有名な福井の「猫寺」 そこにも、ここにも猫、約30匹
福井県越前市の御誕生寺(ごたんじょうじ)には、休日のたびに駐車場の整理要員が必要なほど全国から人が集まる。お目当ては「猫」。その情報をネットで発信すれば、海外からも反応がある。自由に動き回る猫と触れ合うことができると知り、癒やしを求めて行ってみた。
北陸自動車道の武生インターチェンジから車で10分ほど走ると、木々に囲まれた寺が見えてくる。
「ねこよーけいるんやできーつけねや。」と書かれた看板を横目に境内に入ると、猫があちこちでくつろいでいる。その数約30匹。「猫寺」であることをすぐに実感できた。
毎日午前7時と午後3時半が餌やりの時間で、休日の午後は大盛況。猫を一目見ようと、30台収容の駐車場が満車になり、誘導員まで登場する。「むりやり抱っこしない」「おやつ禁止」などの約束事を守れば、自由に触れ合える。
猪苗代昭順(しょうじゅん)副住職(41)が「猫寺」になった経緯を説明してくれた。寺は2002年に建立。その頃、段ボールに4匹の猫が捨てられており、寺の修行僧が育て始めた。当初は猫に避妊や去勢の対策をしていなかったため、繁殖してどんどん数が増えていった。
一番多いときは80匹ほどに。「何とかせねば」と、猫たちを引き取り希望者と引き合わせた。動物愛護センターにいた猫も合わせると、これまでに引き取られた総数は270匹に上る。寺に餌を送ってくれる人もいる。猪苗代副住職は「猫を通して、親切な人が多いことも分かった」と話す。
最近は口コミやネットで知られるようになり、参拝客も増えてきた。フェイスブックの「いいね!」は1万件を超えた。
境内で一番人気はオスのレオ。やる気のなさそうな表情が何とも愛らしい。レオが2月に約3週間、姿を見せなくなった時は、ネットを通じて居場所が判明した。毎週のように寺に顔を見せ、「あの猫、足にけがをしているよ」と教えてくれる常連の参拝客もいる。
時がゆったりと流れる寺では、猫と人がうまく共存している。「目指すのは、フラッと入って会話ができる寺。癒やされ、また元の場所で頑張りましょう」。そう言って猪苗代副住職がほほえんだ。
(影山遼)
御誕生寺 曹洞宗の禅寺で、猫寺として知られる。大本山総持寺(横浜市)を開いた瑩山(けいざん)禅師が約750年前に越前市に生まれた縁で、現在地に建立。600体の地蔵が奉納され、毎年9月に地蔵まつりを開く。毎週日曜午後1時半から座禅体験、午後3時から法話会がある。問い合わせは(0778・27・8821)。猫に関する最新情報を寺のフェイスブックで発信している。
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