愛猫「はち」の食べたい欲求 VS 自動給餌器 あるアイデアで落着し、訪れた平穏
愛猫「はち」のご飯の催促が激しくなったことを機に自動給餌器(じどうきゅうじき)を購入し、日常的に使用することに決めた。食いしん坊のはちのため、1日の給餌回数を多く、給餌量も細かく設定でき、かつ安価でコンパクトな機種をインターネットで選んだ。
はちの自動給餌器
注文した翌日に届いた段ボールをいそいそと開け、組み立てる。タイマーとモーターが内蔵された本体の上にフードタンクを取り付け、本体の下にフードを受けるトレーをはめ込んだ。
続いて給餌時間と給餌量をセットする。
1日の給餌回数は5回にし、これまでの午前8時、午後2時、午後8時、午前0時に加えて、朝6時に給餌することにした。そうすれば、早朝に起こされることもなくなるだろうと考えた。
フードは、フードタンクの中にある軸が回転することで排出される。軸が1回動くごとに出てくるフードの量は約7gだ。動く回数は1回の給餌で最多50回まで設定できる。そこではちが空腹を覚えやすい午前6時と午前0時には回数を多くし、ほかの時間帯は1回に設定した。
出だしは好調
基本的に自動給餌器の中にストックするフードは1日分だけにし、寝る前に翌日の分を補充する。その都度補充したほうが、新鮮さが保たれるような気がしたからだ。
中にフードを入れて上部にふたをし、いつも食器を置いてある私の部屋の隅にセットし、電源コードをつないで設定時間になるのを待った。
食事の時間が近づくと、はちがうるさく催促を始める。無視をしていると「はっちゃん、ご飯ですよー、ごっはーん!」という私の声が自動給餌器から流れてきた。飼い主の声を録音できる機能を利用したのだ。
すぐにはご飯の合図とは気が付かないはちに、「きょうからここでご飯ですよ」と自動給餌器前に誘導した。躊躇(ちゅうちょ)したのは数秒だけで、すぐに口をつけ、フードを平らげた。
食べることとなると、はちの警戒心はほぼ皆無になる。自動給餌器からフードを食べることを数回経験すると、すぐに人間に対してご飯の催促はしなくなった。
だが、別の問題が起こった。
もっと食べたい
「ご飯はこの容器の中にある」と理解したはちは、自動給餌器からフードを取り出そうと躍起になるようになったのだ。出口に手を突っ込んで中からフードをかき出そうとするし、ふたの上に伸び上がり、叩いたり爪をひっかけたりして開けようとする。
そうするうちにトレーがはずれ、ふたもずれた。慌てて両方を本体にガムテープで固定した。
それでもはちは諦めない。前よりしつこくフードをかき出そうとガタガタと自動給餌器を揺する。するとフードが数粒、出口から出てきてしまった。
これに味をしめたはちは、暇さえあれば自動給餌器のところへ行き、出口に前脚をかけて格闘するようになった。私は、ペットボトルや使っていないオイルヒーターなどを横に置いて倒されないように固定したが、敵もさるもので、左右に動かせないとわかると、給餌器ごと前に引っ張り出して揺する。
現場を押さえて叱れば、すぐにやめるのだが、常に見張っているわけにもいかない。
一件落着
もっといい方法を考えなければならないと思いつつ、数日経ったある夜のこと。私が1泊2日で家を留守にして帰宅すると、自動給餌器がもともと入っていたダンボール箱に覆われていた。トレーだけが外に出た状態になっている。
「はちがうるさくてしょうがないから、考えたんだよ」
とツレアイは得意そうに言った。
箱にはトレーと電源コードが出る部分にだけ穴を開け、中に本体を入れたそうだ。トレーの周囲には、はずされないようにビニールひもが渡され、動かないように壁に木ネジで固定されている。さらに本体が倒されないように、箱の側面から段ボールの上部にもビニールひもが渡されていた。これは適宜とりはずしができるよう工夫されており、壁にフック付きの画ビョウで留めてあった。
自動給餌器そのものを見えなくすれば、はちの食べたい欲求もおさまるのではないかと考えてのことだという。
このツレアイの読みはあたった。最初、はちはトレーの上にかかる段ボールの端をかみ切ったりして、なんとかフードを出そうと苦心していた。だが無理だとわかると意外とあっさり諦めた。
食事の時間になると、軸が回り出す「カチッ」というかすかな音だけで反応し、フードが排出されるより早く器械目指して疾走する。その様子は、人の手で与えていたときと変わらず微笑ましい。
もっとも「飼い主さんの声を聞くと猫ちゃんが喜ぶ」という理由で録音した私の声は、ほとんど意味をなしていないようだったが。
(次回は10月6日公開予定です)
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