盲導犬連れの死亡事故をうけて「駅にホーム柵を!」 請願を採択
兵庫県明石市議会は28日、JR西日本などに対し、市内の駅のホームに転落防止柵(ホーム柵)を設置するよう求める請願を全会一致で採択した。目の不自由な人の転落事故などが全国各地で後を絶たない状況を受け、市視覚障害者福祉協会が議会に請願書を提出していた。
議会の採択後、同協会など市内の障害者団体の代表らはJR明石駅を訪問。ホーム柵の早期設置や、設置されるまでの間、乗客の誘導など安全対策を強化するよう要望した。
要望書によると、視覚障害者がホームから転落したり、列車と接触したりする事故は2009年からの6年間に全国で428件発生。JR明石駅でも昨年11月、ホーム柵があれば防ぐことができた一般乗客の死亡事故があったという。
JR西日本によると、県内の在来線の駅でホーム柵があるのは、神戸線六甲道駅(神戸市灘区)のみ。電車の到着時に、ステンレス製ロープが上下する「昇降式ホーム柵」が運用されている。
腰高の柵にドアがついた「可動式ホーム柵」は、東西線の北新地駅(大阪市北区)などにあるが、県内の在来線の駅では未整備だという。
■「駅は欄干のない橋のよう」 明石市視覚障害者福祉協会の浅生会長
「私たちにとって駅のホームは、欄干のない橋のようなものなのです」。明石市視覚障害者福祉協会の会長を務める、浅生(あさお)晴彦さん(63)=同市貴崎4丁目=はそう訴える。
浅生さんは神戸市生まれ。県立の盲学校でマッサージを学び、生計を立ててきた。趣味はコーラスを歌い、落語を聞くこと。白杖(はくじょう)を手に、電車に乗って一人で外出することもある。
両側に線路があるホームで、電車が入ってきた音を頼りに歩き出し、到着した電車とは反対側に落ちそうになったことがある。
白杖で車両を確認しながら歩き、車両の連結部をドアと間違えたことも。「自分のエラーだ。失敗した私が悪いんだ」。とっさに、そう思ったという。
遠出をして乗り換えも必要だった時、改札口の駅員が乗換駅まで同行してくれたこともあった。鉄道会社の「見守り」は近年、著しく向上している、と感じている。
だが、それでも8月15日、東京都港区の地下鉄駅で、盲導犬を連れた男性が線路に転落して死亡する事故があった。
「犠牲者が出ないと変わらない。いえ、犠牲者が出てもほとんど変わらない。これでいいのだろうか、と声をあげました」
(高松浩志)
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