多様性を伝える感動ファンタジー『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』
2022年が幕を開けました。そんな新年1本目にご紹介する犬映画は、とびきり楽しいハートウオーミングな1作『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』です。
原作は、アメリカではよく知られているノーマン・ブリッドウェルの児童文学作品で、突然、メガサイズになった赤い犬と少女のふれあいを描いたファンタジーとなっています。
コロナ禍の全米でメガヒット&高評価
本作は思い切り笑えて、ドキドキハラハラしつつ、最終的にうるっとさせられるという、コロナ禍で硬くなってしまった心を気持ち良くときほぐしてくれるような良作です。
全米では昨年の11月に封切られ、コロナ以降に公開されたファミリー映画としては、オープニング5日間で2200万ドルという、当時では最高の数字を挙げました。Rotten Tomatoesというアメリカの映画批評サイトではオーディエンススコア94%と高評価をマークし、クオリティーもお墨付きです。
ちなみに“でっかくなっちゃった赤い子犬”の犬種は、スレンダーで短い体毛のビズラです。ガンドッグ(狩猟犬)としても重宝されているそうですが、愛情深くて人懐っこい性格なので、クリフォード役にはぴったりですね。
本作の舞台はアメリカのマンハッタン。中学生のエミリーは、学校での友だち関係がうまくいっておらず、ママも仕事で数日間、家を空けることになり憂鬱(ゆううつ)そうです。ママが不在の間は、叔父のケイシーが、彼女の面倒を見てくれるようですが、なんだか頼りない感じです。
ある日、エミリーは小さな赤い子犬に出会ってひとめぼれし、こっそり家に連れて帰ってきました。ところが翌日、起きたら、子犬がとてつもなくビッグサイズになっていて、思わず「うわあ!」と雄たけびをあげます。もちろんケイシーもびっくり仰天!
でっかい子犬がマンハッタンで大暴れ
エミリーは子犬をクリフォードと名付け、飼うことになりました。でも、全長が約3mというサイズなので、家の中に閉じ込めておくには無理があるようです。エミリーが頼った獣医も動揺を隠せません。体重を量ろうとして体重計に乗ったら、見事にクラッシュしました(笑)。
いくら大きくても犬の習性はそのままなので、うれしければしっぽを振るし、人をぺろりとなめるしぐさがとても愛くるしい。また、公園で人間が入って楽しんでいたバブルボールを見て、まっしぐらに飛びついていき、大喜びでボール遊びをしてしまったこともあります。
そんな元気いっぱいのクリフォードの存在は、たちまち世間に知られてしまい、エミリーとケイシーは大わらわ。さらに、クリフォードの生態に興味を持った遺伝学会社が、彼の誘拐を企てます。
エミリーは、ケイシーや同級生オーウェンのサポートを借りつつ、必死にクリフォードを守ろうとしますが、やがて万事休す状態に追い込まれます。果たしてエミリーとクリフォードの運命はいかに!?
少女の大きな愛情で子犬が巨大化
では、なぜ小さかった子犬が、あそこまで大きくなったのでしょうか? エミリーに子犬を託した不思議なおじさんMr.ブリッドウェルとの会話に、そのヒントがあったようです。
出会った時のクリフォードは、あまりにも小さかったので「どのくらいの大きさになるの?」とエミリーが尋ねた時、Mr.ブリッドウェルは「どれだけ愛せるかによるよ」と答えました。
すなわち、クリフォードのビッグサイズは、エミリーの愛情の大きさに匹敵したものだったよう。クリフォードはずっと孤独だったエミリーの心の隙間を埋めてくれました。そして、かけがえのない家族かつ親友となったのです。
それでも、世間はそこを認めてくれません。エミリーが「人間は、他と違うものを嫌うんだ」と嘆くせりふが、観る者の心を一撃します。本作は、多様性を受け入れるべきだという今の風潮を、色濃く反映した作品にもなっているかと。
でも、エミリーは知っています。「みんなが愛し合えば誰も傷つかなくてすむ」という当たり前の価値観を。本作はやんちゃなクリフォードに振り回される人々に爆笑しつつも、最後にはとても大切なメッセージを届けてくれる秀作となっています。
また、日本語吹き替え版の声優陣も心強い最強の布陣となっています。
主人公のエミリー役には、「鬼滅の刃」シリーズや、現在メガヒット中の『劇場版 呪術廻戦 0』などの花澤香菜、同級生オーウェン役には、「ヒーリングっど♥プリキュア」のキュアアース役などの三森すずこが、さらに『サイバーフォーミュラ』の風見ハヤト役などの金丸淳一や、「呪術廻戦」の両面宿儺役などの諏訪部順一など、豪華声優陣が集結しました。
まだまだ寒い季節ですが、本作は観れば心がとても温かくなれる良作だと思うので、ぜひ多くの方々に観ていただきたいです。
- 『でっかくなっちゃった赤い子犬 僕はクリフォード』
- 1月21日(金)より全国ロードショー
公式サイト:Deka-Koinu.jp
監督:ウォルト・ベッカー
出演:ダービー・キャンプ、ジャック・ホワイトホール、アイザック・ワン、トニー・ヘイルほか/日本語吹替版の声の出演:花澤香菜、三森すずこ、金丸淳一、諏訪部順一ほか
配給:東和ピクチャーズ
© 2021 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
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