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猫にシャンプーは必要? 体の異常にも気づきやすいブラッシングが被毛ケアに最適

 猫と幸せに暮らすヒントや困りごとの解決法を、獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が教えてくれます。今回は、「猫の被毛ケア」について、入交先生が答えます。

シャンプーはしなくても大丈夫

 やっと中秋の名月を楽しみ、月のウサギさんを拝んだら、10月になり、涼しく過ごしやすくなりました。今年の夏は暑かったですね。我が家の猫は冷房が効いた部屋はなんとなく避けて、冷房が微妙に届く場所を気に入って寝ていましたが、最近はリビングのソファーの上、定位置に戻ってきています。

 さて、今日は猫と被毛のお手入れに関する話です。猫のシャンプー、するべきか否かのご質問をいただきました。

Q. 完全室内飼育で、9歳と13歳の猫がいます。若いころに何度かシャンプーしたきり、ここ数年は2匹ともしていません。2匹ともシャンプーは苦手。だからこそ、これからさらに年をとっていくことも考えると、しないままでいいのだろうかと考え始めました。洗ってあげたほうがいいでしょうか。

 短毛種の猫の場合、シャンプーは通常あまり必要ないかなと思います。猫は丁寧に自分で毛のお手入れができます。特にシャンプーで洗わなくても室内で生活をさせていればあまり汚れることはないです。シャンプーを嫌がってストレスに感じてしまう子の方が多いと思いますので、無理にシャンプーする必要はないです。

シャンプーが苦手な猫が多いのはなぜ?

 なぜ猫はシャンプーをあまり得意としないのかな、と猫の祖先であるリビアヤマネコについて読みました。リビアヤマネコは比較的広い範囲に生息していて、砂漠地帯からサバンナ、低木地帯、そして草原地帯にも生息できる猫のようです。生息エリアはアジアの方から南アフリカまで広域にわたり、幅広い環境に適応できるみたいですが、亜熱帯の湿地帯には生息していません。ビショビショした場所は苦手なようです。

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 ただし、人と一緒に暮らして1万年。リビアヤマネコが祖先ですが、ヤマネコの中にはベンガルヤマネコやイリオモテヤマネコ、スナドリネコなど泳ぎが得意な猫もいますので、1万年の間に泳ぎの得意なヤマネコとの交雑がおこり、泳ぎの得意なヤマネコの血を少し受け継ぐイエネコがいてもおかしくないです。また、水に入ってみたらそんなに悪くなかった、気持ちよかった、と泳ぎやお風呂を覚えるようなイエネコもいるかもしれません。まれにシャンプーや水泳、お風呂が大好きな猫もいるのかもしれません。でも多くの猫はシャンプーや水にぬれることがストレスのようです。

被毛のケアはブラッシングで

 シャンプーではなく、ブラッシングで被毛の手入れをしましょう。しかし、ここで注意。猫は体中を他人になめられる(なでられる)のが苦手な場合もあります。「人はあなたの体をブラッシングするけれど、大丈夫」ということをわかってもらえるよう、おやつをあげながらブラシをかけ、ブラッシングも悪くないかなと思ってくれるようにしていきましょう。

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 長毛種の猫は被毛が絡まって毛玉ができてしまうことが多いので、頻繁にブラッシングをする必要があります。子猫のころからおやつを使いながら、無理強いをせずに、ブラッシングに慣らしてあげてください。

 短毛種も長毛種も、被毛のお手入れをしておくことで、私たち家族が皮膚の異常などを見つけやすくなります。ぜひ被毛のお手入れ、ブラッシングはしてあげてください。

(次回は11月12日公開予定です)

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【前の回】愛猫に嫌われて悲しい 待ったなしで始まった猫への投薬、上手にやるにはどうしたら?

入交 眞巳
獣医師。東京農工大学 特任准教授。どうぶつの総合病院・行動診療科主任。旧日本獣医畜産大学卒業後、米国パデュー大学で学位取得、ジョージア大学付属獣医教育病院獣医行動科レジデント課程を修了。アメリカ獣医行動学専門医の資格を有する。

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この連載について
ねことの暮らし相談室
 獣医師で米国獣医行動学専門医の入交眞巳先生が、どうやって猫と幸せに暮らすかのヒントとともに、猫たちの困った行動への疑問に答えていきます。
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