「つまんねーオーラ」全開の大福
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犬とは言葉がなくても意思疎通ができる でも言葉がしゃべれたら…?

 先代犬の富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らすライターの穴澤 賢さんが、犬との暮らしで悩んだ「しつけ」「いたずら」「コミュニケーション」など、実際の経験から学んできた“教訓”をお届けしていきます。

(末尾に写真特集があります)

犬が一番の友人で理解者

 長年犬と暮らしている人は実感していると思うが、犬とは言葉がなくてもだいたいのことは意思疎通が出来る。彼らが今何がしたいのか、かまって欲しいか眠いのか、不満なのか満足しているのか、楽しいのかつまらないのか。もちろん全部の要求を飲めるわけではないが、日常生活で困るようなことはない。彼らは彼らでこちらの言うことも理解するし、もちろんすべてに従うわけではないが、お互いに譲歩しつつコミュニケーションは取れている。

 よく考えればこれはすごいことだと思う。人間同士は言葉を使いまくるのに意思疎通が出来ているのかといえばそうでもない。親しい友人でも何を考えているか分からないと思うことはあるし、夫婦であってもよく分からないことはたくさんある。もちろん犬についても常に何を考えているかまでは分からない。

 まぁ、「他人」のことを100%理解するのは不可能だし、仮に人から「君のことは全部分かってるよ」と言われたら気持ち悪いだけなので別にそれくらいでいいのだが、理解度という意味では犬の方がはるかに深い気がする。そういう意味では、私にとって犬が一番の「友人」であり、一番の「理解者」だといえる。

 こんなことを書く私が寂しいやつなだけなのかもしれないが、孤独ともちょっと違う。犬と暮らしている人はこれと似た感覚があるのではないかと思う。犬とは、なんというか「分かり合えている」と思う瞬間があるのだ

私の一番の理解者

文章派と単語派

 たとえば、犬とはよく目を合わす。そのときに、目から何かが伝わってくるのだ。帰宅したとき、なでているとき、おもちゃの引っ張り合いをしているとき、夕食のおすそ分けをあげるとき、遊びに行く支度をしているとき、そのときどきによって彼らの目や表情が違う。そこからは「おかえり!」「そこ気持ちいいからもっとなでて」「やんのかー」「それ、一片ちょうだい」「やったー!」という心の声のようなものが現れている。

「どっか行くの?ヤッター!」の図

 ちなみに、犬には文章派と単語派がいる。そのメッセージが「もう何日も食べてないんです」だったり、「暇だったら遊ぼうよ」というような文章で伝わってくるタイプと、「くれ!」や「遊ぼ!」と単語で伝わってくるタイプがいるのだ。それはこちらの受け取り方の違いなのかもしれないが、大吉が文章派で、福助が単語派である。

 他の犬はどうなのかと思って観察してみると、やっぱりどうも文章派と単語派がいるようだ。これは「利口さ」とはちょっと違うように思う。また、成長するに従って単語派から文章派へ変わるようなこともない。大吉は幼い頃から文章派だったし(富士丸も)、福助はずっと単語派だ。何もないのにどこか悲しい目(演技で)をしたりする犬は、間違いなく文章派だと思う。そういう意味ではズル賢いともいえる。

左から「単語派の人」と「文章派の人」

なぜそこでほえない

 脱線したが、言葉を話さなくても犬とは十分にコミュニケーションはとれている。とはいえ、文句を言いたくなることもある。それは便意についてだ。大吉と福助は外でしか排泄(はいせつ)しない。そのため朝夕の散歩と、寝る前は家の前の空き地に出るのだが、たまにそれ以外で急を要することもある。おなかを壊してもよおしたときだ。私が起きているときなら切羽詰まった目で分かるのだが、寝ているときは気が付かない。

 以前、深夜寝ているときにどこかからカリカリ……、カリカリ……という小さな音が聞こえてきた。その音で眠りから覚めたのだが、耳を澄ますと、やっぱり下の階からかすかにカリカリ……という音が聞こえる。なんなんだ? と思って起きるとベッドに福助がいない。「もしや」と思って階段を下りると、恐らくもよおしたであろう福助が、ドアを前脚でカリカリしていた。だから慌てて外へ連れ出すと、すぐにゆるめのウンチをした。そのときは、「こういうときこそほえて起こせよ!」と強く思った。宅配便が来たときは馬鹿みたいにワンワンほえるくせに。

昼寝中の寝室をのぞいたときの「なんか用?」という顔

犬に言ってもらいたいこと

 もし仮に犬が言葉を話せたとしたら、何を言ってもらいたいか。しかもひとつだけ。「いつもありがとう」「大好きだよ」「ずっと一緒にいたい」など色々あるかもしれない。でも私はそんなこと言ってもらわなくてもいい。ひとつだけとなると、なおさらだ。

 私が望むのは、やはり便意についてだ。なぜなら、台風でも大雨でも、窓の外を見て「うわぁ、嫌だなぁ」と思っても散歩には行くのだが、レインコートを着てもズブぬれになりながら歩き回ったあげく、オシッコだけして帰ることがあるからだ。そんなとき、大吉と福助はすごく迷惑そうで「なんでこんな雨の中外へ連れ出されないといけないんだよ」という顔をしている。

台風の中を散歩中

 まるで散歩に行きたいのは私で、自分たちはそれに仕方なく付き合っているような態度で。文句を言っても仕方ないので、帰宅して「はいはい、ごめんなさいよ」とタオルで彼らを拭いているときに心の底から思う。ウンチしたくないならそう言ってくれよ、と。それだけは、はっきり伝えて欲しい。

ヨドバシカメラ八ヶ岳富士見高原スポーツセンターにて

【前の回】犬との記憶は薄れてしまうものなのか 別れから10年以上経った私のケース

穴澤 賢
1971年大阪生まれ。フリーランス編集兼ライター。ブログ「富士丸な日々」が話題となり、犬関連の書籍や連載を執筆。2015年からは長年犬と暮らした経験から「デロリアンズ」というブランドを立ち上げる。2020年2月には「犬の笑顔を見たいから(世界文化社)」を出版。株式会社デロリアンズ(http://deloreans-shop.com)、インスタグラム @anazawa_masaru ツイッター@Anazawa_Masaru

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この連載について
悩んで学んだ犬のこと
先代犬は富士丸、いまは保護犬の大吉と福助と暮らす穴澤賢さんが、犬との暮らしで実際に経験した悩みから学んできた“教訓”をお届けしていきます。
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