保護犬たちも「卒業」、里親の元へ 譲渡が当たり前の社会に

3月に入り、広島県神石高原町でも、うららかな陽気の日が多くなった。花粉症の私にはちょっとつらい季節だが、日だまりの中を駆ける犬たちはうれしそうだ。
春は旅立ちの季節。ピースワンコ・ジャパンの施設でも、このところ多くの保護犬が里親さんとの出会いを果たし、巣立っている。
湘南譲渡センター(神奈川県藤沢市)では今月、2日続けて「卒業式」があった。1頭目の「ポテ」の里親は、譲渡センターが間借りしているGREEN DOG湘南の遠藤店長。小柄で愛嬌(あいきょう)のあるポテは、「ディアーナ」という新しい名前をもらい、すっかり遠藤さんに甘えているそうだ。翌日には「ちび太」(新しい名前は「ちくわ」)が引き取られた。昨夏に湘南に移ってから最長の7カ月余りを過ごし、あとから入ってきた犬たちがもらわれていくのをずっと見送り続けてきた子だけに、担当スタッフの感慨もひとしおだったようだ。
神石高原からは、2月中旬に「柚子(ゆず)」が卒業した。生後1カ月のころ、5頭の兄弟と一緒に野犬として保護された柚子は、母親がいなかったので、スタッフがミルクを与えて我が子のように育ててきた。里親さんは1年前にもピースワンコから保護犬を迎えてくださった方で、2頭の相性を確かめるためのトライアルを経て、譲渡が決まった。
2月下旬に広島市で開いた譲渡会では、一度に4頭の保護犬たちに里親希望の方からお声がかかった。現在、スタッフが飼育環境の確認のためにご自宅を訪問するなど、4頭とも譲渡に向けたステップが順調に進んでいる。彼らを含め、2月以降だけで9頭が実際に譲渡されたか近日中の譲渡が決まっており、17頭以上の手続きが進行中という状況だ。
最近知ったある調査によれば、飼い主に犬や猫をどこから迎え入れたかを複数回答で尋ねたところ、ペットショップ53%、ブリーダー23%に対し、保護団体や自治体の動物愛護センターから譲渡を受けた人は合わせて10%足らずだった。
一方で「今後ペットをどこから迎えたいか」を聞くと、ペットショップとブリーダーを挙げた人はいずれも30%台半ばだが、保護団体は41%、愛護センターは47%にのぼった。
ピースワンコを卒業した犬も、まもなく累計で300頭(返還した迷い犬を含む)に達する。調査結果のように、保護犬や保護猫を引き取ることが社会の主流になれば、もっともっと幸せな出会いが増えていくはずだ。そんな明るい未来への兆しを感じる春である。
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