建築界も「猫」に大注目 完売した“幻”の月刊誌をもとに書籍化

『猫のための家づくり』エクスナレッジ社、1599円(税込)
『猫のための家づくり』エクスナレッジ社、1599円(税込)

 建築業界の専門誌「建築知識」(月刊、エクスナレッジ発行)の2017年1月号が、売り切れ店続出、4万部の完売の大ヒットとなった。この号では「猫のための家づくり」を大特集。動物学者やペットを得意とする設計士の協力を得て、ネコの生態や身体能力をふまえた住まいづくりを提案していた。「読みたいのに、買えなかった」という声に応え、エクスナレッジ社は9月20日、この号をパワーアップした書籍版『猫のための家づくり』を発売した。


 そもそも雑誌は、売れ残り分が書店から返品されるシステムになっており、7〜8割も販売できれば十分「売れた号」と評価されるもの。そんな中、「完売」は、めったにない「大当たり」。「ネコノミクス」にわくテレビ、雑誌などメディアからも注目された。


 書籍版『猫のための家づくり』の編集を担当した筒井美穂さんは、経緯をこう話す。


「月刊誌の『建築知識』はプロ向けの雑誌ですが、猫特集の思いがけない反響で、多くの飼い主さんが住まいの問題を感じていることを実感しました。その悩みを解決する立場にある設計士も、飼ったことがないとわからない。そこで、住まいのプロと飼い主さんの双方に役立ててもらえる内容を目指しました」

 

『猫のための家づくり』から
『猫のための家づくり』から

 ■「猫の手でも」と実験的な試み

 少子高齢化による市場縮小に悩むのは、建築業界も例外ではない。完全室内飼いが主流になり、猫と家との関係が濃密になる中で、「猫の手でも借りようか」と、半ば実験的に月刊「建築知識」で猫特集の企画を決めたのが16年の夏頃だ。同誌がペット関連特集を組むのは初めてで、手探りで猫の取材を始めた。


「まず最初に、編集部には猫を飼っている人がだれもいないという壁にぶち当たりましたが(笑)、素人の視点で猫の身体能力や生活リズム、猫種ごとの性格といった猫知識のページを作ったことが、猫に関する知識のない設計士さんからは大好評でした」(筒井さん)

 

『猫のための家づくり』から
『猫のための家づくり』から

 ■爪研ぎ器に興味を示さないのは理由がある

 この本では、新築やリフォームを考える人はもちろん、そうでない人にとっても、猫との快適な暮らしを実現するためのヒントが満載されている。飼い主を悩ませる爪研ぎや脱走、スプレー行為(尿をかけてマーキングすること)などの多くは、猫のストレスが原因とされる。たとえば、爪研ぎ器は丸太型、床置き型、コーナー柱型の3タイプに大別され、猫によって好みは異なるが、いずれの場合も猫が力を入れて引っかいても動かないようしっかり固定するのが重要なのだという。


 設計の観点だけでなく、猫の生態に詳しい動物学者のアドバイスをもとに、猫も飼い主もともにストレスなく過ごすためのアイデアが豊富な事例とともに掲載されている。


「猫がイタズラばかりして困っている」「せっかくキャットタワーや爪研ぎ器を買ったのに、全然使ってくれない」といった悩みを持つ人は、一読の価値はありそうだ。


 書籍「猫のための家づくり」は1599円(税込)。書籍の発売に合わせ、月刊「建築知識」10月号では、「犬のための家づくり」という大特集を組んでいる。

森田悦子
フリーランス記者、ファイナンシャルプランナー。金沢大学法学部卒。地方新聞社会部記者、編集プロダクションを経て独立。得意テーマは経済、金融、投資、社会保障、ペットなど。「AERA」「週刊朝日」などで執筆中。どちらかというとネコ派。

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この特集について
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