サーフィンをするコーダ。波乗りはふたり一緒だから楽しい
サーフィンをするコーダ。波乗りはふたり一緒だから楽しい

海が大好きなサーフィン犬「コーダ」 困った行動をする子犬期から一変した犬生に

 サーフィンやスケボーが得意な愛犬コーダと保護猫たちと暮らすドッグトレーナーの浅野さんから見た、犬や猫たちとの暮らしをつづります。今回は「サーフィン犬コーダの誕生」について。

(末尾に写真特集があります)

愛犬が海好きになったきっかけ

 私の愛犬「コーダ」は、イングリッシュコッカースパニエル(11歳/オス)です。

 2011年12月に生後2カ月でブリーダーから迎え、記念すべき初めての散歩から、海岸を歩かせていました。

 子犬から若齢期のコーダはとても活動的で、たくさん運動をさせないと家の中のありとあらゆる物を破壊したり、引っ張りや甘がみ、飛びつきなど、困った行動のオンパレードになるほどでした。

 もともと会社員だった私がドッグトレーナーを志していた2012年ごろには、体力の有り余ったコーダを鎮めるために、とにもかくにも運動、そして頭を使った遊びやトレーニングが欠かせませんでした。

 公園で犬のトレーニングをしていると目立つし、私が集中できないので、誰も現れない地元の海岸が私たちの心地よい居場所に。ボール投げやフリスビーなど、たくさん運動できて、泳げて、砂も掘れる、コーダの大好きな場所になっていきました。

フリスビーで発散!

サーフィン犬コーダの誕生

 もともと私は、夏になるとボディボードをしに海に行っていたのですが、愛犬を海に連れて行くことに憧れていたので、2012年夏に初めてコーダを連れて海へ行きました。当初、私が海に入っている間は、コーダをクレートに入れてテントで休ませていたのですが、せっかくなら一緒にボディボードができないかなぁと思い、試しにコーダもボディボードに乗せて、波に乗らせてみました。

 それがコーダはとっても楽しかったようで、それからは私がボディボードを持つと、海の中について来たがるようになり、いつの間にかボディボードにコーダが乗っているのがあたりまえになっていました。

 それを見た知人がスポンジロングボード(ボディボードと同じ素材でできたサーフボード)を譲ってくれたのがきっかけで、“サーフィン犬コーダ”が誕生したのです。

 私はサーフィンはしたことがなかったので、「コーダだけどうぞ」という感じで、最初は“犬だけサーフィン”をやっていました。コーダはボディボードで慣れていたからか、初めから落ち着いて波に乗れていました。

 翌年、「ロングボードって長いから(約275cm以上)、コーダと一緒に乗れそうじゃないか?」と思ったのをきっかけに、私もサーフィンを練習するようになり、コーダと私の「タンデムサーフィン」(2人乗りでサーフィンすること)が始まりました。

 そこからはもう楽しすぎて! 冬もコーダと一緒に海に入るようになり、あっという間に10年が経過し、今に至ります。

10年、いろんな波に乗ってきた

ふたり一緒だからサーフィンを楽しめる

 コーダとサーフィンに行く前日には、私は必ずコーダの長い耳をめくって、耳元で「明日、サーフィン行ける?」と留守番予定の猫たちに聞こえないように、内緒話風に質問します。

 すると必ず、何も言わずにコーダは、尻尾を高速でプリプリと動かします。そして翌日に備えて水を飲んで、オシッコして、ちゃんと早く寝るのです。

 翌朝、私がサーフィンへ行く準備をしている間のコーダは、床に伏せながらも目でちゃんと追っていて、置いていかれないようにタイミングを見計らっています。「行くよ!」と言うと、小走りで庭に停めてある車に乗り込みます。

 海に到着して「GO」の合図で、コーダは海へまっしぐらに駆けていきます。相当な勢いで走って行ったのだから、バチャーン!と飛び込みそうなものだけど、なぜかコーダは脚が海の中に入った瞬間にお姉さん座りになり、温泉のように海につかるのが好きなのです。

 いざ、サーフィンの準備ができたら、特注の犬用ウエットスーツと犬用ライフジャケットを装備させて、一緒に海に入ります。私がボードを海面に置いたら、コーダがボードに乗ってもいいという合図。そこまで一生懸命に波を越えて、時には泳いでついて来ます。早く、早くと言わんばかり、とにかくボードに乗りたい様子が伝わってきます。

 コーダはなんと、いい波が来た時は、2回ほえてお知らせしてくれるのです。そして、波待ちの時は私と向き合ってボードに乗っているのに、いざ波に乗る時は、前を向いて自分の立ち位置で構えるのです。私は今では、犬をボードに乗せてサーフィンしているのでなく、コーダがいないと波に乗れないし、ふたりで一緒に波に乗っている感覚があります。

波を越えて軽やかに沖へ! コーダとのサーフィンは一体感が格別

 そうこうしていたら2020年に、コーダと私は、米カリフォルニアで開催されるドッグサーフィンの世界大会に招待されたんです。コロナ禍ということでビデオ審査となり、そこから3年間、ビデオエントリーをしています。2021年は6部門の賞を総なめにし、2022年も3部門で準優勝を受賞することができました。

今年は金メダルを目指そう!

 ちなみにドッグサーフィンには種目が3種類あり、ひとつが犬と人が一緒に波に乗る「ヒューマン・ドッグタンデムサーフィン」、次に複数の犬が一緒に1つのボードで波に乗る「ドッグタンデムサーフィン」、そして犬が1匹だけでボードで波に乗る「ドッグサーフィン」。

 私たちは「ヒューマン・ドッグタンデムサーフィン」と「ドッグタンデムサーフィン」に出場しています。

 今年の世界大会でも活躍できるように、金メダル目指して、日々、楽しみながら練習中です。

 現時点で日程はまだ決まっていないのですが、今年も「WORLD DOG SURFING CHAMPIONSIPS」でライブ配信される予定なので、よかったらご覧ください。

【前の回】「無」になる者あれば食べ物に夢中になる者も 犬も猫も爪切りは三者三様

浅野里実
千葉県習志野市のドッグスクール「Perrito」主宰。犬との暮らし方コンサルタント、ドッグトレーニングインストラクター。スクールでは動物福祉を優先し、オーナーの知識の向上による動物のQOL向上をサポート。応用行動分析学・心理学に基づいた科学的根拠のある効果的な方法でトレーニングし「正の強化」をベースにしている。イングリッシュコッカースパニエルのコーダと保護猫のフィーユ、ガロと暮らす。

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この連載について
ドッグトレーナーの犬猫日記
サーフィンやスケボーが得意な愛犬「コーダ」と保護猫「フィーユ」「ガロ」と暮らすドッグトレーナー浅野さんの犬猫日記。
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