作詞家・湯川れい子が語る 保護猫との出会いと別れ
ものすごい「美ニャン」ほっぺたがフワフワ
いまの家に引っ越してきてすぐに出会ったのが、メスのクレオパトラでした。近所の空き地で鳴き声が聞こえるので見に行ったら、足にまとわりついてきた子です。きゃしゃで真っ白で、目の色がブルー。その目が、夜になると真っ赤なルビーみたいな色になるんです。ものすごい「美ニャン」だったので、クレオパトラと名付けました(笑)。
クレオは、保護した時点で既に妊娠していました。家にきてすぐに2匹の子猫を産みました。1匹は死産。もう1匹をパフと名付けました。ほっぺたがフワフワと白くて、化粧道具のパフみたいだったからです。
パフは体が弱くて、劇症肝炎(急性肝不全)にかかってしまいました。動物病院に入院させ、お見舞いに行った時、ケージの間から手を出して「置いていかないで。連れて行って」と訴える姿が本当に切なかったです。結局この病気が原因となり、4歳で亡くなりました。そのぶんクレオは長生きしてくれました。うちに来て16年目だった3年前に、静かに亡くなりました。
地域猫活動によって冬は寒くないように
そしていま、3匹の猫たちと暮らしています。最年長がテンちゃん(メス、推定14歳)。息子が、通っていた大学のそばで段ボール箱の中に捨てられていたのを、見つけました。どんな経緯で捨てられたのか、両目ともつぶれたみたいになっていて、右前脚も傷ついていました。すぐに動物病院に連れて行くと、名前を記入するように言われたので、とっさに息子が通っていた学校名にちなんで「湯川テンプル」と書いたそうです。
地域猫の不妊手術代などを賄うために、もう10年以上前から毎年2回、地域でバザーを開いています。そのバザーの出品物に箱のような形をしたものがあると、必ず中に入ろうとするのがテンちゃん。中で座ったり、商品の上に寝転んだりして、通りかかる方にいちいちなでてもらって、すごい人気猫です(笑)。
近所の公園には残念ながら捨て猫が多く、地域の方々でそういった子たちの不妊手術をし、簡単なハウスを作ってあげています。しっかりお掃除もして、冬は寒くないようにカイロを入れてあげる。地域の方たちの活動には、本当に頭が下がります。(続く)
(朝日新聞タブロイド「sippo」(2015年3月発行)掲載)
湯川れい子(ゆかわ・れいこ)
1936年東京生まれ。音楽評論家、作詞家。60年、ジャズ専門誌「スウィング・ジャーナル」への投稿が認められ、ジャズ評論家としてデビュー。作詞家としての代表作に「センチメンタル・ジャーニー」「六本木心中」「恋におちて」など多数。近年は平和、健康、教育、音楽療法などをテーマにボランティア活動に取り組んでいる。エンジン01文化戦略会議動物愛護委員長、TOKYO ZEROキャンペーン呼びかけ人
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