「猫の擬人化ってどうよ」 猫べったり記者、猫ブームにもの申す
世は猫ブームらしい。高価な図鑑が増刷され、写真展や、猫専門誌も創刊。猫がテーマになった映画もある。いや、文句があるのではない。子供のころから猫と暮らし、もう猫べったり。だから、文句ではなく、なんというか、憤り。
たとえば週刊誌・女性自身のムックとして出た「ねこ自身」は、耳リボンにネックレスをつけた猫が表紙である。グラビアも、やれ猫の店長だとか、フーテンのトラ猫とか、2本脚で立つ猫とか。猫の健康長寿ガイドなど有用な記事も少なくないだけに、残念である。たとえば人気シリーズ化している写真集「のせ猫」。鼻の上にサングラスをかけさせたり、頭に小さな帽子をのせたり。たわいもないと言えばそうだが、これみな、つまり猫の擬人化でしょ?
食後の猫の、目を細めた満足そうな表情を見てみなさい。あれは、世界の始まりとか宇宙の限界とかを考えている顔に間違いない。えさをもらうときだけはまあ甘えてもやるが、食い終わったら、考えごとの邪魔だからあっち行ってろ。表情が、そう言っている。寺山修司は、猫を「多毛症の瞑想(めいそう)家」と書いた。猫は、人に擬せられない。どだい、人間など相手にしていない。
などと書いていると本紙連載中の『吾輩ハ猫デアル』はどうなるんだとつっこみが飛んできそうだが、漱石はさすが分かってらっしゃる。よく読んでほしい。あれは、「人間の擬猫化」ですから。
人間は、猫ほど高踏じゃない、と。
(諫早支局長・近藤康太郎)
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