愛情と死の恐怖は表裏一体 愛猫を亡くした飼い主、いつかまた会える日を願う

18歳誕生日、手作りの王冠を付けて、大好きな有里子さんの母に抱っこされている眞男くん。この時は「20歳までは頑張ってね!」と伝えていた。認知症もあり、夜鳴きや粗相も増えていたが、まだ元気で食欲旺盛だった(有里子さん提供)

 いつか来るペットとのお別れの日――。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。

 2021年11月3日、スコティッシュ・フォールドの眞男くんは18歳4カ月で亡くなりました。飼い主の有里子さんに、眞男くんの病気や現在のお気持ち、死に向き合うことについてお話をお伺いしました。

(末尾に写真特集があります)

高齢になってから多くの病気を発症

――有里子さんは、2021年11月に愛猫の眞男くんを亡くされたとアンケートで拝見しました。眞男くんはなぜ亡くなったのでしょうか。

 最後は腎臓病が悪化して亡くなりました。食欲が旺盛だった子が、亡くなる2週間前から突然食べなくなり、ちゅーるは食べられたのですが、1週間前からはそれも食べなくなりました。

――それまでは病気などはなかったのでしょうか?

 小さい頃は病気知らずでしたが、13歳で肺に水がたまり、肥大型心筋症がわかりました。犬猫の心臓の専門医に診ていただいたら、先天的な異常があり、血液の逆流で水がたまったということで、薬を毎日飲ませるようになりました。

 薬を服用してからまた元気になりましたが、15歳になったときに、甲状腺機能亢進(こうしん)症がわかりました。もともと食欲旺盛だった子がさらに活発になり、よく食べるのに体重が軽くなって……。その1年後に下痢と嘔吐(おうと)があり、調べたところ慢性膵炎(すいえん)でした。胃腸薬を追加し、小腸にリンパ腫もあるのではないかということで、サプリメントを追加しました。

 薬を飲むのを当然嫌がるので、せめて回数を減らせるように、人間が使う薬を詰めるカプセル2個に収まるようにして飲ませていました。薬が功を奏したのか、本人の生命力だったのか、眞男は18歳4カ月まで頑張りました。

亡くなる3日前、ちゅーるも食べなくなったが、大好きな生クリームを口に入れてあげるとしっかりなめて目に光が戻ったそう。「今、生クリームの味が分かったんだな」と有里子さんは感じた(有里子さん提供)

今もいろいろと後悔が残る

――眞男くんと過ごした18年間で後悔することはありますか?

 やれることは全部やったという自負はあるのですが、10歳くらいから尻尾を立てなくなり、その時は「高齢になったからかな?」と思っていました。でも首から下に触れることを極端に嫌がったので、痛みがあったのかもしれません。猫は痛みをあまり見せないので、そこに関してもっと気を付けてアプローチしてあげたらよかったのかなと。

 また、もともとそんなに活発に遊ぶ子ではなく、かまわれることもあまり好きな子ではなかったため、人間のいないところで寝る子でした。眞男の気持ちを考えて無理にそばに置かなかったのですが、もう少し寄り添いたかったなと思います。

――亡くなってからの後悔はなんでしょうか?

 13歳で肥大型心筋症がわかってから、死に対して意識をするようになりました。本当に覚悟をしたのは亡くなる1週間前で、あまりにもみとるのが怖かったので、たくさん本を読んだりして準備をして心構えをしていました。

 コロナ禍の在宅勤務中だったのでほぼ一緒に居られて、眞男は私の腕の中で息をひきとり、理想のみとりができたのですが、覚悟や準備をし過ぎていたせいで、死後、マニュアル通りにスピーディーに動けてしまったことに自己嫌悪が残ります。

 お葬式も含めてすべてを段取り良く行った結果、十分に悲しむことなく、すべてが終わった1週間後からペットロスになってしまいました。でもそれは結果論なので、準備ができなかったらそれはそれで後悔したかもしれません。

人のそばに居ないのに、家族が出かけて戻ると「寂しかったよ!」と抗議するかのように必ずぬいぐるみをくわえて来ていた眞男くん(有里子さん提供)

愛しきり、感謝する

――眞男くんが亡くなって2年4カ月経ちますが、今はどのようなお気持ちでしょうか?

 今でも写真や動画を見ると涙が止まりません。写真を見て懐かしく思い出してあげられるには、もう少し時間がかかるかもしれません。

 私は両親と暮らしているのですが、眞男を飼い始めたとき、「こんなにもいとおしい存在なのか」と驚きました。そして愛情の裏側には、常に死への恐怖がありました。私は子供がいないのですが、子供を持っている人はこういう気持ちなのかなと感じました。

――最後の質問ですが、有里子さんにとって「ペットの死に向き合う」とはどういうことでしょうか。

 まず愛しきること、そして、どんなにつらくても死を受け入れることでしょうか。一生一緒にいることを覚悟して愛しきり、感謝をすることが死に向き合うことだと思います。

 今は会社のそばの不動尊で日々、亡くなった眞男とまた会えますようにと手を合わせています。頑張って生きてくれた眞男と、いつか虹の橋で会える日を楽しみに、その日まで私も頑張って生ききろうと思っています。

生後2カ月、有里子さん宅に来たばかりの眞男くん(有里子さん提供)

<取材を終えて>
 後悔や自己嫌悪について話してくださいましたが、取材中、何度も涙しながら眞男くんのお話をおしてくださった有里子さんから、眞男くんへの無償の愛を感じました。「私がこの世を去る時には、眞男と一緒に入るお墓を買っておくので、一緒に埋葬してほしい。あちらで眞男に会えるように、残してある眞男の毛とヒゲを棺の中の私の側に置いてほしい。虹の橋で待っている眞男に生クリームをおみやげにしたいので、出来れば棺に入れてほしい。駄目ならお供えしてほしい」とご家族にお願いをしているそうです。

【前の回】 死に向き合うとは「忘れないこと」 夫を亡くし、ひとりで向き合った18歳の愛犬の死

岡山由紀子
某雑誌編集者を経て、2016年からフリーのエディター・ライターとして活動。老犬と共に暮らす愛犬家。『人とメディアを繋ぎ、読者の生活を豊かに』をモットーに、新聞、雑誌などで執筆中。公式サイト: okayamayukiko.com

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この連載について
ペットの死に向き合う
いつか来るペットとのお別れの日。経験された飼い主さんたちはどのような心境だったのでしょうか。みなさんの思いを伺います。
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