「青森の犬や猫を救え」17年で譲渡累計3千件超
身寄りのない犬や猫の新しい飼い主を探す「ワン・ニャンを愛する会」(青森市)の活動が3月で丸17年を迎え、譲渡した累計件数は3千件を超えた。年間の譲渡件数に減る気配はないが、代表の敦賀秀男さん(64)は「活動が知られてきた面もある」と肯定的に見る。
10日、青森市の商業施設で、今年度初めて月1回の譲渡会が開かれた。通常は十数匹が持ち込まれるが、この日は少なめの犬1匹、猫4匹。「いまちょうど発情期で、その数カ月後に増える傾向がある」と敦賀さん。開始時刻には人だかりができた。実家近くで拾われた生後約6カ月の雌の猫を持ち込んだ青森県黒石市の女性(30)は「インターネットで活動を知った。処分はかわいそうなので譲渡会があって良かった」。この日は5匹とももらわれた。
同会は1999年3月に設立された非営利のグループ。運営は正会員約120人の会費やカンパなどで賄う。スタッフは主婦ら常時約10人で、全員ボランティアだ。
99年度の譲渡・保護(迷子だったが持ち主が見つかった例を含む)件数は犬34匹、猫41匹の計75匹だったが、3年後に年200匹を超え、毎年同規模で推移している。15年12月26日には、譲渡件数が累計3068匹に達した。13年9月施行の改正動物愛護管理法で県が理由によっては引き取りを拒否できるようになり、殺処分数が減少する一方、同会を紹介されるケースも近年出ている。
「一番多い日は1日9件電話が鳴った」と敦賀さんは言う。しかし、譲渡件数が減らない現状にもある程度は理解を示す。活動が認知されてきたほか、昔は子犬や子猫だけがもらわれた状況が、最近は7~8歳の成犬ももらわれるように変わってきたからだという。「ただかわいい存在なだけじゃなく、命を尊ぶ気風も広まってきたのではないか」と話す。
譲渡会では猫が多くを占める。14年度の譲渡件数228件のうち7割超が猫だった。犬は、全国的に野良犬が減っているうえに、飼育数も散歩の必要がない猫と違って減っているからだという。一方で、猫は繁殖力が強いほか、避妊や去勢対策をしないまま放し飼いにするケースがいまだに根強いのが現状だという。
仙台市や盛岡市などでは野良猫を地域住民で管理する「地域猫」や飼い主のいない猫に避妊や去勢の費用を助成する制度がある。一方、そのような制度は青森県にはなく、県内の市町村でも「聞いたことがない」(同県担当者)のが現状で、敦賀さんは「行政も積極的に取り組むべきだ」と言う。これについて同県動物愛護センターの担当者は「不妊のための費用面も含めて飼い主の責任で、啓発を続けたい」との立場だ。だが、敦賀さんは「モラルの向上を待てない現状がある」と訴える。
(小川直樹)
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