次は保護施設から迎えたい!?犬&猫と暮らすと幸せ!? 調査に見る飼い主のリアル

オンライン調査で全国の20~60代の男女、約20163名から回答。約25%が犬もしくは猫、またはその両方を飼養していることが分かった

 公益社団法人「アニマル・ドネーション」(アニドネ)代表理事の西平衣里です。この連載は「犬や猫のためにできること」がテーマです。

 この度、私たちアニドネは「保護犬・保護猫 支援プログラム」を運営しているアマゾンジャパンと共に、保護犬・保護猫を取り巻く環境の実態調査を行うべく、一般生活者向けの【犬や猫の飼養に関する全国調査】を実施しました。ペット愛好家にも、これから一緒に暮らしたい人にとっても、とても興味深い結果が詰まったアンケートのハイライトを紹介します。現状を知ってペット飼育に対する新たな理解を深めていきましょう。

(末尾に写真特集があります)

次に犬や猫を迎えるなら「保護施設から」が1位に!

 私たちアニドネとして嬉しい結果を確認できました!「将来:迎え入れたいチャネル」という調査結果から、日本も変わりつつある兆しを感じたのです。最も選ばれたチャネルとして、ペットショップが18%に対し、保護施設からの譲受が19%、個人の保護活動家からの迎え入れが6%。保護施設と個人の保護活動家の合計は25%となり、つまり約4人にひとりが保護動物を一番に考えてくれていることが浮かび上がりました。「保護犬って何?」と質問されることも多かったアニドネの立ち上げ当初から考えると、着実に意識は変わってきていると拍手をしながら結果を受け入れました。

次回検討のチャネルトップは、「保護犬猫の迎え入れ」がペットショップを上回った

 しかしながら、実際に迎え入れた現状は乖離(かいり)があります。犬と猫で数値に差はあるのですが、「現在:犬猫を迎え入れたチャネル」によると、犬は58%がペットショップ。保護施設はわずか6%、個人活動家からも4%となっています。今後は保護犬猫を迎え入れたいと思った方が、その願いが叶えられるよう、情報サポートやより一層の理解が必要になるのでは、と考えました。

「保護犬猫の迎え入れ」は、猫飼養者と両方飼養者が犬飼養者に比べて高い傾向に

犬猫の両方と暮らす人が一番幸せを感じている!?

 興味深い洞察が得られました。犬や猫との共同生活者とそうでない方に対し、現在の日常の幸福度を10点満点で評価してもらいました。男性は興味深くも、ペットと暮らす人の方が一般的に高い評価をつけており、また男女共に犬と猫の両方と暮らしている方々が最も満足感を感じている結果となりました。

 これには私もなるほどと深く納得しました。種類を超越して、犬と猫が仲良く過ごす姿を見るとなんと尊い、と感じざるを得ません。もちろん、もともと動物が大好きな人が犬と猫の両方を選ぶことから、その幸福度が高いのかもしれません。私自身、犬が1匹しか飼えないマンション生活を送っています。しかし、もしもっと多くの犬や猫と共に過ごせたら、もっと幸せを感じることができるだろうと考え、家族を説得する材料を手に入れてにんまりしています(笑)

日常の幸福度を10点満点で聞いたアンケート結果

20代の約3割が犬猫と暮らしている

 今回の調査では、20代から60代までの幅広い年代層を対象に、男女比1:1で、全国規模で実施しました。その結果、犬と共に生活する人が10%、猫と暮らす人が9%、そして犬と猫の両方を飼っている人が6%となり、合計すると25%がペット飼育者で、残りの75%が非飼育者でした。注目すべきは、20代層の飼育率が他の年代よりも高かったことです。

