臆病犬ドーちゃん頑張ろう! 兄弟が先に譲渡され散歩がままならなくなってしまった
保護犬の預かりボランティアをする、インテリアデザイナーの小林マナです。犬や猫と暮らしやすい住空間をつくり、いまは保護猫1匹と、預かり犬2匹と生活をともにしています。第22回は「臆病犬ドーちゃん頑張ろう!」をお伝えしていきます。
臆病犬ドーちゃんがんばろう!
うちで預かっていた元野犬のシャーは無事に譲渡され、シャーと兄妹の臆病なドーちゃんと老犬のチョコの2匹になりました。チョコはどんどん歩けなくなってきていたので、散歩はドーだけを連れて行こうとすると……。
キョロキョロ、ビクビク動きが変なのです。後ろを振り向きにシャーを探しているようでした。まっすぐまともに歩けないので、次の日から夫も一緒に行ってもらうことにしました。時々チョコも連れ出して一緒に公園まで行きました。すると、夫の横を歩きながら私の顔を見て、なんとか歩けるようになりました。
ただ、前脚を私や夫の足にかけて抱っこをねだったり、キョロキョロと挙動不審になってしまうのです。他の犬だけではなく、風で起こる木々のざわめきや、遠くに聞こえる子供の声も敏感に察知して驚いたりそちらに耳を傾けたり、散歩に集中できないのです。
次第に1匹の生活にも慣れるだろうと思っていました。
臆病な犬と臆病な猫の違い
家の中も例外ではありませんでした。うちは旗竿地(はたざおち)なので通りからほとんど家が見えないつくりなのに、ダイニングからわずかに見える車や人に一生懸命ほえ、テーブルの上にある飲み物が天井に反射してゆらゆらと揺れている光にも、耳を後ろに倒して怖がっていました。
唯一安心できるのがケージでした。何か怖いことがあると自分で判断して、ケージに帰っていってしまうのです。1カ所でもそんな逃げ場所があって良かったとホッとしました。
犬は社会化が必要なので大変ですよね。それに比べて猫は、怖かったら自分の好きな隙間に隠れて身を潜めていればいいのですから、自由でうらやましいと思ってしまいます。犬はどうしても外に散歩に連れ出さないといけないので社会化が当たり前で、怖がりを克服しないといけないことがちょっとふびんに思えました。
飼い猫は臆病な兄弟だったので、友人たちは私が猫を飼っていることを忘れるくらい猫たちは表に出てきませんでした。猫はそれでもいいのです。飼い主にはべったりな内弁慶だったので、好きな時に出てきて、いやな時は隠れているという自由さがこちらも気楽でした。
無理強いしない
専門書でもトレーナー養成講座でも、臆病な犬に「無理強いはしない」というのが鉄則でした。
ただ毎日の散歩は必要です。毎朝いやがるドーを抱っこして通りまで連れ出して、人ができるだけ少ない道を歩き、遠くに犬が見えたら見えないようにしていました。
それでも、何かに対して大きな声で鳴くと、犬友達が寄ってきて「大丈夫だよ~」と声をかけてくれました。そして輪の中に入ってしまえば、それなりに犬同士のあいさつはできるようになっていきました。
「じっくり時間をかけてがんばろうね!」といつも自分にも言い聞かせながら、ドーと付き合っていきました。
私は、そんなドーもいつかもらわれる日が来るのだろう……とやきもきした気持ちでいっぱいでした。ここまで怖がりだと「いつまでもうちにいてもいいんだよ~」という気持ちにもなってしまいます。
シャーとは違った気持ちが芽生えてきてしまいました。それは今までの老犬に対する思いとは全く違うものでした。すっかりうちの娘の気持ちで接する様になっていたのです。
老犬たちはほとんど譲渡されずうちでみとることが多かったので、複雑な気持ちが少ないのが正直なところです。なので、手のかかる娘の行く末が心配で仕方なくなってきてしまいました。
次回はドーと一緒に暮らしている「老犬チョコ」の話をしたいと思います。
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