゾンが先行し、家庭用ロボットの分野ではすでに他社が掃除用などでヒットを飛ばしている。それでも平井社長は「人びとの好奇心を刺激する会社であり続けることがソニーの存在意義。技術の組み合わせで強みを発揮できる」と胸を張った。ロボットとAIに得意の画像センサー技術を組み合わせ、豊かな感情表現を実現したという。
ソニーはこうした技術の組み合わせで、工場や物流施設の支援事業にも乗り出す成長戦略を構想中だ。新型アイボを、そんな新しい事業モデルのスタートラインとも位置づけている。
(西尾邦明)
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