病院嫌いで通院後に円形脱毛症になってしまった大ちゃん(Yさん提供)
病院嫌いで通院後に円形脱毛症になってしまった大ちゃん(Yさん提供)

通院するとストレスでご飯を食べなくなる愛猫 突然の発作で飼い主が選んだのは往診

 東京・新宿で暮らすYさんは、1年ほど前から愛猫のために往診動物病院を利用し始めた。東京都内23区を中心に往診サービスを展開する『アニホック往診専門動物病院』(以下アニホック)は、しっかりとした設備と飼い主に寄り添う診察で、病院嫌いの愛猫のストレスと、Yさんの通院の負担を大きく軽減してくれた。

(末尾に写真特集があります)

大の病院嫌い

 Yさんは、キジトラ猫の大ちゃん(19歳)と、同じくキジトラ猫のジジ(13歳)との3人暮らし。大ちゃんは友人の家で生まれたばかりの頃に引き取った。

「もらってきたときは、生まれた子猫のなかでいちばん体が大きかったんです。だから、女の子だけど『大ちゃん』。適当ですよね(笑)」

 大ちゃんは飼い主であるYさんには甘えん坊な姿を見せる。

「10歳をすぎてからかな、性格が丸くなって、よく甘えるようになりました。抱っこは嫌いなんですけど、自分からおひざやおなかに乗ってきたり、私がトイレやお風呂に立つと、『勝手にいなくなるな!』と怒って呼び続けます(笑)。でも、私以外の人には人見知り。家に来た友達なんかには触らせたがらないですね」

 警戒心が強い大ちゃんは、動物病院が大嫌いだという。

2匹のキジトラ猫
後輩猫のジジ(左)と大ちゃん(右)(Yさん提供)

「実は、大ちゃんと一緒に暮らし始めてから病院に連れて行ったのは避妊手術とけがの通院の3回程度。というのも、大ちゃんは病院がストレスになるあまり、毎回帰宅後に雲隠れして3日くらいはご飯を食べなくなり、円形脱毛症を発症してしまうんです」

 これまで健康診断やワクチンのために通院すべきかさんざん悩んだというYさん。しかし、大ちゃんにかかる膨大なストレスのことを思うと、なかなか踏み切れずにいた。

 幸いなことに、大ちゃんは19歳という高齢の割に若々しく、怪我をして以来気になる症状も出なかった。

「このまま元気でいてくれるなら、あえてご飯を食べなくなるまでのストレスを与えなくてもいいんじゃないかと思っていました」

原因不明の発作

 状況が変わったのは去年の冬。Yさんの目の前で、なんの前触れもなく大ちゃんが発作を起こしたのだ。

「大ちゃんが突然発作を起こし、呼吸困難になったんです。私もどうしていいかわからずパニックに。5分くらいしたらスッと落ち着いてご飯を食べ始めたので、あわてて近所の動物病院を調べました。そうしたらたまたま近所に往診動物病院があったので、通院が苦手な大ちゃんにはぴったりだと思い、すぐに来てもらうことにしたんです」

 しかし、やってきた獣医師の診察に、Yさんは不信感を覚えることになる。

「来てくれたはいいんですが、設備がないので詳しい検査ができず、診断内容もとても曖昧だったんです」

 獣医師の説明によると大ちゃんの症状は、「肺の位置に胃がめり込む病気か、体質による慢性的なものか、アレルギー」ということだった。

「もしも肺の病気なら、緊急手術しなくちゃ死んでしまう。でも他の可能性もある、と言われて、どうすればいいのか全くわかりませんでした。不安だけあおられる形で診療が終わり、モヤモヤした気持ちが消えなくて、もう一度自宅まで来てくれる往診動物病院を探してみたんです」

 時刻は午後7時半。その時間でも電話対応してくれたのが、『アニホック往診専門動物病院』(以下アニホック)だった。

「事情を話すと、電話口の獣医さんが『大変でしたね。心配なようでしたら改めて当院で診察を受けませんか?』と言ってくれました。それで早速、翌日の往診を予約してみたんです」

初めてのかかりつけ

 翌日、予約時間に女性の獣医師がYさん宅を訪れた。

「改めて血液検査をしたほか、超音波と触診で丁寧に大ちゃんの体を調べてくれました。往診でも超音波検査ができると聞いて、安心してお任せしました。その結果、『肺の位置は正常です』と。ホッとしましたね」

