正しい犬の散歩 飼い主が前、犬は左 犬が来たら道の端へ
友人が明かす犬の事件の数々。「散歩中に愛犬が向こうから来た犬にかまれて大けが」「うちの犬が相手の犬の頭をかんでしまった」「近所の人が犬を散歩させて自宅の庭に入ってきて、エアコンの室外機におしっこをかけていった」。わが家も犬を飼っているので、ひとごとではありません。犬の散歩の「きほんのき」を教わってきました。
(文末に写真特集があります)
「犬に引きずられ、犬に散歩してもらっている飼い主が多いですね」。日本最大規模の動物愛護団体の公益財団法人「日本アニマルトラスト」(大阪府能勢町)で訓練士をする松尾有唯(あゆ)さん(25)は言う。たしかに、うちも犬が先頭を歩いている……。
犬は家の中ばかりにいるとソファをかんだりお客にほえたり、「家を支配している」と思い込む。散歩に出ると様々なものに出会い、音を聞き、刺激を受ける。「軽いストレスを感じ、どう改善しようか犬は考える。散歩には大きな意味があるんです」
そうだったのか――。早速、散歩のお手本を見せてもらおう。排泄(はいせつ)物を処理する袋と、住宅前などでおしっこをしたときかけるペットボトルの水、ごほうびのおやつやおもちゃを持って出かけよう。
■他の犬が来たら道の端に離れて
基本はリードをゆるめて自分の左側を歩かせ、犬を前に行かせない。飼い主がリーダーシップをとるぞ! 犬が先頭に行ったら、「ダメ」「ノー」とわかりやすい言葉で叱り、リードをひく。ペースもコースも人が決めることが大切なんだね。辛抱強く繰り返し、うまく歩けたら、ごほうびのおやつや好物を与え、ほめよう。
小型犬などリードを離して散歩させる人も見かけますが。「ダメです。何かに驚いて走り出す、通行人をかむ、交通事故に遭う。うちの子に限って、という過信は禁物」
犬と散歩中、近所の犬と出会うと、私はちょっと緊張する。しっぽを振って近づいてくる犬もいる。犬同士“仲よくしなくちゃプレッシャー”に襲われる。
「しっぽを振っていても喜んでいるとは限りません。いきなり相手の犬をかむこともある」。道の端と端に離れ、「うちの犬があいさつしてもいいですか」と声をかけるのがマナー。イヤなら「『うちの子』は犬が苦手なんです。ごめんなさい」とスマートに断る。万が一相手をかんでしまったら、飼い主だけでなく、犬も責められてしまう。
■道路の温度は? 触って熱さ確認を
暑い季節。散歩前にコンクリートの道に触れ、自分が裸足で歩ける熱さか確認して、熱かったらやめる。涼しい朝夕に出かけよう。水でしぼった服やメッシュの服を犬に着せてもいい。
生後2~14週は社会性が身につく時期なので、このころから散歩に出てしつけるのがいいという。ワクチンがまだなら、抱っこして散歩を。でも、犬が何歳になっても散歩のしつけをするのに遅過ぎることはない。
なんだかヒトの子育てと重なる部分もあるみたい。「そう、わが子をしつけるのと同じ。ルールを教えることは関係作りの一歩です。犬は賢いから、きっと覚えます」と日本アニマルトラスト代表理事の甲斐尚子さん。勇気づけられた。
「一般社団法人ペットフード協会」の昨年の調べによると、国内の犬の飼育数は推計991万7千匹。2011年より約200万匹減った。6歳までが微減の一方で、7歳以上の犬が少しずつ増えている。犬も飼い主も高齢化し、散歩やしつけ、介護が負担になっているようだ。
50代の私もわが家の大型犬を散歩中、何かに驚いて走り出した犬に引きずられ、坂道をころげ落ちて肋骨(ろっこつ)を折ったことがある。整形外科の医師いわく、「犬の散歩中にころんで骨折する高齢者が最近目立ちますね」。苦い体験だ。
二度とけがしないよう、教わった散歩のイロハに立ち返って特訓中。犬のペースになり、私がリーダーだと再認識させるのにてこずっているが……犬とヒトの高齢化社会を明るく生きたい。
(河合真美江)
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