犬と猫について、飼養状況を調査したアンケート結果

性別・年代別の調査では、若い年代ほど飼養率が高く、20~29歳は30%に迫った

 この傾向に対して、今回の分析をアニドネ内で担当してくださった高村美紀さんに考察してもらいました。

「ペットが家族として受け入れられ、若年層の方々が早い段階でペットとの共同生活を考えることは素晴らしい側面と捉えられます。ただし、ペット飼育は費用と時間がかかります。忙しい20代の方々が飼育について十分な検討をしているかどうかは 、新型コロナウィルスが落ち着き、職場復帰などが増える影響も考慮し、今後の分析と深堀りが求められると感じています。一方で、若いころからペットと一緒に暮らした人は継続的に飼育をする傾向が比較的強いと想像します。ですから、日本全体としてペットと暮らす人々は増える可能性が感じられます。同時にアニドネとしては、動物福祉に配慮した飼育環境が築かれるように、慎重なアプローチが必要になるだろうと想定しています」

寄付や保護への関心はまだまだ低い

 最後に西平が注目した内容をご紹介します。これは「良き!」と思ったのは、「将来:希望種別」。約半数は子犬・子猫がいいという希望はあるものの、特にこだわりがないは37%、元野良犬・野良猫が良いという人は7%、少し年を取った犬・猫が良いという人は6%。子犬子猫から飼育するのが当たり前、の概念は崩れつつあるのね、とうれしく感じました。

子猫や子犬から育てることが当たり前という概念は崩れつつある!

 一方で、アニドネ代表として鼓舞されたのは、「保護活動・寄付:活動への参加度」です。保護活動や譲渡活動、寄付などの質問項目は多くが低め。保護犬猫のための寄付・寄贈をしたいと思っている人は17%、したことがある人は15%となり、興味関心の低さがうかがえます。これは、助成事業を柱にしているアニドネにとってはかなり残念な結果でありますが、逆に言えばまだまだ伸びしろがたっぷりとあるってことよね、とポジティブに受け止めました。

保護活動や寄付など、支援活動への参加度は2割程度に留まる

 そして、今回アンケートの調査設計・実施において協業をしてくださった「アマゾンジャパン合同会社」の古米潤氏から調査に対する感想をいただいているのでご紹介をしておきます。

「この調査で、動物保護施設の認知や譲受希望者数が一定以上であることが明らかになったことは、社会全体のために喜ばしいことです。弊社としても、これまで取り組んできた保護施設への支援や認知拡大活動をさらに強化することに加え、迎え主(*)を含めた犬猫飼養希望者が増える施策をアニドネ様など協力者と共に進めてまいります」

*)迎え主:保護犬・保護猫の飼い主を表す新愛称

 今回の結果を踏まえ、アニマル・ドネーションは今後もペットと飼い主、そして保護活動に携わる全ての人々に寄り添い、より良い未来を築くための活動を進めていきます。これからもペットたちとの素晴らしい共同生活を支援し、愛情と理解に満ちた社会の実現に向けて邁進(まいしん)してまいります。

【調査概要】
犬や猫の飼養に関する全国調査
・調査設計・実施: アマゾンジャパン合同会社/公益社団法人アニマル・ドネーション
・調査時期: 2023年7月28日~8月1日
・調査方法: インターネット
・調査概要: オンライン調査・全国20163サンプル/20代~60代男女
・分析・報告: 公益社団法人アニマル・ドネーション

(次回は1月5日公開予定です)

【前の回】フード代だけでも月に28万円! 大型犬を救いたくて始めた保護活動

西平衣里
(株)リクルートの結婚情報誌「ゼクシィ」の創刊メンバー、クリエイティブディレクターとして携わる。14年の勤務後、ヘアサロン経営を経て、アニマル・ドネーションを設立。寄付サイト運営を自身の生きた証としての社会貢献と位置づけ、日本が動物にとって真に優しい国になるよう活動中。「犬と」ワタシの生活がもっと楽しくなるセレクトショップ「INUTO」プロデユーサー。アニマル・ドネーション:http://www.animaldonation.org。INUTO:http://inuto.jp

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この連載について
犬や猫のために出来ること
動物福祉の団体を支援する寄付サイト「アニマル・ドネーション」の代表・西平衣里さんが、犬や猫の保護活動について紹介します。
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