メスの「マリン」(右)とオスの「カイ」(ありさん提供)
メスの「マリン」(右)とオスの「カイ」(ありさん提供)

タヌキの子かも⁉ 海で拾ったきょうだい犬「マリン」と「カイ」、豊かな犬生を謳歌

目次
  1. 【基礎データ】オオカミのような灰褐色の中型雑種犬
  2. 海で拾ったナゾの動物?
  3. すごく大きくなるんじゃないかとドキドキ
  4. SUPも飛行機も水族館もへっちゃら!

 個性豊かな雑種犬の魅力を紹介する連載企画。第13回は、海に捨てられていたところを保護したという「マリン」と「カイ」。沖縄や北海道へ飛行機で旅行したり、SUPを乗りこなしたり、カフェや美容室に同伴したり、アジリティの器具で遊んだりと、いろんなことに一緒に挑戦できるお出かけ大好き犬へと成長しました!

(末尾に写真特集があります)

DATA
《名前》マリン、カイ
《年齢/性別》マリン(15歳/メス)、カイ(15歳/オス)
《役割》アウトドアもインドアもこなす、お出かけ同伴犬!
《サイズ》マリン 体高45cm・体⻑47cm・体重9kg、カイ 体高48cm・体⻑50cm・体重11kg
《チャームポイント》「オオカミ!?」と噂されるコワモテなビジュアル
《特性》
人慣れ度★★☆
犬好き度★★☆
食いしん坊度★★★
運動量★★★
トレーニングしやすさ★★★
ケアのしやすさ★★☆

 ありさん夫妻と「マリン」&「カイ」との出会いは15年前。海に捨てられていたところを、旦那さんが見つけました。

左:保護した翌朝の2匹。右:保護して6日後。このころにはもう手放せなくなってきていた(ありさん提供)

「ウィンドサーフィンが趣味の夫が千葉の海に行ったときに、浜の草むらのところに2匹一緒にいるのを見つけたそうで。小さすぎて、このままではカラスに食べられちゃうから、とりあえず連れて帰ると連絡がありました。夫も私も大の犬好きですが、仕事が忙しくて世話できる自信がなかったので、当初はうちに迎えることは考えていなかったんです」と飼い主のありさんは話します。

 どこかの民家で生まれたのを捨てられたのか周辺に母犬の姿はなく、拾った時点では生後30〜40日程度。どんなふうに成長するのかまったくわからず、「犬じゃなくてタヌキの子かも」と思いもしたそう。その日のうちに動物病院で診察を受け、ペットグッズショップで必要なもの一式を買いそろえました。

そっくりな2匹のため、小さいころは首輪の色で区別していた。赤い首輪のマリン(左)と、黒い首輪のカイ(ありさん提供)

 夫妻ともに、最初は引き取ってくれる人を探すつもりだったのが、毎日世話をするうちに「どちらか1匹は家に迎えよう」と考え始めます。しかし、「どっちもかわいすぎて選べない……!」と、1週間後には「両方ともうちの子」という認識になったそう。マリンとカイという名前は、海で拾ったことから名付けました。

 最初の1週間はミルクで育てたという2匹は、ぐんぐん大きくなりました。保護した時点では手のひらサイズで、マリン710g、カイ705gだった体重は、2週間でマリン1.4kg、カイ1.5kgと2倍に……。たまたまペット可の分譲マンションに住んでいたものの「犬は抱えられるサイズまで」という規定があり、「大きくなったらどうしよう。そうなったら引っ越すしかない」と考えていたと言います。

シェパードそっくりだった生後4カ月ごろ(ありさん提供)

「当初は、耳は立つのか垂れたままなのか、洋犬系なのか和犬系なのかもまったくわからなくて。生後4カ月ごろにシェパードのような見た目になったときは、すごく大きくなるんじゃないかとビビりました(笑)。成犬になってからは、子どもからは必ず『オオカミなの?』と聞かれるし、大人が『あの人オオカミ連れてるよ』と小声で話しているのが聞こえることも。外国の方から『僕は本物のオオカミを見たことがあるけど、絶対オオカミの血が入っている』と真剣に言われたこともありました(笑)」

