イキった猫の姿に思わず元気が出る写真集 エラそう、挑発的…感情豊かな猫たち
大ヒット写真集『必死すぎるネコ』の新シリーズ、『イキってるネコ』(辰巳出版)が発売された。マウントを取ってくる猫たちが続々登場。元気が出る写真集になっている。コロナで生活様式が変わるなか、写真集がどう作られ、どんな思いを込めたのか、編集者と著者の猫写真家・沖昌之さんに聞いた。
必死からイキりへ
今回のテーマは、「虚勢をはり、調子にのること」を意味する「イキる」。沖さんのほか、MARCOさん、熱海Muddy Catさん、ココニャさん、横尾健太さんが撮影した写真、そして投稿誌『ネコまる』からのイキった投稿写真が加わった。ちょっとエラそうにしたり、挑発的だったり、猫同士の真剣勝負が展開されている。
企画を考えた辰巳出版の編集担当、小林裕子さんが説明する。
「日頃から、うちの猫のカイちゃんはイキってるな!とか、ネットなどを見て、随分イキってる子猫だ!という風に、イキってるネコのイメージが脳内にありました。通勤電車で沖さんがツイッターに投稿した写真を見ていたら、頭の中の『イキってるネコ』という言葉とマッチングして、これだ!と……その数時間後には制作の下準備をしていました(笑)」
このテーマを聞いた沖さんは、はじめ少し戸惑ったという。
「巻頭に僕の“イキりネコ写真”を使いたいと言ってもらったんですが、え、イキるって何?言葉自体は知っていたけど、僕、中学時代はこわい同級生の中でびくびくしていたし(笑)、イキがるような人生を生きてきたわけではなく、自分が言われたこともないから、猫をイキってるという視点で見たことがなかったんですよ。でも『めっちゃ強気やん』とか 『えらいドヤってるなぁ』って感じでつぶやきながら撮影していたので、思いあたる節の写真は何枚かありました。新たな印象的のイキってる写真を撮らなきゃな、という焦りもありました」
「最上級のイキってる猫」が撮れた
昨年来、コロナで思うように動けなくなったのは猫写真家の沖さんも同じ。生活様式の変化とともに、心境の変化もあったのだとか。
「猫島に行くこともできないし、日々の撮影にも支障があり悶々(もんもん)としました。でも撮影に比重をかけるため、生活様式を少し変えました。季節が暖かくなってからは早朝や夕方のほうが猫を撮影しやすいこともあったので、人気のない時間に撮影をするようにしました。土日は人が多いので公園に近づかない。無理して人の多い時に行く必要はないし、当然、人が多いと猫も出てこないし。あとは、撮れなくてもしかたないと諦められるようになりました」
沖さんは、4年前の『必死すぎるネコ』の刊行時に、はいつくばって必死に猫の撮影をしていたら、見回りの警官に「大丈夫ですか」と話しかけられたエピソードを明かしてくれた。今回も、生活の不自由さがあったものの、人が寝静まったなか黙々と取り組むと……自転車置き場で、ついに「イキった」猫の撮影チャンスが訪れたよう。
「自転車のペダルをマスクに見立てたように顔を隠している黒猫の写真が、僕の最上級のイキってる猫です」
写真集は、結果として「心身ともにイキってるネコ」だけでなく、「イキった顔になってしまったネコ」も収録されて、猫の多彩な表情やしぐさが味わえる。
編集担当の小林さんは、「本書を通して、猫は感情豊かな尊い生き物であることも伝えられたら」と話す。
ページ番号がなく、どのページから見てもOK。自由な見方が何より魅力だ。
「コメントも本書では一切入れてないですし、見て感じたままに、皆さんの頭の中でふきだしを考えて、気楽に楽しんで見てほしいなって思います」と沖さん。
帯には猫好きで知られる、お笑いコンビ「かまいたち」の山内健司さんの「二ヤケが止まりません」。どこかに似た猫がいたような……ちょっとかっこつけのいとしい猫たちに、励まされる一冊だ。
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