盲導犬との交通事故死でブザー条例 警報音「全国に広まって」

事故後に作られた山橋衛二さんとヴァルデス号のポスター。視覚障害者や盲導犬への理解を呼びかけようと、現在、路線バスの車内に掲示されている=徳島の盲導犬を育てる会提供
事故後に作られた山橋衛二さんとヴァルデス号のポスター。視覚障害者や盲導犬への理解を呼びかけようと、現在、路線バスの車内に掲示されている=徳島の盲導犬を育てる会提供

 視覚障害者の山橋衛二さん(当時50)と盲導犬ヴァルデス号が昨年10月、後退中のダンプカーにはねられて死亡した事故で、運転者の男性(39)に執行猶予付きの有罪判決が出た。痛ましい事故を機に、車の警報音を鳴らすよう義務づける徳島県条例が制定されて、約半年。山橋さんの関係者らは、目の不自由な人への配慮や警報音への理解が広がってほしいと願っている。


 山橋さんの母和美さん(78)は判決後、コメントを発表した。山橋さんが19歳の時、交通事故で視力を失いながら立ち直り、盲導犬の育成や交通事故防止の活動に尽力していたことを紹介。「この事故で、視覚障害者は音が頼りで大切な情報源だということに気づいてもらえました。その中でもとりわけ警報音は命を守るために必要」「社会が変わらないと2人の死が無駄になります。法改正へとなりますよう願っています」などと訴えた。


 徳島の盲導犬を育てる会の竹内安彦理事長も、「健康な人ばかりが道路を歩いているわけではない。子ども、障害者、お年寄りにはブザーの音が大事。県の条例が、ぜひ全国に広がってほしい」と話した。


 ダンプを運転していた男性は、騒音を注意されたことがあり、バックする際のブザーを、事故当時は作動させていなかった。これを受け、県は昨年12月に制定した条例に、障害のある人らの安全を確保するため、車に音を出す装置がある場合は使用を義務づける内容を盛り込んだ。


 徳島市の運送会社、東海運は事故後、保有する約100台のトラックすべてをブザーが鳴るように改修した。深夜や早朝、騒音になるのを避けるため、ライトを点灯するとブザーが鳴らないよう、購入時に設定された車もあったからだ。


 谷真史・陸運事業部長(61)によると、以前は顧客や住民から、「ブザーの音がうるさい」という声が寄せられることがあった。条例が施行されてからは「ブザーを鳴らすことに理解を得やすくなった」といい、苦情は来ていない。同社のトラックの半数以上は、県外も走る。「条例と同じ規定が全国に広がれば、法令を守っていることを訴えやすく、助かる」と話す。

 

後退時のブザーを切らないよう呼びかけるポスターも作られた=徳島の盲導犬を育てる会提供
後退時のブザーを切らないよう呼びかけるポスターも作られた=徳島の盲導犬を育てる会提供
朝日新聞
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