障子をビリビリッ! 姉妹猫と仲間たちのヤンチャすぎる日々
保護した小さな小さな赤ちゃん猫の姉妹が、障子を得意げに破る活発な猫に成長した。先住の4匹の猫と、犬1匹、人2人との暮らしは、毎日がとてつもない賑やかさ。ツイッターやインスタグラムで大人気の“猫軍団”たちの様子が、衝撃と笑いに溢れる一冊になった。
(末尾に写真特集があります)
和歌山県在住の著者ココニャさん宅には、大猫(本名ココ・10歳)、中猫(本名ジュウ・8歳)、むっさん(本名むっ・6歳)、テンテン(3歳)の猫4匹(いずれも♂)と、柴犬イッヌ(本名ハチ・11歳)がいる。そこに加わったのが、サバ身(1歳)とトラ身(1歳)の姉妹だ。
姉妹猫が来たのは、一昨年夏。神戸に住むココニャさんの父が公園を散歩していると、赤ちゃん猫4匹を連れた自治会長が「警察か保健所に連れていく」と言う。父はすぐ娘のココニャさんに電話して「もし引き取ったとして、お前は手助けできるか?」と尋ね、ココニャさんが駆けつけて……。2匹の姉妹をココニャさん宅、残りの2匹を父が育てることになった。
本書では、2匹の姉妹猫がその後どんなふうに成長し、どうほかの猫たちに受け入れられていくか、猫の言葉(吹き出し)とともに綴られる。それまで家で“猫軍団の王”として君臨していた「むっさん」の反応をココニャさんは何より心配したが、「サバ身」と「トラ身」は2か月も経つと、怖い物知らずで、王の胸元に飛び込んだ。
「猫がヒトの3倍て、いくらなんでもやわァー」とばかりに渋い顔をしていた「むっさん」だが、「もしかして妹?」と、2匹に対して“兄ィ”の自覚を見せ始め、しかと抱きしめる。ある日の「むっさん」の表情は、「牧野はオレが守る」(「花より男子」の名台詞)という風に、実に頼もしく変わった。
ほかの猫も、妹分たちに優しい。無防備にお腹を見せて寝る「中猫」の上に、「サバ身」「トラ身」の姉妹がどかっと乗って寝ても、「中猫」はまったく動じない。その時の「サバ身」たちの言葉は、「中猫せんぱい ぽんぽん冷やしたらあかんからな」
2匹の姉妹の動作は、たびたびシンクロする。同時に前足を伸ばして寝たり、一緒に前を見たり横をみたり。そもそも男兄弟の中で育つ女の子は男勝りになると人間界でいわれるが、ココニャさん宅の姉妹猫もまさにその通り……兄たちの中で規格外のお転婆ぶりを発揮する。
それを象徴するのが、障子破りだ。超強プラスチック障子紙も何のその、ビリビリ~ッと華麗に破き、2匹同時に障子に頭を突っ込んでぶらさがり、“一流クライマー”と化す……しかし、その派手なパフォーマンスを、ココニャさんはなぜ叱らないのだろう?
「最初に破り始めたのは『サバ身』ですが、縦横無尽に障子の上を移動して遊ぶ姿が一生懸命すぎて、応援したくなったのです。だいたい、“障子の50%くらい”が破れた頃を目安に、2、3カ月に一回、張り替えています」
目くじらをたてない決意の裏には、懐の深い愛と、猫を尊重する思いがあったのだ。
本書を企画担当した河出書房新社の谷垣みのりさんはいう。
「ツイッターで猫が障子を破る姿をみて、なに?と最初は驚いて。でも猫への目線(観察眼)が独自でセンスがあるんです。私もご自宅に伺い、穴の開いた障子を目撃しました(笑)。楽しく幸せな猫との生活が本に表れていると思います。犬のイッヌも可愛いですよ」
抱腹絶倒の写真の合間には、子猫を保護した時に命を繋ぐための実用的なノウハウや、人用の料理レシピと写真も載っている。もともとココニャさんは料理好きで、SNSでもオリジナルレシピが人気だ。ちなみにココニャさんの座右の銘は〈三度の飯と猫が好き〉だ。
頁をめくると、胸の中もお腹も満たされそうな一冊だ。
(藤村かおり)
本体価格1200円+税 オールカラー 著者ココニャ
発売日2017年5月24日
発行元 河出書房新社
ココニャさんのblog http://www.koko-manma.com/
Twitter @kokonananya
Instagram @kokosabatoranya
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