亡き愛犬「エース」が力をくれて甲子園へ 細野悠捕手

つぶらな瞳に、ふさふさの体毛。第98回全国高校野球選手権大会に出場した八王子高校の捕手、細野悠選手(3年)の携帯電話の待ち受け画面には、5月に死んだ飼い犬がいる。名前は「エース」だ。
「これ見ると癒やされるんです」。練習時の険しい顔つきから一変、細野選手は穏やかな表情で話す。
小学生の時から飼い始めたミニチュアダックスフントの雄。野球好きの家族で「エース」と名付けた。球を転がして遊び、「バッテリー」のような存在。練習から帰宅すると、玄関まで飛んでくる甘えん坊だった。
愛知県に遠征した5月上旬。元気だったエースが熱中症で体調を崩して死んだ。10歳だった。
その日、細野選手は高校で初めてのホームランを練習試合で放った。「すごい飛んだのが不思議でした。それからなんです。チームも自分も調子がどんどん良くなって」
春の都大会まで控えだった早乙女大輝投手。ひじのケガでほとんど投げられなかった米原大地投手。この2人の2年生が西東京大会で期待以上の活躍をみせた。リードした細野選手には、ピンチのとき何度も「エース」の鳴き声が聞こえた気がした。
「ワンワンワン(がんばれよ)」と――。
今も毎晩、宿舎で携帯電話に入っている写真を眺めている。「力を貸してくれたんだね」。11日の試合には、エースとも「バッテリー」を組んでいる気持ちで臨んだ。
(矢島大輔)
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