毛皮がどう作られるか知っていますか? 狭く不衛生なケージで一生を過ごす動物たち

不衛生なウサギ農場
非常に不衛生な状態の中国のウサギ農場

 冬、真っただ中。寒い時期ならではのファッション素材の代表格と言われてきた毛皮(リアルファー)。毛皮は「豪華で華やか」「温かそう」「かわいい」そういったイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。

  しかし、その製造過程を知ると、見る目が変わってくるかもしれません。動物保護、エシカル(倫理的)消費の観点からファッションを考えてみませんか。

(末尾に写真特集があります)

悲惨な一生を送る動物たち

 ミンク、キツネ、ウサギ、タヌキ、チンチラなど、毛皮でおなじみの動物たちは農場で飼育されています。彼らは元々野生動物なので、本来の習性と全く異なる環境で、しかも狭くて不衛生な金網ケージの中で一生を過ごすことになるのです。そのため、動物たちは大変なストレスを受け、それが反復行動や共食いなどの異常行動を引き起こすことがあります。

キツネ農場
フィンランドのヴォイリ―にあるキツネ農場©Oikeutta eläimille

 そして、二酸化炭素による窒息殺や肛門から電気を流す感電殺のような残酷な方法で殺されます。その数は毎年1億頭を超えます。

 コヨーテ、ボブキャットなどの野生動物も毛皮のためにハンターが仕掛けたトラバサミなどの残酷なわなで捕獲され、大変な苦痛を味わった末に死ぬことになるのです。

子供服の毛皮縁飾りから発がん性物質

 毛皮農場からは、肥料、余分な飼料、動物の排泄物が流出し、その地域の自然や地域社会、観光に悪影響を与え、環境規制に違反していると報告されています。

 また、毛皮農場から逃げた動物は、その地域の生態系と生物多様性にダメージを与えます。

 動物からはがされた毛皮は腐敗を防ぐために、さまざまな薬品で処理されます。これには有毒な化学物質と重金属が含まれています。

 中国・イタリア・オランダそしてドイツの研究所が、有名ブランド数社の子供服のファートリム(毛皮の縁飾り)に、発がん性物質ホルムアルデヒドなどの毒物が健康被害を及ぼすレベルで残存しているのを発見しました。

欧州の国々では過半数が毛皮や毛皮農場に反対

 Fur Free Alliance(FFA)はオランダ アムステルダムに事務局をおく、毛皮に反対する国際連盟です。39カ国、56の動物保護団体で構成されていて、JAVAもその一員です。各国のメンバー団体と協力しながら、毛皮のための動物の搾取と殺害を終わらせるために活動しています。

 このFFAがまとめた「毛皮や毛皮農場の賛否についての世論調査地図」がこちらです。

毛皮と毛皮農場の賛否
ヨーロッパにおける毛皮や毛皮農場の賛否についての世論調査結果(FFA作成/2019年11月時点)

 これを見ると、ヨーロッパの国々では過半数の市民が毛皮や毛皮のために動物を飼育することに反対していることがわかります。

毛皮農場を法律で禁止する国や地域が増えている

 FFAのメンバー団体の地道な活動や市民の声が国を動かしています。

 毛皮のために動物を飼育することは非倫理的で時代遅れであると、法律で毛皮農場を禁止する、または毛皮製品の販売を禁止する国や地域が増えています。例えば英国、チェコ、オーストリアなどヨーロッパの8カ国では毛皮農場を禁止しています。

 オランダやベルギーなど5カ国は経過措置中ですが禁止が決定しています。ボスニア・ヘルツェゴビナは2028年までの段階的廃止が決まっており、2020年7月に最後に残っていたミンク農場も閉鎖され、すべての農場がなくなりました。アイルランドやエストニアなどでは国会で審議中です。

 日本では、2016年に最後のミンク農場が閉鎖になって以来、毛皮農場は存在していません。

 また、農場禁止以外の大きな動きとしては、2019年に米カリフォルニア州で毛皮製品の販売禁止が決定され、2023年に施行されます。

ファーフリー宣言したブランドが続々と

 最近では、アルマーニ、バーバリー、グッチ、プラダ、ヴェルサーチェなどの有名な高級ブランドをはじめ、世界で1400以上のブランドがファーフリー(毛皮を使用しない)宣言をしています。そのうち105ブランドは日本で購入可能です。

 これらは消費者の「毛皮を買いたくない」という声を反映した結果です。

毛皮がどこに使われているか示すイラスト
動物たちはこのような衣類やアクセサリーに使われています

 人間は豊かさを求め、動物からの搾取を行ってきました。ファッションもしかりです。それを見直そう、というエシカル(倫理的)な考えが広まっています。

 世界中に新型コロナウイルス感染が拡大した2020年。その影響は毛皮(特にミンク)農場にも及びました。

 感染が確認されたミンク農場はデンマーク289カ所、オランダ70カ所、米国16カ所、スウェーデン13カ所、スペイン、イタリア、ギリシャ、フランス、リトアニア、カナダ各1カ所。オランダ、デンマーク、スペイン、イタリア、フランス、リトアニアでは感染が確認された農場すべてでミンクが殺処分されました。

 毛皮のためだけに飼育され殺される動物が、感染症のために殺処分される。このような非倫理的な産業は終わりにするべきではないでしょうか。そのために誰にでもできることがあります。それは「毛皮を買わないこと」、さらに一歩進んで「毛皮の実情を周りの人に話すこと」です。

※記事の内容は2020年12月12日現在のものです。

(次回は3月8日に公開予定です)

【前の回】体を伸ばせないヘビ、金網の床で暮らすサル 動愛法は犬猫以外の動物にも新飼養基準を

 

JAVA
NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)。1986年設立。動物実験の廃止を求める活動を中心に動物の権利擁護を訴え、世界各国の動物保護団体と連携しながら活動している市民団体。
この特集について
from 動物愛護団体
提携した動物愛護団体(JAVA、PEACE、日本動物福祉協会、ALIVE)からの寄稿を紹介する特集です。
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