「飼い主見つけたい」 高知県が犬猫の譲渡ボランティア
犬と猫の殺処分を減らすため、飼い主を見つけてもらう譲渡ボランティアの制度を、高知県が6月1日から始める。高知、四万十両市の小動物管理センターや県内の保健所で引き取った犬と猫の多くが殺処分され、2015年度は犬103匹、猫1717匹に上る。
ボランティアは個人、団体どちらでもでき、県に申請書を提出し、審査を経て登録される仕組み。定期的な報告や営利目的で譲渡しないことを求める。また、両センターや高知市の総合あんしんセンターで開かれる「飼い方講習会」を年1回以上受けてもらう。
これまでは原則として最後まで飼える人に譲っていた。一方で、実際には飼わないが、「殺処分を防ぎたい」という人に渡し、さらにほかの人に譲られることもあった。
だが、譲渡に関して、「お金を請求された」「ほえたり、かんだりする犬が譲渡されている」との苦情が、他の都道府県の動物愛護団体などから寄せられることもあった。このため、県はボランティアの募集にあわせて、トラブルを防ぐために譲渡実施要領を定め、同時に運用を始める。
「連携し命救えたら」
県は殺処分数を減らす取り組みを進めてきた。飼い主がむやみに捨てない環境を作ろうと、12年10月に飼い主からの引き取りを有料にし、成犬と成猫は1匹2千円、子犬と子猫は1匹400円を徴収している。
14年7月からメス猫の不妊手術費用を負担する事業を始めた。都道府県では初めて。飼い猫は6千円、飼い主のいない猫は1万円を補助し、15年度は計581匹が手術を受けた。14年10月には猫の一時飼養施設も作り、現在は犬と同様に猫の飼い主を募っている。
取り組みの結果、1997年に5千匹を超えていた犬の殺処分は昨年度は100頭ほどに激減、猫は5千~6千匹で横ばいだったが2010年から減り始め、昨年度は2千匹を切った。だが、離乳前の子猫は現在も即日処分され、14年度は1658匹と殺処分された猫の約8割を占めた。
県食品・衛生課の担当者は「生まれたばかりの子猫を飼育するには大変な労力が必要で、現在の施設数や職員数では対応できない。成犬や成猫とあわせ、譲渡ボランティアとの連携で命を救えたら」と話す。
(西村奈緒美)
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