うさぎを捨てないで!

 犬、猫ときて、次はどんなペットの話をしようかなあと考えたのですが、第三の男ならぬ、「第三のペット」といえば、「うさぎ」ではないでしょうか。


「ペ弁」として活動をしていると、犬猫だけでなく、うさぎ好きな人たちと関わることがあります。犬や猫が好きな人たちと比べても、「うさぎ愛」はすごいです。


 うさぎを飼っていたり、なんらかかかわっていたりする人たちからよく聞く悩みは、うさぎに対する法律上の位置づけが犬猫ほど高くない、ということです。当然ながら、うさぎも動物愛護法の対象動物に含まれています。そして、動物愛護法は改正が繰り返されて動物たちにとってより良い法律になってきたものの、主に飼育頭数の多い犬猫を念頭に置いていて、うさぎやその他のペットについて意識的に検討される場面は、あまり多くはありません。


 そもそも法律は、(世界中で普遍的な考え方ではないものの)人間のためにあるとされています。そんななかで、人に不当に利用されたりいじめられたりする弱者であり、言葉を話せない動物たちに、法律の光をきちんとあてる必要があるのでは――と思いながら、私はペ弁の活動をしています。


 ならば、動物愛護法で「愛護動物」とされているなかで、優先順位があるかのような状態もまた問題で、ペットとしてどちらかと言えばマイナーなうさぎやハムスターなどにも、法律の光をあてなければいけません。多くの人の目に触れないところで不当な取り扱いがされないよう、法令を改正したり、運用をチェックしたりする必要があります。


 冒頭のほうで語尾に「だピョン」を使ってみたかったのですが、そんな雰囲気にはならないまま閑話休題。


 ところで、皆さんはうさぎについてどんなイメージを持っていますか?


 ふわふわ、モコモコしていて、鳴かなくて、おとなしい、野菜を食べる、飼いやすい動物――というのが一般的ではないでしょうか。干支が「卯年」になると、テレビで取り上げられて一時的にブームになるので、そういうイメージで飼い始めた方も、なかにはいると思います。


 でも漠然とした印象だけでうさぎを安易に飼い始めてしまうと、「こんなはずではなかった!」と思うことが多々あるようです。うさぎは壁紙やコードをかじったり、脚で床を強く鳴らしたりと意外にやんちゃで、骨折や病気をしやすいという側面も持っています。こうした想定外の個性に手を焼くなどし、(ほかにも様々に理由はあるでしょうが)飼いきれなくなって河川敷などに捨てられるケースが、実は少なくありません。


 しかしながら、うさぎを捨てることは立派な犯罪です。


 前述の通りうさぎは愛護動物であり、これを遺棄した者は、100万円以下の罰金に処せられます。


 といっても、条文を引用しただけなので、ピンとこないかもしれません。そんな方たちのために少し具体的に手続きを説明しますと、


① ある日突然警察に捜査され(厳しい取り調べや自宅のガサ入れなども)
② 検事の取り調べを受け
③ 起訴されて裁判所で罰金の有罪判決を受ける(罰金の前科は警察にずっと残る)


 などの可能性があります。


 実際に体験した人にしかわからないでしょうが、捜査機関に犯罪の疑いをかけられ、次にどんな手続きがなされるのか、自分がどんな刑事処分を受けるのか……何もわからないまま不安の日々過ごすことは、それ自体、非常に大きなストレスです。


 さらに少しマニアックな話をしますと、動物の「遺棄」については、具体的にどのような行為を処罰するのか、これまで必ずしも明確ではありませんでした。


 河川敷や山の中に捨てるのはアウトと判定されるにしても、「保護してくれるであろう動物病院や動物愛護団体の施設の前に置いてくるのは大丈夫なのでは?」「公園に捨てるのはどうなの?」という疑問には誰もはっきりと答えが出せず、警察や自治体は取り扱いに困っていました。


 このような問題を受けて、環境省は昨年12月に見解を整理して公表しています。その内容は、例えば、「ペットとして飼われていた愛護動物はどんな場所に捨てても原則として遺棄にあたる」「幼齢や老齢、病気やケガをした愛護動物の場合も、場所にかかわらず原則として遺棄にあたる」といったものです。


 もちろん、個別の事例について犯罪であるか否かを判断するのは最終的には裁判所であり、その前段階として起訴するかどうかは検事が、犯罪として捜査を始めるかどうかは警察が見極めるものです。ただ、愛護動物の専門部署である環境省が慎重に調査をしてまとめたものですので、相当の重みがあるといえます。


 というわけで、モコモコ、ふわふわのうさぎを飼い始めたあなた。ちょっとくらいイメージと違ったからといって、決して捨ててはいけません! いろいろな事情はあっても、ひとたび迎え入れたからには終生責任をもって飼ってください。

 

2001年弁護士登録(兵庫県弁護士会)。民事・家事事件全般を取り扱いながら、ペットに関する事件や動物虐待事件を手がける。動物愛護管理法に関する講演やセミナー講師も多数。ペットの法と政策研究会代表、ペット法学会会員。
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