動物ボランティアに踏み出したふたりの“鈴木さとこ”さん 新たに見つけた宝物の時間

左上がアニドネの鈴木智子(さとこ)さん。下が「アグリドッグレスキュー」の鈴木聡子(さとこ)さん。右上筆者。保護犬談義で盛り上がる

 公益社団法人「アニマル・ドネーション(アニドネ)」代表理事の西平衣里です。この連載は「犬や猫のためにできること」がテーマです。アニドネには100名以上のボランティアさんが参加されていますが、その中で「リサーチャー」と呼ばれている活動があります。アニドネが支援している団体さんの窓口になるのですが、いわば悩み多き保護活動の理解者でありサポート役。アニドネリサーチャー・鈴木智子(さとこ)さんは「アグリドッグレスキュー」のリサーチャー担当です。今回は、アニドネ×保護団体さんの対談を記事にしました。2023年、動物のために何か一歩を踏み出したい方、必読ですよ。

(文末に写真特集があります)

なぜボランティアを始めたのか

 なんとおふたりは、漢字は違えど鈴木さとこさん同士。「鈴木智子(アニドネ)×聡子(アグリ)」さんというびっくりのご縁なのです。おふたりに、ボランティアに踏み出したきっかけを聞いてみました。

聡子さん(アグリ)―「ずっと保護活動に興味があって、アグリのブログを3年くらい読んでいたんです。だんだん傍観者でいることに満足できなくなり、私にも何かできたらと思ってノックしました。そのころ15歳のシニア犬と暮らしていて、保護犬を預かるのは難しかったので、イベントのお手伝いや広報を担当することに。現在、ボランティアにかけている時間は週に3時間くらいでしょうか。イベントなどがあると忙しくなって10時間くらいかけることもあります。普段は教育系の企業に勤務をしています」

智子さん(アニドネ)―「私は2022年のお正月、何かしよう!と思い立ち、アニドネに参加しました。そのきっかけは、2021年にお空に飛び立った猫の『ぐら』。20歳まで生きてくれたので大往生なのですが、半年経っても消えない喪失感の中、ぐらに御返しをしたい気持ちがありました。また私は世の中に役立つ何かをしているのか?という自問自答も抱えていて、思い切って動いてみたんです。現在は、独立系のレコード会社に勤務しつつ、2週間に1度程度、土日の半日くらいを費やしてボランティア活動をしています」

「ぷち交流会」に取材に行き、活動をアピール

 アニドネリサーチャーは「支援団体さんの活動に寄り添う」という活動方針を持っています。例えば、10月に行われたアグリドッグレスキューさんの「ぷち交流会」。アニドネの鈴木智子さんはその場に出向いて取材をし、アニドネに記事を書いてくれました。

智子さん(アニドネ)―「やはり活動現場に行くと、団体さんの雰囲気がわかります。アグリさんの『ぷち交流会』は、ぷちとはいえ大規模で、犬も飼い主さんもとても幸せそうで、なんて素晴らしい活動なんだろうと感動しました。私の役割は、ボランティアで頑張る方々を支えるボランティアです。団体さんの活動の一助になれ、ひいては日本の動物たちのためになる活動を、自分のライフワークにしたいと思いました」

埼玉県を拠点に犬の保護活動を行う特定非営利活動法人「アグリドッグレスキュー」。卒業犬たちが集まった「ぷち交流会」には、総勢104匹と215名のご家族が集合!

一緒に動物福祉業界を変えたい

「ひとつの団体がいくらがんばっても発信力は小さいと思います」と語るアグリの聡子さん。「なぜ、保護犬が生み出されているのかなどの負の背景や、いつまでたっても頻発する多頭飼育崩壊。アニドネさんは多くの団体とつながる中間支援組織ですから、たまっているインプットを世に出して一緒に変えてほしいのです。昨今、保護犬猫への興味が増していますが、例えばアニドネ主催で日本全体の『保護活動サミット』といったような場を作ることによって、ムーブメントを作ってほしいと期待しています」

 アニドネは寄付サイトを運営しているので、33の団体さんとつながりがあります。実はつい先日アニドネ主催で「いぬねこ保護活動ミーティング」を実施しました。他の団体さんの工夫や知見を共有したり、悩みをざっくばらんに話したり、とてもいい場でした。ボランティア活動だからこそ、掛け値なく情報を共有できるんですよね。いわば志を共にする同志たち、それぞれは小さい活動かもしれませんが、つながることで大きなうねりも作りだせるのでは、と強く感じました。

ボランティアを経験し、その感想を聞いてみた

 おふたりともとてもポジティブに活動に取り組んでおられます。そこからご自身が得ていると感じることを聞いてみました。

智子さん(アニドネ)―「モノを買うことや手に入れることとは全くことなる幸福感を味わっています。誰かのために何かをするというのが、自分のためになることを知りました。アニドネは内部勉強会などをよくやってくれるので、特に動物のプロでもないのですが良い経験をさせていただいていると思っています」

聡子さん(アグリ)―「とにかく犬が好き!犬のために何かしたい!それだけのシンプルな思いを共有できる仲間に出会えたこと、です。お互いの得意なことや、お互いの存在を認め合いながら、一緒に活動していくことの心地よさを感じられているのはアグリならではの良さかもしれません。アグリというボランティアを通じて広がった世界は、私にとっては人生の宝のような貴重な経験です。よく、もう亡くなった我が家の愛犬『そら』に、『そらが犬のかわいさを教えてくれたから、わたしの世界が広がったんだよ』と話しているんです」

動物ボランティアは、イベントの手伝いやシェルターの掃除、犬猫の搬送など、いろいろな種類があります。得意なことを、できる人が無理なくやる。それがいいカタチなのでしょう

 動物保護活動において、ボランティアさんの力は欠かせません。逆の見方をすれば、日本の保護活動は市民が中心のとても身近な活動とも言えます。関わる人が増えればそれだけ動物によい環境を提供できます。ぜひ今回お話を聞いたダブル鈴木さんのように、一歩を踏み出す2023年にしてみませんか?お住まいの近くの保護団体を探すもよし、アニドネでしたらオンラインなので日本全国どこからでも参加可能です。

 アニドネのボランティア「クラブアニドネ」もぜひご覧ください。

(次回は2月5日公開予定です)
【前の回】保護犬猫を迎えたい方に知ってほしい 5つのとても大切なこと

西平衣里
(株)リクルートの結婚情報誌「ゼクシィ」の創刊メンバー、クリエイティブディレクターとして携わる。14年の勤務後、ヘアサロン経営を経て、アニマル・ドネーションを設立。寄付サイト運営を自身の生きた証としての社会貢献と位置づけ、日本が動物にとって真に優しい国になるよう活動中。「犬と」ワタシの生活がもっと楽しくなるセレクトショップ「INUTO」プロデユーサー。アニマル・ドネーション:http://www.animaldonation.org。INUTO:http://inuto.jp

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この連載について
犬や猫のために出来ること
動物福祉の団体を支援する寄付サイト「アニマル・ドネーション」の代表・西平衣里さんが、犬や猫の保護活動について紹介します。
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