リンパ腫わからず11歳で旅立った愛猫 生まれ変わってまた会える日が来ると信じてる
いつか来るペットとのお別れの日――。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。2023年9月30日、ゆずくん(享年11歳)は手術のために入院していた病院で亡くなりました。飼い主の逸子さんにゆずくんの亡くなるまでの経緯、後悔や現在のお気持ちをお聞きしました。
リンパ腫とわかるまで時間がかかった
――ゆず君は何歳で、どのような病気で亡くなったのでしょうか?
11歳です。リンパ腫でした。
――体調に変化が出始めたのはいつごろでしょうか?
亡くなる4カ月ほど前、2023年5月の終わりころ、ゆずが下痢をしてしまっていたんですね。そのときにおなかがげっそり痩せていることに気がついて、なんでこんなに?と不思議に思いました。もともと体の大きな子で、体重は10キロを超えたこともあったので、違和感を覚えました。
――すぐにリンパ腫はわかったのでしょうか?
いいえ。動物病院で診てもらったら、「食欲はあるから整腸剤で様子をみましょう」という判断でした。
先住猫のみかんが17年も通っているその病院で、診察の最後に毎回必ず「何か気になることはありますか?」と聞いてくれるので、当時ゆずの体重が7キロくらいに減っていたこともあり、痩せたことと下痢以外でほかに何か問題はないか、お聞きしました。獣医は「痩せているけれど、でもダイエットをさせているんですよね」と、その時は終わってしまいました。
セカンドオピニオンを求めた
――その後、体調は良くなったのでしょうか?
整腸剤で下痢は止まり、また普通に生活をしていたのですが、7月半ばころ、ゆずの食事の仕方に違和感を覚えました。いつもはガツガツ食べるのに、なんだか食べにくそうにしていたんです。すぐ病院へ連れて行きました。
――病院ではどのような診断結果だったのでしょうか?
口の中に口内炎などの異常がなかったので、再度「様子をみましょう」ということになりました。
その後の1カ月間は、カリカリを残すので、次はウエットフードをというように、食事の内容を変えて試行錯誤したのですが、食べ残したり、吐いてしまったりとなかなか治らないので、8月中旬にまた病院へ行き、血液検査、エコー検査をしたところ「もしかしたらリンパ腫かもしれない」と言われました。
確定診断ではなかったので、抗生剤で白血球の値が下がるかもと投薬をしていたのですが、8月30日にゆずが血を吐いたんです。かかりつけの病院では手術の日程調整が難しかったこともあり、セカンドオピニオンを受けるために他の病院を探して、ゆずを連れて行きました。
――新たな病院ではどのような検査をしましたか?
すぐ「内視鏡検査をしましょう」ということになり、9月上旬に内視鏡検査をしました。すると胃に何かがあるということで、胃の表面の組織を取って調べたのですが、癌細胞は見られませんでした。しかし、「内視鏡だと表面しか取れず、奥の細胞は取れないので、リンパ腫の疑いは捨てきれない」という話を聞きました。
内視鏡の検査の後、少し食欲が戻ったので、大丈夫かもしれないという希望が出て。静脈点滴をすれば体力が回復するのかもしれないと毎日病院に通い、鼻へのカテーテルで液体のフードを胃に送りましたが、それも吐いてしまったりしたので、開腹手術をすることにしました。
――外科手術の選択をされたのですね。
開腹して、胃を3分の1から3分の2くらい切除したと聞きました。縫合し、5日くらい入院が必要と言われていたのですが、術後2日目の朝、電話があって……。回復しないまま亡くなりました。術後に病理細胞検査をしたところ、やはり「リンパ腫」でした。
猫たちとの生活はなくてはならないもの
――当時を振り返って何か後悔していることはありますか?
今、思うと、5月の終わりに病院へ行った際に、自分が感じた違和感を信じて、もう少し強く「おなかのエコー検査などしてください」と伝えるべきだったなと。また、先住猫が17年も通っていた病院だったので、その病院だけしか考えていなかったのですが、もっと早くセカンドオピニオンを求めるために違う病院を探せばよかったかもしれません。
結果的にゆずがリンパ腫で亡くなるという事実は変わらなかったとしても、ゆずともっと長い時間を過ごせたかもしれないし、ゆずの病院通いの負担を軽減できたのかなとも思っています。
――亡くなってから約10カ月経ちましたが、逸子さんにとって「ペットの死に向きあう」ということはどういうことでしょうか?
ゆずの死をきっかけに、別れは突然やってくるということを知りました。猫たちとの生活は自分にとってなくてはならないものだったと気づいたので、これからの残りの人生、猫たちに何かあったときに100%の対応ができるように、自分の生活環境を整えていくということでしょうか。
ゆずが吐血した日の夜のことは、今でも覚えています。泣きながら、床に飛び散った血を拭いて、夜、ベッドで眠っているゆずを見て、この子がいなくなることを想像して大泣きしました。私よりも先に死んでしまうことは分かっていたけど、それはまだ5年とか10年先だと思っていました。心の準備ができていなかったんです。
ただ、9月は1カ月、仕事をリモートワークに切り替えて、24時間体制でゆず中心の生活が送れたことはよかったです。今生きている愛猫、18歳のみかんと2歳のらいむに、もっと愛情を注ごうと思うようになりました。
――また新たに猫ちゃんをお迎えしたいと思いますか?
私は、猫はまた生まれかわると信じています。ある日突然、ゆずの生まれ変わりがひょっこり私の前に現れるんじゃないかな?と少し信じている部分もあるので、またお迎えすると思います。
<取材を終えて>
猫がいない生活は考えられないという逸子さん。これからも猫たちと生活を共にしていくために、生活環境をさらに整えていきたいとお話ししてくださいました。いつかゆずくんがまた逸子さんのもとに戻ってきますように。
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