ドッグランで走る姿はオオカミそっくり!?(ありさん提供)

 2011年にブログを始めてからは、「うちの犬と似ている」という人からよく連絡がきて、全国に「オオカミそっくり犬」友達が増えました。実際にキャンプ場などで会った人や、今でもつながっていて定期的に連絡を取る人もいます。雑種だけに犬種つながりはないけれど、「そっくり犬」の全国ネットワークができて、「見た目で怖いと誤解されやすいよね〜」など“あるある”話で盛り上がることもあるそう。

 保護した当初は抱っこ散歩をし、ワクチンが済んで散歩デビューしてからは、「体力が有り余っているから」と、すぐに2匹とお出かけを始めました。週末ともなると、旦那さんに付き添ってウィンドサーフィン&キャンプへ。マリンとカイが来る前はインドア派だったありさんも一緒に行くようになり、そのうちキャンプも夫妻&2匹の共通の趣味になりました。

森の中のキャンプ場が定番(ありさん提供)

「どこへでも一緒に行きたい」と、生後7〜8カ月のころには飛行機に乗せて沖縄旅行へ。きれいなビーチで思い切り遊べるのが楽しくて、年齢的に飛行機に乗せるのに不安が出てくる7歳ごろまでに、合計4回行ったそう。

沖縄旅行は本島に3回、石垣島に1回出かけた(ありさん提供)

「マリンは海が大好きで、海に行くと目の色を変えて浅瀬を走ります。カイは足が濡れるのはあまり好きではなさそうですが、いきなりすごい勢いで泳ぎ始めることもあります。ウィンドサーフィンに乗せたこともあったからか、8年ほど前に始めたSUPは、『乗ってみて』と促すと2匹ともすぐ乗れましたね」

SUPを楽しむ2匹。練習当初から難なく乗りこなしていた(ありさん提供)

 アウトドアだけでなく、カフェや美容室、水族館、水上バスなどなど、インドアなお出かけ経験も豊富。幼いころからたくさんの人と触れ合い、いろいろなところにお出かけしていたからか、2匹ともチャレンジ精神旺盛で、夫妻についてあらゆることに挑戦してきました。

美容室でも2匹と一緒(ありさん提供)

 10歳以降は年2回の健康診断をしてきて、14歳までは病気知らず。14歳で、マリンは前庭疾患、カイは膵炎を患い、15歳の現在は歩く速度もゆっくりになりました。それでも、自然の中に行くと今でも走るし、何分でも歩き続けられるそう。

「遊ぶスタイルは変わっても、お出かけを喜んでくれるうちは、いろんなところに連れて行きたいですね」

(次回は1月26日公開予定です)

【前の回】死んでしまいそうなほどおびえていた元野犬「ヌーサ」 譲り合いの心で無二の相棒に

山賀沙耶
フリーランス編集ライター。北海道大学文学部卒業後、編集プロダクション、出版社勤務を経て、独立。現在は雑誌や書籍、ウェブメディアを中心に、犬やアウトドアなど幅広い分野で活動中。犬メディアとのかかわりは、約20年前の編集プロダクション時代から。プライベートでは、2頭の雑種犬と外遊びを楽しむのが至福の時。

sippoのおすすめ企画

sippoの投稿企画リニューアル! あなたとペットのストーリー教えてください

「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!

この連載について
雑種犬図鑑
見た目も性格も個性豊かな雑種犬の魅力を、犬種図鑑のパロディで紹介。毎回1匹の雑種犬にフォーカスし、チャームポイントから生い立ち、暮らしのエピソードまで情報や魅力をふんだんに伝えていきます。
Follow Us!
編集部のイチオシ記事を、毎週金曜日に
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。


動物病院検索

全国に約9300ある動物病院の基礎データに加え、sippoの独自調査で回答があった約1400病院の診療実績、料金など詳細なデータを無料で検索・閲覧できます。