保健所出身のセラピー犬「ぽん」、高齢者介護施設へ
岐阜県大垣市青墓町3丁目の通所介護施設「介護結ぶ」に動物介在活動犬(セラピー犬)が譲渡され、利用者に好評だ。施設を使用する高齢者らを癒やし、時に利用者の共通の話題になることでほっこりとした雰囲気も演出している。
このセラピー犬はシーズーと別の犬種を両親にもつ小型犬「ぽん」。推定年齢8歳の雄だ。県動物愛護センター(美濃市)が2014年12月、県内の保健所から引き取った。センターや民間施設で訓練を受け、セラピー犬として活動できるまでに成長。今月18日、「介護結ぶ」に譲渡された。
この施設の高岩里美代表(41)は「施設の利用者に良い影響を与えている」と喜ぶ。職員が飼っている猫を連れてきたところ、利用者に好評だったこともあり、セラピー犬を譲り受けたいと考えた。
ぽんはテーブルの下を動き回り、利用者のひざの上にも乗る。施設の中にすっかり溶け込んだ。高岩さんも「ぽんがここに来る前と後で、施設の雰囲気はまったく変わった」と話す。利用者と一緒に散歩し、利用者同士の途切れた会話を取り持つことも。
高岩代表によると、ぽんは心身ともに利用者を支える存在になっているという。セラピー犬は利用者の生活の質の向上に役立つ。それに加え、センターは犬の殺処分ゼロにもつなげようとしている。
センターによると、14年度、岐阜市を除く県内で捕獲されるか、保健所に引き取られるかした犬は720匹。その約8割は飼い主のもとに戻ったり、譲渡会で新しい飼い主が見つかったりした一方、126匹は殺処分にされた。
それでも、センターや動物愛護団体による譲渡会といった活動が功を奏し、11年度に比べると、殺処分数は約3分の1にまで減ったという。
センターは昨年度、この事業を始めた。まだ手探りだが、今年1月に岐阜市内の施設に1匹目となるゴールデンレトリーバーのメスを譲渡し、現在は3匹目を育成している。セラピー犬を育成する活動はもとより、不幸なペットを生み出さない活動の一つとして、この取り組みを続けるという。
(古沢孝樹)
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