SNSで人気の無重力猫ミルコ一家 みんな住みたい「猫遊園地」の魅力を解析!

 SNSを中心に多くのファンを集める「無重力猫ミルコ」。ミルコをはじめとする5匹の猫たちのゆかいな日常はもちろん、まるで猫の遊園地のようなインテリアも話題を集めている。夢の猫パラダイスを作り上げた飼い主の中川ちささんにうかがいました。

(末尾に写真特集があります)

外と同じように遊ばせたい

 Twitterで9万7千、インスタグラムで3万2千のフォロワーを持つ人気者「無重力猫ミルコ」の飼い主、中川さん夫妻が初めて猫を迎えたのは2012年。農家で子猫のもらい手を探しているという紹介を受けたのがきっかけだった。

「犬か猫を飼いたいと話していたところ、知人から紹介があったんです。初めてなので1匹のつもりでしたが、きょうだいで段ボールに入れられている姿を見て引き離すことは考えられず……。それが生後2、3カ月だったうしおとピーチです」

キャットウォークの上でくつろぐ猫2匹
キャットウォークでくつろぐ、うしお(左)とピーチ。すべてはこの2匹から始まった

 きょうだい一緒に引き取って大正解。仲良く遊んだりくっついて眠る姿に癒された。猫との暮らしに魅了された夫妻は、翌年ベンガルのレオンを迎える。

「当時は保護猫という選択肢を知らず、ペットショップに足を運びました。ベンガルの身体能力の高さに憧れて興味を持ったのですが、縦横無尽に跳ぶわ走り回るわ、もう予想以上でした(苦笑)」

 家のなかだけでは物足りない猫たちを見て、庭に出して遊ばせていた。

「木登りなどして遊ぶところを私も付き添って見ていたのですが、ある日塀を越え隣の庭に入ってしまったんです。お詫びをして連れ帰りましたが、その後も越えてしまうことがありました。迷惑になってはいけないので庭に出すのをやめましたが、外遊びができなくなったストレスが見られるようになってしまったんです。そこで主人が『家のなかでも、外のようにいっぱい遊べるようにしてあげよう』と作り始めました」

DIYで猫遊園地ができた

 最初に作ったのは本棚兼猫階段となる「猫棚」だった。

「家の中でカーテンをよじ登っていたんです。木登りの代わりかなと受け止めていましたが、ビリビリになってしまうのは困るので(苦笑)。カーテンレールの上にも板を渡し、キャットウォークを作りました。階段を使ってカーテンの上まで行けるようになり、直接よじ登ることがなくなりました」

 壁に穴を開けた猫トンネルなど、週末のDIYで少しずつ遊び場を増やしていくと、外に出たいという要求がなくなった。

猫棚の上に座る猫
本棚兼猫階段の通称「猫棚」

「レオンがやんちゃすぎて3匹で限界と思っていたのですが、主人の会社の駐車場でやせ細った子猫が発見されたんです。それがミルコでした。駆けつけた私が手を差し出しても逃げず、すっと抱き上げることができました。ピタッと身を寄せてきたミルコを連れて帰ると、驚いたことにレオンがいちばん喜んだんですよ。体力があり余っていたので、遊び仲間ができて嬉しかったみたいです。

 ミルコが来て家が平和になったので、もう1匹いっちゃおうと(笑)。そのころは知識もついてきて、保護シェルターからロッケを迎えました」

窓辺でくつろぐ猫3匹
駐車場で保護したミルコ(右)をレオンは優しく受け入れた

 しかし、生後半年あまりのロッケは腎臓の病を抱えていた。

「投薬で数値を維持できれば長生きできると病院で説明されました。4歳になるいまも朝晩欠かさず薬を飲み、元気に過ごしています。ただ、急に食欲がなくなったりすると、焦りますね。病院に行き点滴してもらったりの繰り返しで気を遣います。増えても大丈夫と思っていましたが、やっぱりこれ以上は無理かなって。病気の可能性も考えて飼う必要があるのだと身にしみて実感しました」

猫トンネルから顔を出す猫
壁の猫トンネルから顔をのぞかせるロッケ

猫が喜ぶ家のために

 個性の異なる5匹との生活のなかで、創意工夫が重ねられた。

「すべて猫が喜ぶことを念頭に作りますが、私にとってもヒットになったのはスケルトンのキャットウォーク。以前は猫の裏側を撮影するため、透明なイスの上に乗ってもらっていたんですけど、歩く肉球が見たいなと思って。『もっと長い通路があるといいのに』という希望から作られました。

 猫たちにも好評で歩いたり昼寝をしてくれるので、写真を撮る楽しみが倍増しました(笑)。私も嬉しいですけど、猫たちが気に入ってくれるのがいちばん嬉しいですね」

 中川さんは私たちでも真似のできるアイデアを紹介してくれた。

「爪とぎ対策として、タイルの壁がおすすめです。ネット貼りされているシートタイプのタイルなら、初めてでも簡単に貼ることができますよ。あと、我が家では海で拾ってきた流木を爪とぎ用に置いています。流木は長持ちするし、うちの猫たちは段ボール製の爪とぎより大好きで、ガシガシやっています(笑)」

流木で爪をとぐ猫
流木はとぎ味バツグンだよ!

正しい知識を発信したい

 さまざまな趣向を凝らしてきた中川さんだが、「もっと猫を理解したい」「猫と暮らす住まいについて学びたい」という思いから、愛玩動物管理士とペット共生住宅管理士の資格を取得した。

「たとえば猫にとってユリが危険であることなど、当たり前と思っていることを知らない方もいらっしゃいます。私自身、保護猫という存在を知らずにペットショップから迎えたこともありました。知識によって防げる事故やトラブルもあると思うので、猫の面白い写真や可愛い写真を目にしてもらいつつ、その魅力や正しい情報を発信をしたいと思っています」

 猫目線に立ち、快適に過ごせる住まいづくりが、猫も人も幸せになる近道なのかもしれない。
(写真提供:中川ちささん)

中川ちささんのTwitter:@ccchisa76
    インスタグラム:ccchisa76

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久保田綾
八ヶ岳山麓で虫やカエルを愛でながら育つ。早稲田大学卒業後、日刊スポーツ新聞社、角川書店でスポーツ記者、編集者として勤務したのち独立。2010年、自宅の庭に現れた子猫(もこにゃん)を保護してからは、本業に支障が出ない程度に働くフリーライターとして糊口をしのぐ。本業は猫の下僕。

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