ボロボロだった元保護猫たち 今や家族と、インスタのフォロワーに幸せ運ぶ存在

 美しいオッドアイの白猫、珊瑚(さんご)ちゃんとくららちゃん、そしてシャムミックスの雄猫、ルカくんはともに5歳。今や高貴な佇まいの3匹だが、子猫の頃はまるで違った。元保護猫の3匹は、家族に幸せをもたらしてくれた。

猫のためだけにカメラを勉強

 3匹は、インスタグラマーのsangorukaさんのご家族とともに暮らす元保護猫。血のつながりはなく、生まれた月や出会いのきっかけも異なる。

「3匹で猫団子するときは、ルカが真ん中で、両側に白猫のさっ(珊瑚)ちゃん、くららだと平和です。白と白が接触すると『シャー!』(笑)」

 そう話すのは、猫の写真でコンテストの受賞歴もあるsangorukaさん。だが、もともとカメラ好きではなかったという。

「メカが苦手で、カメラの勉強をするのは嫌なんです。猫の写真をきれいに撮りたい一心で、やむを得ず」

分離不安のルカくん、人慣れしない珊瑚ちゃん

 最初に家族になったのは、シャムミックスのルカくん。sangorukaさんが、家族と協力して、ミルクボランティアをしていた頃に預かっていた子猫だった。

シャム猫ミックス、ルカくん
sangorukaさんのおうちに最初に来たルカくん。ブルーの瞳がキレイ(sangorukaさん提供)

「ルカは、一度は譲渡されたのですが、返されてしまって……。そのまま我が家で引き取ることになりましたが、家族の誰かがそばいないと暴れたり、ものを壊したり、“分離不安”が始まりました。心に傷を受けてしまったんですね……」

 そんなルカくんのために、人間の家族だけでなく、猫の仲間も探そうと譲渡会に参加。そこで出会ったのが、珊瑚ちゃんだった。

 その頃の珊瑚ちゃんは、目つきが悪く、毛はボサボサ、ガリガリの体で敵意むき出し。愛護団体の方に「一生慣れないかもしれない。難しい猫」と言われたが、昔飼っていた黒猫の“クロちゃん”に鳴き声がそっくりだったこともあり、迎え入れることに。

「もしルカと合わなくても、部屋を別々にして、自由に過ごしてくれればいい。ルカの友達は、また別で探そうと思っていました」

白猫珊瑚ちゃん
珊瑚ちゃん、初期のころの写真。本当にガリガリで胸が痛みます(sangorukaさん提供)

 ルカくんと珊瑚ちゃんの対面には気を使ったが、あっという間に仲良くなった。

「ぺたーっといつも一緒。気にする必要はなかったんですね。ルカはどの猫ともうまくやれるんです」

 珊瑚ちゃんには虐待の形跡があり、家族がタオルやごみ袋、棒状の床用ワイパーを持っていると、ひどくおびえた。

2匹は仲良くなったけど、その姿を見て人間が泣いてしまうんです。さっちゃんを病院に連れて行くとき、父が噛まれてひどいけがをしてしまったんですが、父は『本当にこの子はすごく怖かったんだな……かわいそうに』と言って、半泣きになっていました。さっちゃんが来てくれて、家族の色々な面も見えるようになりました」

布? ゴミ? ……猫だ!!

 そして、3匹目のくららちゃんが家族になったのも、想定外のことだった。

「道端に布かゴミのようなものがあって、よく見たら『これは子猫だ!』とすぐ病院へ。毛色はわからないし、目はガビガビで開かない状態でしたが、病院でお風呂に入ると、さっちゃんと同じオッドアイの白猫で……驚きました」

 sangorukaさんの家で様子を見ていると、くららちゃんの “ウールサッキング”が始まった。くららちゃんのケースでは、ティッシュやごみ箱の中身、布団類などをかじったり食べてしまう行為だ。原因不明だが、それまでの生活環境にストレスがあったことが考えられた。

白猫くららちゃん
3匹目としてやってきたくららちゃん。ブルーの瞳が珊瑚ちゃんとは逆だけど、2匹は姉妹みたいにそっくり(sangorukaさん提供)

「もう1匹猫を迎えることで、ルカとさっちゃんのいい関係性が崩れる心配もありました。でも、この状態では譲渡は難しいと。ウールサッキングの猫のお世話は想像以上に大変なので、人様にお願いするのは申し訳なく思いました」

 心配された3匹の関係性は、新参者のくららちゃんがルカくんに甘えることで、「人慣れしない」と言われた珊瑚ちゃんが、人間の家族にも甘えるようになり、さらにバランスがよくなった。

「ルカはお世話好きで友達がいたほうがいい、さっちゃんは膝に乗ってくるようにまでなりましたし、くららのウールサッキングも少しはよくなって。結果的にですけど、3匹になったことは、みんなにとってよかった。何より、人間の家族が喜んでいるのがありがたかったですね」

 家族間にちょっとしたもめ事があっても、猫が「ニャー」と間に入れば場が和み、コミュニケーションも円滑になった。

白猫珊瑚ちゃん
今ではひざの上でリラックスして、熟睡できるようになったそう。本当によかったね、珊瑚ちゃん(sangorukaさん提供)

家族を幸せにしてれた猫に恩返し

 その後も猫を保護してきたsangorukaさんご家族だが、それぞれ新たな飼い主のもとへ巣立っていった。3匹とのこれからについて、こう話してくれた。

「猫には十分なお世話をしたいから、うちの場合は3匹が限界。3匹には我慢せずに、なんでも好きなことをやって欲しい。普段の生活が穏やかで楽しく、自由だったらいいなあと。私は栄養や環境を整えて、甘えてきたら一緒に遊ぶ。家族を幸せにしてくれたので、その恩返しをしたいです」

 猫と飼い主、双方が恩返しをし合っているのかもしれない。

sangorukaさんのインスタグラム
安田有希子
2015年からsippoにて「猫アレルギーですけど」の連載開始。2匹の元保護猫と暮らして4年目に猫アレルギーが発覚するも、平和に暮らす。猫の好きなパーツは、小さく並んだ門歯。幼少の頃「うちのタマ知りませんか?」のすごろくに大ハマりした年代。栃木県出身。

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