「ペットとの共生社会を」熊本市動物愛護センターの村上所長

日光浴する犬たちの様子を見る村上睦子さん(右)=熊本市東区の動物愛護センター
日光浴する犬たちの様子を見る村上睦子さん(右)=熊本市東区の動物愛護センター

 暮らしに潤いを与えてくれる犬や猫は飼い主にとって「家族」の一員だ。その半面、全国では多くの命が飼い主の都合で殺処分されている。熊本での現状は――。「殺処分ゼロ」に取り組む熊本市動物愛護センター所長で、獣医師の村上睦子さん(56)に聞いた。

 

――動物愛護センターは何をするところですか
 

 人と動物とが共生する社会に向けた取り組みを進めるところです。狂犬病の予防も大事な仕事。犬や猫が生涯を終えるまで、近所の迷惑にならないよう家族の一員として大事に飼うことを指導したり、迷子や飼育放棄されたペットを保護したり。「犬の鳴き声がうるさい」「猫が家庭菜園を荒らす」といった相談には、現場に出向いて飼い方やしつけの方法を伝えることもあります。センターには年間400匹ほどの犬と、350匹ほどの猫が収容されます。

 

――目標だった犬の「殺処分ゼロ」を2014年度に達成しました

 

「近所から苦情が出て飼えなくなった」という飼い主がいれば話を聞き、苦情が出なくなるような飼い方をアドバイスしました。しつけのインストラクターや動物看護師も紹介し、動物たちが一生を終えるまで飼ってもらうよう説得します。大変手間がかかる仕事ですが、飼い主に責任を果たしてもらいたい一心です。獣医師やしつけインストラクターらでつくる動物愛護推進協議会が新しい飼い主と出会う譲渡会を支えてくれ、その協力なしに「殺処分ゼロ」は実現しませんでした。

 

――15年度は犬を殺処分して「ゼロ」が途切れました
 

 残念です。処分した例は高齢の飼い主が最初の1匹の犬の不妊手術をしていなかったため、いつの間にか9匹に増えてしまい、飼い主が認知症を患って手に負えなくなった。職員だけでなく、ほかの保護された犬にも攻撃的で危険な状態だったので、安全のためにやむを得ず、このうち3匹の処分を決断しました。

 

――高齢化した社会が、動物たちにも影響しているように思えます
 

 独り暮らしの高齢者が亡くなって、その飼い犬数匹が何日も屋内に取り残されたり、認知症の高齢者が飼い犬にかまれたため、その犬を引き取ったりしたこともあります。家庭内暴力(DV)の被害者が避難する時、たくさんの猫の引き取りを求めてきたケースもありました。高齢者に限らず、社会の弱いところにしわ寄せが来ている感じがします。ペットに罪はないのに。

 

――これからのセンターの役割は
 

 区役所の福祉担当部署と連携する取り組みを始めました。保健師やケースワーカーが家庭を訪問した際、ペットの状況が気になったらセンターにも連絡してもらう。ペットが増えて手に負えなくなってしまう前に、不妊や去勢の手術をすることが大事です。センターに来てしまう犬や猫を減らし、処分しなくて済むようになるのが目標です。人と動物が共生する社会について、一緒に考えてもらいたい。

 

(聞き手・奥正光)

 

むらかみ・むつこ 
1959年、熊本市生まれ。北里大学獣医畜産学部を卒業後、熊本市役所入庁。環境企画課、動植物園などを経て2012年から動物愛護センター所長。
 熊本市動物愛護センターには、犬と猫計128匹(10日現在)が収容されており、収容能力の限界に近い状況が続く。新たな飼い主と出会うことができる休日譲渡会は月1回開かれている。このほか、犬の譲渡希望者に必要な譲渡前講習会は毎週水曜に開いている。インストラクターから犬のしつけ方を学ぶ教室も2カ月に1回のペースで開催。問い合わせは同センター(096・380・2153)へ。
朝日新聞
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