茶トラは人懐っこい、白ネコはよそよそしい 毛色と模様で性格が読み取れるって本当?
ネコの毛がどんな色になるのかは遺伝子の組み合わせで決まります。例えば、母猫が黒毛で父ネコが白毛の場合、白黒模様のネコが生まれるかとおもいきや、茶トラの毛を持つネコが生まれることもあります。それは、両親どちらかまたは両方ともに茶色の毛をつくる遺伝子をもっていたからです。黒猫であっても、他の色の毛をつくる遺伝子をもっていることがあるのです。
では、毛の色はネコたちの性格と関連しているのでしょうか? 最初にお伝えすると、毛の色と性格についてはっきりとした関連はみられていません。でもネコ好きなら一度は「茶トラは人懐っこい」「白ネコはよそよそしい」といった逸話を聞いたことがあるはずです。そこで今回は、毛の色と性格の関連を分析した論文 " Behavioral associations with breed, coat type, and eye color in single-breed cats" を紹介します。
ネコの性格をデータ化
ネコの毛色と性格との関連を調べるため、アメリカ・ペンシルベニア大学の研究チームは「Fe-BARQ(フィーバーク)」と呼ばれる調査票を用いました。「Fe-BARQ」は私の調査でも使用しています。ネコの日頃の行動について、飼い主さんに100項目の質問に答えていただきます。
例えば「高いところによく登るか」「知らない人が家にきた時くつろいでいるか」「呼んだらくるか」といった質問の回答から、社交性や攻撃性、ヒトへの愛着度合いなどを分析することができます。もともとはイヌの行動特性を調べる「C-BARQ(シーバーク)」という調査票があり、これをネコ用にアレンジした調査方法です。
調査チームはこの方法を用い、最終的にアビシニアンやベンガル、ペルシャといった15品種、394頭についてのデータを収集しました。
毛の色から性格を読み取れる?
結果は、品種と性格の傾向はみられたものの、直接的な毛の色と性格特性の関連はみられませんでした。
ただ、アグチ毛とよばれる1本の毛の中に縞模様がある毛を持つネコはやや攻撃性が高いことがわかりました。これは野生種のネコがアグチ毛であることから、野生味が残っている可能性があります。また白い模様はさまざまな動物で攻撃性の低下と関連しているといわれており、ネコでも白いまだら模様があるネコの方が穏やかな気質をもっているかもしれません。
毛の色はもともと持っている性格をあらわしている可能性があります。しかし、個々のネコさんがもつ性格というのは赤ちゃんの頃にどんな環境で育っていたか、ヒトと暮らした経験などが影響します。
現在のところ、毛の色だけで性格の傾向を見極めるのは難しいのですが、逸話が生まれるほど、ネコの毛はヒトにさまざまな想像を抱かせるのだと感じます。
今回ご紹介した論文
Behavioral associations with breed, coat type, and eye color in single-breed cats
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