クリスマスに犬や猫を買って家族を喜ばせたい、これってダメ? 一緒に考えてみよう
ペット関連の法律に詳しい細川敦史弁護士が、飼い主のくらしにとって身近な話題を、法律の視点から解説します。今回は、犬や猫を買ってプレゼントすることについてです。
サプライズ動画のように
全国的にコロナ禍が広がっている12月ですが、今年もクリスマスはやってきます。
今回は法律の話がメインではありませんが、時節柄、ちょっと一緒に考えてみましょう。
YouTubeのサプライズ動画みたいに、クリスマスにペットをプレゼントして家族を喜ばせたい――と思っても、思うだけにするか、おもちゃの動物をプレゼントしてください。長い期間一緒に生活することになりますので、飼う前に、家族でよく話をしないといけません。
ただ、クリスマスに犬猫を買うことが絶対ダメとまではいえないでしょう。迎え入れのタイミングが整ったのがたまたまクリスマスだった、という人もいるでしょうし、飽きずに、大切に飼っていけばそれでよいともいえます。
軽い気持ちで飼い始めると
とはいえ、現実的には、みんながみんな、理想的な飼い主にはなれません。最近では少なくなったかもしれませんが、家族構成や家計の収支、居住環境などをよく考えず、軽い気持ちで飼い始めた結果、「こんなはずじゃなかった」とショップに返品しようとしたり、すぐに飽きて世話をしなくなったり、誰かにあげてしまったり、という話を読者の皆さんも見聞きしたことがあると思います。
また、2012年の法改正によって、終生飼養の趣旨に反する犬猫の引き取りを自治体は拒めるようになりましたが、それまでは、飼い主から求められれば無条件で引き取らなければなりませんでした。そのような法律をタテに、保健所に年老いた犬を連れてきた親子が、次はどんな犬を飼おうか?と話しながら帰っていくケースがあったとか……。
こうした犬猫がモノのように扱われる悲しいケースを減らすため、社会への啓発も重要な活動といえますが、関心のない層を含め多くの人にわかりやすくキャッチーに物事を伝えるには、短いフレーズが効果的です。
例えば、「クリスマスプレゼントにペットを買わないで!ただよく考えて買うならばいいかな。でも衝動買いを促すショップからは買わないでほしいし、保護施設も選択肢に入れてほしい。最終的には、どこから迎え入れたとしても終生大切に飼いましょう」と説明をつけすぎると(私たち弁護士は得てしてクドい傾向がありますが……)、わかりにくくメッセージが散漫になってしまいます。いくら正確なことを言っても、詰め込みすぎては誰も気に留めてはくれません。
その意味で、ワンフレーズで「クリスマスにペットを買わないで!」と呼びかけることは、一つの効果的な啓発の手段といえるでしょう。ショップにとっては耳障りに感じられるかもしれませんが、考えなしに買われた犬猫がすぐに突き返されるなどトラブルを避けることができるならばそれに越したことはないでしょうし、ショップ関係者も犬猫が不幸になることは決して望まないはずです。
地道な啓発活動を
理屈だけでいえば、ひとりひとりが、いま飼っている動物を大切にしさえすれば、自治体や民間の保護施設に犬猫が収容されている状況は改善され、動物を取り巻く問題はスッキリなくなるはずです。ただ、現実社会においては、人の経済的・心身の問題が起きることは避けられず、そのような人たちの管理下にあるペットがひどい扱いを受けるケースも避けられません。
そうであるがゆえに、問題の数や程度が少しでもマシになるよう、長年にわたり、国、民間団体、個人のそれぞれの立場で、適正飼養について地道に啓発活動を続けてきましたし、これからも続けていくことがとても重要です。このコーナーも、そうした活動の一助となれば幸いです。
(次回は1月18日に公開予定です)
【前の回】犬や猫が虐待される事件を見つけたら 警察に通報して情報提供、刑事告発という手段も
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