 大ちゃんは、超音波検査で体が濡れたことに少しすねていたものの、慣れた場所での診察に、通院の時よりもずっと落ち着いていた。しっかりとした検査や、医師の触診の結果、発作の原因は「猫喘息」と診断された。

「初めて重い症状が出たことで、大ちゃん自身がパニックになったのでは?と言われて、やはり通院していたらより症状が悪化したかも。と思いました。呼吸の症状なので、興奮させるのは怖いですよね。家で診てくれて、しっかり診察してくれるなら、これからはアニホックでいいやと思いました」

診察を受けるキジトラ猫
アニホックの往診サービスで診察を受ける大ちゃん(Yさん提供)

 その出来事以来、Yさんは月に一度、大ちゃんの健康管理のためにアニホックの往診サービスを利用している。主治医が来ると初めは戸惑っていた大ちゃんも、慣れた場所での診察はそこまで嫌がらない。

「『来たんですか?』という感じで受け入れていますね。自分の縄張りだし、飼い主もそばにいるので安心できるみたい。診察後、ご飯を食べなかったり、円形脱毛症になるということもありません」

 Yさん自身にとっても、往診サービスを選んだメリットは大きい。

「連れ出して鳴かれると、周りの人にも気を使ってしまいます。以前はタクシーや電車の中でも肩身が狭かったし、獣医さんにも申し訳ない気持ちでしたから…」

生活環境のアドバイスも

「体調に合わせて薬の量を調整してもらったり、フードや年齢に合わせた飼い方についても色々と相談できるのがありがたいんです」とYさん。

「通常の通院では、いろんな種類のフードを持って行って、『先生、どれがこの子に合いますか?』なんて商品を見せながら話を聞くことなんてあまりないですよね。でも、アニホックだったら診察時間がたっぷり取られていて、順番待ちも気にしなくていいので、気になっていることが気軽に聞けるんですよ」

 家の中で診察を受けることで、自分ではなかなか気づきにくい生活環境のアドバイスがもらえるのも往診サービスならではだ。 

「長年猫と一緒に暮らしていると、『気に入っているからこれで大丈夫』と思いがちじゃないですか。『砂タイプのトイレは粉塵が舞うからぜんそくによくない』とか『高齢だから、お水とごはんの位置はもっと近づけたほうがいい』とか、アニホックの獣医さんはプロ目線のアドバイスをくれるのでとても助かっています!」

 アニホックの場合、通常の診察費や薬代のほか、往診料金が5500円からプラスされる。通院よりも割高になる利用料について、Yさんはこう話す。

「診察費は他の病院と変わらないですし、親身になっていただける感は普通の病院よりも大きいと思います。往診費用が足されるくらいでこれだけやってもらえるのならむしろ良心的。周りの猫友達にもおすすめしています。でも、あんまり人気になって主治医の先生の予約が取れなくなったら困るかな(笑)」

 Yさんは今後も大ちゃんのために往診サービスの利用を続けるほか、後輩猫のジジのためにも、アニホックでの健康診断を検討している。

 嫌いな病院に連れて行くことで、体調が変化してしまうペットは多い。より正確な診断のためには、通院ストレスから解放され、普段通りの体調で落ち着いて診察を受けることが大切だ。アニホックを利用することは、通院が苦手なペットはもちろん、愛するペットに長く健やかに暮らして欲しいと飼い主にも、大きなメリットがありそうだ。

【前の回】通院が苦手な愛犬のため選んだ往診動物病院 飼い主にとって心強いサポーターに

原田さつき
広告制作会社でコピーライターとして勤務したのち、フリーランスライターに。SEO記事や取材記事、コピーライティング案件など幅広く活動。動物好きの家庭で育ち、これまで2匹の犬、5匹の猫と暮らした。1児と保護猫の母。猫のための家を建てるのが夢。

sippoのおすすめ企画

sippoの投稿企画リニューアル! あなたとペットのストーリー教えてください

「sippoストーリー」は、みなさまの投稿でつくるコーナーです。飼い主さんだけが知っている、ペットとのとっておきのストーリーを、かわいい写真とともにご紹介します!

この連載について
往診動物病院のいま
往診専門動物病院を舞台に、獣医師の仕事や、診察を受ける飼い主と犬や猫の物語を伝えます。
Follow Us!
編集部のイチオシ記事を、毎週金曜日に
LINE公式アカウントとメルマガでお届けします。


動物病院検索

全国に約9300ある動物病院の基礎データに加え、sippoの独自調査で回答があった約1400病院の診療実績、料金など詳細なデータを無料で検索・閲覧できます。