動物の死を公表 「命の重さ考えて」 とべ動物園園長に聞く

今年4月に死んだホワイトタイガーの「ファイト」=県立とべ動物園提供
今年4月に死んだホワイトタイガーの「ファイト」=県立とべ動物園提供

 愛媛県立とべ動物園(砥部町)が今年から、小動物などを除いて、園内で死んだ動物を全てホームページで公表し始めた。なぜ積極的に公表することにしたのか。その真意を、渡辺清一園長(65)に聞いた。

 

渡辺清一園長
渡辺清一園長

――なぜ、動物の死を積極的に公表することにしたのですか


 動物の愛らしい様子を見てもらうだけではなく、子どもたちに命の重さや尊さについても考えてもらいたいと思ったからです。


 社会は死を遠ざけがちですが、死を知らないと命の重みが分からない。これまでも人気動物の死は公表していましたが、今年からはそうでない動物も公表しています。命の重さは、動物の購入金額や体の大きさではかれるものじゃないとの思いです。


 それは人の命に置き換えても一緒。いじめや障害者施設で起きた殺傷事件など、心ない事件が相次いでいます。子どもたちには、動物とのふれあいや生き死にを通して、思いやりの心を持ってほしい。


――今年になって突然、数多くの動物が死んでいるように思えます


 突然多くの動物が死んでいるわけではありません。今年死んだ動物はゾウ、キリン、レッサーパンダなど17匹。大型の動物が死んでいるので目立ちますが、例年よりやや多いくらい。


 園では161種約760匹を飼育しています。昨年度に園で死んだ動物は53匹で、飼育動物全体に対する割合は約7%。全国的にみても10%前後で、とべ動物園は比較的低い方です。動物の高齢化が進むなか、職員らは動物たちのケアをよくやってくれています。


――県動物愛護センターで働いていた経験がある


 捨てられた犬や猫が殺処分されていく姿を、数多く見てきました。悲しそうな鳴き声、不安そうな目をするんです。捨てられた理由は身勝手で、飼い主がしつけができなかったり、避妊手術の費用を惜しんで生まれたり……。センターが開所した翌年の2003年度には、犬と猫が約7千匹殺処分されました。


 こうした現状を考えてもらおうと、マスコミに処分施設を公開しました。税金を命の処分に使うより、命を生かす社会にするために使ってほしいとの思いからです。雑誌や本などで紹介され、反響がありました。昨年度の殺処分は約2700匹。減りつつありますが多いと感じます。今回の動物園での公表が、命の大切さを考えるきっかけになればと思います。


(聞き手・宮田裕介)

 

わたなべ・きよかず

1951年伊予市生まれ。獣医師。県立とべ動物園、県動物愛護センターなどを経て、昨年4月から現職。
カピバラの「ジョセフィーヌ」。3月に死んだ=県立とべ動物園のホームページから
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